会社設立手続き:ブルネイ

質問

ブルネイ・ダルサラーム(ブルネイ)に会社を設立する際の手続きについて教えてください。

回答

Ⅰ. 概要

ブルネイにおいて、会社の設立は、財務省(Ministry of Finance、以下「MOF」といい、旧称は財務経済省(Ministry of Finance and Economy、以下「MOFE」))の傘下にある会社・商号登録局(Registry of Companies and Business Names、以下「ROCBN」)が所管しています。近年、電子政府化の進展に伴い、会社設立手続きはワンコモンポータル(One Common Portal、以下「OCP」)を通じてオンラインで申請することが可能となっています(会社法第319A条)。

Ⅱ. 会社形態の選択

ブルネイにおいて事業を行う外国人個人および外国企業が一般的に選択する会社形態は、主として以下のとおりです。

  1. 非公開会社 (Private Company、Sendirian Berhad / Sdn Bhd):株主数が50名以下の会社(会社法第29条)
  2. 公開会社 (Public Company、Berhad / Bhd):株主数が50名を超える会社(会社法第29条の反対解釈による)
  3. 外国会社/支店 (Foreign Company / Branch):ブルネイにおいて会社を設立することなく事業活動のみを行うことを希望する外国会社
    非公開会社および公開会社は、さらに以下の3つの形態に分類されます(会社法第4条(1)項、(2)項)。
  • 株式有限責任会社(Company Limited by Shares)
    もっとも一般的な会社形態(販売会社・製造会社・サービス会社)。日本企業がブルネイに設立する現地法人の大半がこれに該当する。株主が出資を行い、株主の責任は引き受けた株式にかかる出資義務の範囲までとなる。利益が生じた場合は株主に配当を行うことができ、営利活動を目的とする。
  • 保証有限責任会社(Company Limited by Guarantee)
    営利追求ではなく、主として公益的・非営利的な活動に用いられる会社(業界団体・協会・文化組織等)。通常は株式資本を持たず、株主ではなく「保証社員(guarantors)」が存在する。保証社員は会社解散時にあらかじめ定めた保証額のみ責任を負う。一般に利益配当を目的としない。
  • 無限責任会社(Unlimited Company)
    株主の責任に上限が設けられていない会社形態。会社の債務について、会社財産で弁済しきれない場合には、株主が自己の財産をもって弁済責任を負う。主に特別な事業目的やグループ内再編等のために利用されることがある。営利活動を行うことができる。

日系企業に最も一般的に利用されている形態は、株式有限責任非公開会社(Private Company Limited by Shares)です。このため、特段の記載がない限り、本記事では当該会社形態を中心に説明します。
外国会社/支店については事前の登録手続きが必要となるため、当該登録手続きについても後述します(Ⅶ.参照)。
なお、本格的な進出に先立ち、市場調査や情報収集のみを行うこと(いわゆる駐在員事務所としての活動)を希望する場合であっても、上記のいずれかの方法により、ブルネイにおいて法的拠点を設置する必要があります(Ⅷ.参照)。
有限責任事業組合(Limited Liability Partnership、LLP)に関する法令は2010年に公布されているものの、いまだ施行されていません。したがって、調査時点ではLLPをブルネイにおいて設立することはできません。

Ⅲ. 非公開会社 (Private Company)の設立手続きおよび費用

  1. 商号の検討

    会社設立に先立ち、商号を選定する必要があります。他社の商号と類似する商号や、会社の性質・事業目的について公衆に誤認を生じさせるおそれのある商号は認められません(会社法第20条(1)項(a)号から(d)号)。
    株式有限責任会社または保証有限責任会社については、商号の末尾に「Berhad」または「Bhd」を付す必要があります。また、非公開会社については、「Sendirian」または「Sdn」を付す必要があります(非公開有限会社の場合は「Berhad」または「Bhd」の直前に、非公開無限会社の場合は商号の末尾に付します)(会社法第5条(1)項(a)号および(b)号)。

  2. 決定すべき事項

    会社設立に先立ち、以下の事項を決定する必要があります。

    • 商号
    • 事業目的
    • ブルネイ国内の登録事務所住所(会社法第92条)
    • 株主(非公開有限責任会社の場合: 最低2名、最大50名)(会社法第29条(1)項および第31条)
    • 取締役(最低2名。うち少なくとも1名はブルネイに常に居所を有する者でなければならず、取締役が3名以上の場合は、うち少なくとも2名がブルネイに常に居所を有する者でなければならない)(会社法第138条(1)項および(2)項)
    • 発行済み株式数
    • 授権資本(会社法第5条(4)(a))
    • 払込資本金
    • 事業分野
  3. オンライン申請

    OCPを通じて、設立する会社形態を選択し、オンライン申請フォームに必要事項を入力します。その後、以下の書類をアップロードのうえ、申請を行います。

    • 基本定款および附属定款
    • 株主情報
    • 取締役情報
    • その他必要書類
  4. 留意事項

    会社秘書役(Company Secretary)の要否
    会社法上、会社が会社秘書役を選任することまでは義務付けられていません。ただし、実務上は、会社関係事項の届出・管理業務や、事業所・オフィスの所在地とは別に登記上の事務所(registered office)を維持することなどを支援してもらうため、多くの会社がコーポレート・セクレタリアル・エージェント(corporate secretarial agent)を選任しています。

    必要許認可の要否
    事業の性質によっては、別途、規制当局からの許認可取得が必要となる場合があるため、事前に確認しておくことが推奨されます(「IV.3.業種別許認可」を参照)。

    実質的支配者(Controller)に関する情報の登録
    2020年の会社法改正により、新規に会社を設立する場合、実質的支配者(Controller)に関する情報を、設立日から30日以内に「支配株主登録簿(Register of Controllers)」へ登録することが必要とされています(会社法第310F条)。

  5. 登録手数料

    基本設立手数料
    株式資本を有する会社(非公開会社を含む)の場合、初回の登録手数料は、300ブルネイ・ドルです(会社法第289条および付表 8、Item 1)。なお、ブルネイ・ドルとシンガポール・ドルは1967年に締結した通貨等価交換協定に基づき等価で固定されています。

    設立時の追加手数料
    会社の授権資本が25,000ブルネイ・ドルを超える場合、以下の区分に応じて追加手数料が課されます(会社法 付表 8、Item 2)。

    • 25,000~500,000ブルネイ・ドルの部分: 5,000ブルネイ・ドル(またはその端数)ごとに20ブルネイ・ドル
    • 500,000~1,000,000ブルネイ・ドルの部分: 5,000ブルネイ・ドル(またはその端数)ごとに10ブルネイ・ドル
    • 1,000,000~50,000,000ブルネイ・ドルの部分: 15,000ブルネイ・ドル(またはその端数)ごとに5ブルネイ・ドル
    • 50,000,000ブルネイ・ドルを超える部分:20,000ブルネイ・ドル(またはその端数)ごとに3ブルネイ・ドル

    株式資本増加時の追加手数料
    株式資本を増加させる場合、上記の登録手数料を改めて納付する必要があります(会社法 付表 8、Item 3)。もっとも、その納付額は、資本増加前に既に納付済みの手数料を控除した差額とされます。

    手数料の累計上限額
    株式資本に関する手数料の累計上限額は35,000ブルネイ・ドルです(会社法、付表 8、Items 2-3、末尾規定)。

  6. 設立の完了
    審査完了後、電子形式の設立証明書(Certificate of Incorporation)が登録済みのメールアドレス宛に送付されます(OCP Private Company Incorporation User Guide外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます p.35)。

Ⅳ. 設立後の登録手続き

非公開会社の設立後、現地従業員を雇用して事業活動を行う場合には、税務、国家退職スキームへの登録、および業種別の許認可について、以下の手続き・対応が必要となります。

  1. 税務登録
    会社の設立完了と同時に、歳入局(Revenue Division)への登録が自動的に完了します。法人所得税の申告その他の税務手続きは、OCPを通じて電子的に行うことが可能です。
  2. 国家退職スキームへの登録
    会社設立の完了と同時に、国家退職スキーム(National Retirement Scheme(または、「Skim Persaraan Kebangsaan(SPK)」)への登録が自動的に行われます。適用対象となる従業員を雇用する場合、会社は、従業員の登録および必要な拠出手続きを行う必要があります。
    SPK法が適用対象とする「従業員」とは、雇用契約、見習契約その他の契約に基づき雇用主のために就労する最低退職年齢未満の者であって、ブルネイ国民又はブルネイ永住権保持者である者をいいます(SPK法第2条)。このため、外国籍のみを有する者は、ブルネイ永住権を保持しない限り対象外となります。
    SPKに基づく拠出は、一般的に以下のとおりです。
    従業員拠出: 基本給の8.5%
    雇用主拠出: 従業員の給与額に応じた固定額または一定率(以下の表を参照)
    従業員給与額 雇用主拠出
    500ブルネイ・ドル以下 57.50ブルネイ・ドル
    500.01~1,500ブルネイ・ドル 10.5%(最低57.50ブルネイ・ドル)
    1,500.01~2,800ブルネイ・ドル 9.5%
    2,800.01ブルネイ・ドル以上 8.5%

    労働者信託基金制度
    SPKは、2023年7月15日に導入された制度であり、従来は労働者信託基金(Tabung Amanah Pekerja(TAP))が運用されていました。このため、過去に退職した従業員、退職前に引出しを行った従業員、及びSPKへの加入が繰り延べられた50歳から59歳までの一定の従業員等については、引き続き(または一定期間)、TAP制度が適用される場合があります。なお、TAPの適用対象となる「従業員」は、雇用契約、見習契約その他の契約に基づき雇用主のために就労する者であって、ブルネイ国民又はブルネイ永住権保持者である者をいいます(TAP法第2条)。このため、SPKと同様、外国籍のみを有する者は、ブルネイ永住権を保持しない限り対象外となります。TAP制度における従業員および雇用主の拠出率はいずれも5%となります。

  3. 業種別許認可
    会社を設立しただけでは、すべての事業活動を開始できるわけではありません。事業の性質によっては、会社設立・事業登録とは別に、所轄当局からの許可、ライセンスまたは承認の取得が必要となる場合があります。

    財務省が運営するビジネス情報ポータルサイトであるbusinessBN外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの記載によると、主な許認可対象業種、所轄当局、必要な許認可等および根拠法令は、以下の表のとおりです。

【表】主な許認可対象業種(businessBNの記載に基づき一部補足)
業種 所轄当局 主な許認可等 根拠法令
観光宿泊施設・旅行代理店 Ministry of Primary Resources and Tourism(一次資源・観光省) 観光宿泊施設(Tourist Accommodation Premises)の登録、旅行代理店ライセンス 旅行法
会計・監査・税務コンサルティング Ministry of Finance(財務省) 公認会計士(Public Accountant)の登録 会計士法
農業 Department of Agriculture and Agrifood, Ministry of Primary Resources and Tourism(一次資源・観光省 農業・農産食品局) 同局への登録(必要に応じて) —
建築・エンジニアリング Board of Architects, Professional Engineers and Quantity Surveyors (BAPEQS)(建築士・技術士・積算士委員会)、Department of Environment, Parks and Recreation(環境・公園・レクリエーション局)、Department of Drainage and Sewerage, Public Works Department, Ministry of Development(開発省 公共事業局 排水・下水道部) 建築士・技術士・積算士の登録、環境関連の届出、下水道接続許可 建築士・専門技術士・積算士法、環境保護管理法
芸術・娯楽・出版 Ministry of Home Affairs(内務省) 新聞・雑誌発行の許可、公衆娯楽の承認 新聞法、有害出版物法
化学品・医薬品 Ministry of Health(保健省) 薬局ライセンス 毒物法、医薬品法、医薬品(許認可・標準規定・手数料)規則
建設 Ministry of Development(開発省)、Authority for Building Control and Construction Industry (ABCi)(建築規制・建設産業庁) 建築業者ライセンス(Builder's License)、請負業者登録 建築規則法
教育 Ministry of Education(教育省) 教育機関登録証明書(Certificate of Registration of Educational Institution) 教育法
職業紹介 Department of Labour, Ministry of Home Affairs(内務省 労働局) 職業紹介所ライセンス(Employment Agency License)(同サイト上、新規発行は停止中とされている) 職業紹介所令
金融・保険 Brunei Darussalam Central Bank (BDCB)(ブルネイ・ダルサラーム中央銀行) 銀行・金融ライセンス、保険登録、両替・送金ライセンス、資本市場サービスライセンス(CMSL) 銀行法、イスラム銀行法、金融会社法、貸金業法、質屋令、保険令、タカフル令、両替送金業法、証券市場令、証券市場規則、シャリア金融監督委員会法
漁業 Department of Fisheries, Ministry of Primary Resources and Tourism(一次資源・観光省 漁業局) 漁業・養殖・水産加工ライセンス、輸出入許可 漁業法
飲食・食品製造 Bahagian Kawalan Makanan Halal, Kementerian Hal Ehwal Ugama(宗教省 ハラール食品管理局)、Food Safety and Quality Control Division, Public Health Services, Ministry of Health(保健省 食品安全・品質管理課)、Biosecurity Division, Agriculture and Agrifood Department, Ministry of Primary Resources and Tourism(一次資源・観光省 農業・農産食品局 バイオセキュリティ課) ハラール認証・ハラール許可、食品取扱者健康証明書、加工食品の輸入登録、原材料の輸入許可 公衆衛生(食品)法、ハラール証明・ハラール表示令
林業 Forestry Department, Ministry of Primary Resources and Tourism(一次資源・観光省 林業局) 森林作業者サブライセンス、製材所営業ライセンス、木材輸出入許可 森林法
医療・介護 Boards Management Office, Ministry of Health(保健省 委員会管理室)、Brunei Medical Board(ブルネイ医療委員会) 専門職委員会への登録、医師・歯科医師の診療許可 医師・歯科医師法、ブルネイ医療関連専門職法、看護師登録法
法律業務 Attorney General's Chamber(法務長官室) 弁護士の開業証明書・ライセンス 弁護士法
機械・設備 Department of Environment, Parks and Recreation(環境・公園・レクリエーション局) 環境関連の届出、冷媒の輸出入許可 環境保護管理法
鉱業・採石(石油・ガス) Ministry of Energy, Manpower and Industry(エネルギー・人材・産業省) 石油採掘契約・許可、ガソリンスタンド営業ライセンス 石油採掘法、石油(パイプライン)法、環境保護管理法
不動産 Lands Department, Ministry of Development(開発省 土地局)、BAPEQS 土地局の許可、BAPEQSへの登録(建築・技術サービスを提供する場合) 不動産鑑定士・不動産仲介業者法、建築規制法、建築士・専門技術士・積算士法
電気通信・IT機器・放送 Authority for Info-communications Technology Industry (AITI)(情報通信技術産業庁)、Ministry of Communications(通信省) InTi・SeTiライセンス、放送ライセンス、販売業者ライセンス、型式認証、輸入許可 放送法、電気通信法
獣医業 Division of Livestock and Veterinary Services, Department of Agriculture and Agrifood, Ministry of Primary Resources and Tourism(一次資源・観光省 農業・農産食品局 畜産・獣医サービス部)、Brunei Darussalam Veterinary Council(ブルネイ獣医評議会) 獣医師の登録 獣医師令
  • Ministry of Primary Resources and Tourism(一次資源・観光省):2026年6月の内閣改造により、Ministry of Economy, Trade and Industry(経済・貿易・産業省)に改称。
  • Ministry of Energy, Manpower and Industry(エネルギー・人材・産業省):2019年の組織再編によりMinistry of Energy(エネルギー省)に改組。
  • Ministry of Communications(通信省):2018年にMinistry of Transport and Info communications(運輸・情報通信省)に改称。
  • Food Safety and Quality Control Division, Ministry of Health(保健省 食品安全・品質管理課):食品安全行政は、2020年に設立されたBrunei Darussalam Food Authority(BDFA、ブルネイ・ダルサラーム食品庁)が所管。

事業を開始する前に、businessBN等を通じて、必要なライセンス等および所轄当局について、最新の情報を確認しておくことが推奨されます。なお、OCPとbusinessBNとでは役割が異なり、OCPは、会社設立、会社情報に関する手続きおよび税務申告のために利用されるオンラインプラットフォームである一方、業種別の許認可・承認を確認する際にはbusinessBNを参照する必要があります。

Ⅴ. 非公開会社設立にあたっての留意事項

  1. 外資規制
    事業の性質によっては、個別の法令、許認可要件・条件その他の規制により、外国投資家の参入、投資または事業活動に一定の要件が課される場合があります。
    したがって、外資による会社設立を検討する際には、予定する事業活動が外資規制または業種別規制の対象となるか否かについて(主な業種別許認可はIV. 3.の表を参照)、事前に確認しておくことが推奨されます。
  2. 就労許可
    外国人役員または外国人従業員が就労する場合、会社設立手続きに加えて、外国人労働許可および雇用・出入国管理手続きに関する個別の手続きが必要となります。
    外国人労働者を雇用する企業は、労働局(Department of Labour)が所管する外国人労働許可(Foreign Worker License)手続きその他の要件を遵守する必要があります。就労許可推薦(Work Pass Recommendation)の申請にあたっては、外国人労働者の資格・経験、および当該職位を現地人材で充足できるか否かについて審査が行われます。
    したがって、外国人役員または従業員の雇用を予定している場合には、会社設立手続きと並行して完了させる必要のある外国人労働許可および雇用・出入国管理手続きについて、事前に確認しておくことが望ましいです。
  3. 実際の事業活動の開始
    前述のとおり、会社を設立しただけでは、当然にすべての事業活動を開始できるわけではありません。事業の性質に応じ、IV. 3.の表に記載の許認可等を、事業開始前に取得しておく必要があります。
    さらに、外国人労働者を雇用する場合には、外国人労働者に関する必要な許可の取得、および雇用・出入国管理手続きの完了が必要となります。
    また、事業開始後のコンプライアンス対応に備え、事業活動を開始する前に、SPKに関する従業員登録・拠出、税務申告、会計処理、および銀行口座の開設等について、あらかじめ準備を進めておくことが望ましいです。

Ⅵ. 非公開会社設立までのタイムライン

OCPを通じた非公開会社設立の一般的な所要期間は、以下のとおりです。

(1) 設立前段階
ステップ 内容 想定所要期間
1 商号の確認・選定 1~2日
2 基本定款・附属定款の作成 案件により異なる
3 添付書類・情報の準備 案件により異なる
(2) 申請・審査段階
ステップ 内容 想定所要期間
4 OCPを通じたオンライン申請 1~2営業日
5 ROCBNによる審査・確認 14~20営業日
6 承認および設立証明書(Certificate of Incorporation)の発行(電子通知) 1営業日
(3) 設立後段階
ステップ 内容 タイムライン
7 支配株主(実質的支配者)登録(Controller Registration) 設立日から30日以内に完了する必要あり
8 SPKおよび税務登録(自動) 設立と同時(自動)
9 業種別許認可の申請(該当する場合) 業種により異なる(2週間~数か月)

必要書類がすべて事前に準備されており、商号確認において特段の問題が生じない場合、設立の承認手続きには通常14~20営業日を要します。もっとも、書類準備に要する期間(一般的に1~2週間)を含めると、設立手続き全体としては、開始から完了までに4~6週間程度を要する場合があります。

Ⅶ. 外国会社支店の登録

日本企業など、ブルネイ国外で設立された会社がブルネイ国内に事業拠点を設けて事業を行う場合、ブルネイ現地法人を設立する方法に代えて、外国会社(Foreign Company)としての登録を行うという選択肢もあります(会社法第9部(第298条~第307条)。 ブルネイ国内に事業拠点を設け、または事業を開始するために外国会社として登録する場合、事業拠点の設置または事業開始に先立ち、登録局(Registrar)への登録を完了する必要があります(会社法第299条(1)項)。
登録申請は、OCPを通じて行うことができます。
主な必要書類は以下のとおりです。

  • 外国会社の本国における設立証明書または登録証明書
  • 外国会社の基本定款・附属定款またはこれに相当する基本文書
  • 会社を代理して送達・通知を受領する権限を有するブルネイ居住者2名以上の氏名および住所
  • 当該送達受領代理人を指定する選任証書または委任状
  • 外国会社の取締役名簿
  • 会社決議書
  • 授権者リスト
  • 誓約書(該当するライセンスまたは承認を得ることなく事業を開始しない旨の誓約)
  • ブルネイ国内の登録事務所の所在地
  • ブルネイにおける支店登録についての会社の同意書(Letter of Consent)

外国会社の登録手数料は、原則として、前述の会社登録に適用される手数料の2分の1とされています(会社法付表 8、Item 14)。
外国会社としての登録は、親会社とは別個のブルネイ法人を新たに設立するものではありません。したがって、非公開会社(Sdn Bhd)の設立とは異なり、外国会社そのものがブルネイ国内において登録され、親会社がブルネイにおいて事業を行うこととなります。なお、外国会社が使用する商号および送達方法に関して、当該会社がブルネイ国内で事業を行うすべての場所において、当該会社の商号および設立国を表示することが求められています(会社法第303条)。

Ⅷ. 駐在員事務所(Representative Office)

ブルネイ市場への本格参入に先立ち、いわゆる駐在員事務所を設置して、市場調査や情報収集から始めることを検討するケースもあると思います。しかし、会社法には、ブルネイにおける法的拠点の独立した形態として駐在員事務所を設ける規定がなく、ブルネイ国内で事業活動を行うための法的拠点としては、現地法人の設立(上記III.参照)と、外国会社の支店の登録(上記Ⅶ.参照)の二つの方法が規定されています。また、ブルネイ・ダルサラーム標準産業分類(Brunei Darussalam Standard Industrial Classification、以下「BDSIC」)2011(第4版)では、項目番号732「市場調査および世論調査」が経済活動の一類型に分類されています。
以上から、ブルネイ国内で販売活動を一切行わず、市場調査等のみを行う場合であっても、事前に現地法人の設立または外国会社の支店の登録のいずれかにより、法的拠点を設ける必要があります。

Ⅸ. 進出形態の比較

上記を踏まえて進出形態を比較すると以下のとおりです。

項目 現地法人
(Sdn Bhd)
外国会社支店 駐在員事務所
法人格 ブルネイ法人(親会社とは別法人) なし(親会社の一部) 該当なし
会社法上の根拠 あり あり 該当なし
ROCBNへの登録 必要(設立登記) 必要(外国会社登録) 該当なし
責任の帰属 現地法人 親会社 該当なし
主な利用場面 本格的な事業展開 親会社名義での事業展開 ブルネイにおいて駐在員事務所は想定されていない(現地法人の設立または外国会社の支店の登録のいずれかが必要)

関係機関

関係法令

参考資料・情報

調査時点:2026年10月

記事番号: S-261001