一時輸入制度:インドネシア

質問

インドネシアにおける展示会出品貨物・商品サンプル・職業用具の一時輸入制度について教えてください。ATAカルネの利用が可能か、またカルネを使用しない一時輸入制度について教えてください。

回答

インドネシアで一時輸入を行う方法は、一時輸入制度を利用する方法と、ATAカルネを利用する方法と2通りあります。ただし、商品サンプルはATAカルネの対象外です。なお、インドネシアの一時輸入の規定は、財務大臣規定2017年第178号(No. 178/PMK.04/201、財務大臣規定2019年第106号(No.106/PMK.04/2019で変更)です。

Ⅰ. 一時輸入制度

3年以内に再輸出される予定の輸入品(一時輸入品)は原則、税関に申請して一時輸入許可を取得します。一時輸入品の条件は、以下のとおりです。

  • 使用により消滅しない
  • 物品の内容が明瞭である
  • 一時輸入期間中に大きく変形しない
  • 当該品の使用目的が明瞭である
  • 再輸出を示す書類があること

一時輸入許可書の有効期限は最初、使用目的に応じて最長 1 年間で、原則その後、一 時輸入品の通関登録日から数えて最長 3 年までの延長が可能です。ただし、展示やセミナー、会議、同様の活動で必要なものの一時輸入期間は最長 1 年の範囲で補完書類を勘案して決定され、延長は認められません。
また、

  • バスとトラック以外の最低 3,000cc の四輪自動車
  • 最低 500cc の二輪車

の一時輸入は最長 2ヶ月で、延長できない。 展示会やセミナー、ショーなどに必要な物品、サンプル、修理・再生等がなされる物品、国内運輸会社が輸入する商船や航空機、乗客の携帯品、海外支援の政府プロジェクトに必要な物品等の一時輸入品には関税免除措置が、生産あるいはインフラ・プロジェクトに必要な機械および備品、外国人観光客が自分で使用する自動車、越境して搬入されたもので定期的に使用されるのではない自動車あるいは輸送機関などの一時輸入には関税軽減措置が供与されます。

上記の一時輸入品の税関地区から国内への搬出に際しては、一時輸入許可の日付から3 カ月以内に輸入申告書類を提出します。本来課税されるべき輸入関税やVAT、輸入前払い 所得税(PPh22)相当の保証の引き渡しも義務付けられています。 一時輸入許可には、一時輸入品が使用される場所やその使途が定められており、同許可が有効な間は当局の許可なく一時輸入品の場所を移動したり、別の目的に使用したりすることはできません。一時輸入された物品の展示が複数回ある場合は、1つの展示から次の展示までの間の期間その一時輸入された物品は一時輸入の申請時に通知された関税総局の監督下の特別な場所に保管されなければなりません。

一時輸入許可の有効期間内に輸出申告書を提出し、一時輸入許可の終了から 30 日以内に再輸出しないとなりません。遅れると本来課税されるべき関税額 100%相当の罰金が科されます。再輸出が実現すれば、本来課税されるべき輸入関連税相当の保証は返金されます。展示目的の自動車両の保証は現金保証か銀行保証に限定されています。

Ⅱ. ATAカルネ

ATAカルネとは、「物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)」に基づき、条約加盟国の税関で免税扱いの一時輸入通関が手軽にできる通関用の手帳のことです。インドネシアでは、「大統領令No.89/2014」および「財務大臣規定No.228/PMK.04/2014」により、2015年5月15日から展示会への出品物および職業用具の一時輸入にATAカルネを利用できるようになりました。
ATAカルネを利用するためには、一般社団法人日本商事仲裁協会に、所定の担保または担保措置料を支払い、事前に同協会よりカルネの発給を受ける必要があります。カルネの有効期限は発給日より最長12カ月です。有効期限内に一時輸入された物品が再輸出されない場合には、免税されていた関税、その他の諸税および罰金の支払いが課されます。

Ⅲ. サンプル品の一時輸入

インドネシアでは、サンプル品はATAカルネの利用対象外です。従ってサンプル品を一時輸入する場合は、上述の一時輸入制度を利用します。

なお、サンプル品に「Samples」、「not for sale」などの表記が求められる場合があるため、事前に輸入者経由でインドネシア税関に確認してください。

Ⅳ.職業用具の一時輸入

職業用具の一時輸入には、一時輸入制度を利用する方法とATAカルネを利用する方法の2通りあります。概要は上述と同様です。

関係機関

関係法令

参考資料・情報

ジェトロ:
ATAカルネにより通関手続きを簡便にする方法:日本
小口貨物の通関・関税制度PDFファイル(353KB)

調査時点:2015年8月
最終更新:2025年8月

記事番号: N-110202

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