海外における日本産食材サポーター店認定制度

日本産食材サポーター店インタビュー BWS と Dan Murphy’s

オーストラリア国内最大の酒類販売チェーン

所在地:シドニー(オーストラリア)

オーストラリア最大の酒類販売チェーン

「BWS」と「ダン・マーフィーズ(Dan Murfphy’s)」この2つが、オーストラリア人行きつけの酒類販売店であることは確かである。2社はオーストラリア全土に1,600店舗以上をもっており、文字通り業界の最大手である。この2ブランドを有しているのが、酒類の小売り及びホスピタリティ事業における国内最大企業の1つであるエンデバーグループ(Endeavour Group)である。当グループの年間売上は116億オーストラリアドルに上る。28,000人のチームメンバーは、「もっと社交的な未来を共に築く」という企業目標に情熱を注いでいる。

今日、日本酒や焼酎など日本の酒類に対する需要が増えてきたため、BMSとダン・マーフィーズは店が取り扱うジャンルを広げてきた。オーストラリアは多文化国家であり、2021年の国勢調査では、オーストラリア人の約半分の両親が外国生まれであり(48.2%)、27.6%が外国生まれであるという。酒類の嗜好がますます多様化していくのは疑いようがない。

日本酒と焼酎

日本のアルコール飲料の中で、日本酒と焼酎は最も大きな成長を遂げている。「我々は、顧客が今まで以上に発見を求めていること、もっと新しくて興味をそそる飲み物を試したいと願っていることに気づきました。顧客は、今まで味わったことがないような飲み物を探して、味覚を広げたいと願っています!とりわけアジアで作られた酒類は、特にZ世代やミレニアル世代などの上得意に需要があります」と、エンデバーグループアジア飲料ソーシングマネージャのサミュエル・ラム氏は語った。2022年7月、グループは、顧客が選べる商品の選択肢を増やすため日本のアルコール飲料のジャンルを2倍に増やした。焼酎もまた、昨年度の売上がほぼ2倍になるほど、ポピュラーになってきている。「焼酎は独特の風味があり、さまざまな飲み方ができるお酒として、顧客から支持されています。また、焼酎の多くは、ウォッカなど他の蒸留酒に比べてアルコール度数が低く、カロリーも低くなっています」と、ラム氏は説明した。

情報はシンプルに

人が 何か新しいものを探すとき、まずはラベルにある基本情報を頼りにする。日本酒は、味や口当たり、香りが繊細で、その味わいは米の種類や精米歩合、醸造方法や他の要因によって変わる。そのために日本酒の世界はとても奥が深いのだが、オーストラリアの人々には分かりにくいこともある。この問題を解決するために、BWSやダン・マーフィーズの棚にある日本酒には、独自のラベルをつけている。エンデバーグループの流通会社であるピナクル・ドリンクス(Pinnacle Drinks)は、ワイン業界における豊富な経験に基づいて、このラベルをデザインした。「情報を簡潔に伝えようとしました。例えば、日本酒のラベルを専門的にすることもできますが、我々はそれをシンプルにするか、特定の情報に絞るよう頼んだのです」と、ラム氏は説明した。ラベルに多くの情報をのせるかわりに、顧客が本当に飲んでみたいと思えるような分かりやすい指標を付けたのである。

日本のアルコール飲料の未来

「オーストラリア人は、最高級の日本酒である純米大吟醸など、とりわけプレミアム感の高い日本酒を探すことに喜びを見いだしています」と、ラム氏は言う。税関のデータによれば、ここ数年日本からオーストラリアへのアルコール飲料輸出量は着実に伸びており、2020年(26億円)から2021年(42億円)は、約60%跳ね上がっている。これはBWSやダン・マーフィーズにとって、追い風以外の何者でもない。「成長の余地は明らかにまだあります。例えば、嗜好対象はもっぱら清酒に向いており、スパークリング日本酒や古酒、濁り酒など異なる種類のもの、あるいは異なるタイプのジンや焼酎はこれに含まれていません」。ラム氏はまた、スタッフ一人ひとりが、棚にあるボトルについて質問したり学んだりすることができるよう、チーム内でできるだけコミュニケーションを取っていると語った。日本のアルコール飲料に対する情熱と努力を惜しまない彼らに、私たち日本人は感謝するばかりだ。「日本は、我々が狙いを定めた重要な国なのです」。より多くのオーストラリア人が日本のアルコール飲料を楽しんでくれることを願うばかりである。