ATAカルネにより通関手続きを簡便にする方法:日本

仕事で使用する職業用具(取材用カメラなど)を海外に持出す必要があります。通関手続きを簡便にする方法を教えてください。

I. ATA条約とATAカルネ
取材用カメラを日本から海外へ持出し、取材終了後に日本へ持ち帰る際、通常の通関手続では「、日本での輸出、海外での輸入、海外での再輸出、日本での再輸入」と、合計4回の輸出入通関手続きが必要です。複数の国を回る場合には、それぞれの国で「輸入・再輸出」の手続きを繰り返す必要があります。

こうした通関手続きを簡便化するには、一時輸入を簡略化できる通関手帳(ATAカルネ)を利用する方法があります。ATAカルネは、物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)に基づき発行されます。

ATAカルネ締約国間では、職業用具、展示用品、商品見本の一時的な輸出入はATAカルネを提示することによって通関手続きがで、一般的な輸出入通関用書類は必要ありません。携帯品(ハンドキャリー)の場合は、ATAカルネ使用者が通関手続きを行い、別送品の場合は通関業者が通関手続きを行います。カルネ締約国は、ATAカルネの発給機関である一般社団法人日本商事仲裁協会のウェブサイトで確認できます。


ATAカルネ締結国であっても、職業用具、展示用品、商品見本の用途三種類の用途すべてが認められていない、物品によって適用されないなど、適用範囲が国によって異なります。また、ATAカルネを利用できる国の増加や適用国での非該当物品の条件緩和など状況は変化しています。詳細は日本商事仲裁協会にお問い合わせください。


II. ATAカルネの機能
ATAカルネには二つの機能があります。

  1. ATAカルネは税関に提出する輸出入の申告書および物品の明細書として機能します。税関は、ATAカルネ記載事項と物品の内容をチェックし、問題がなければ必要な部分を切り取り、ATAカルネに必要事項を記入し、許可のスタンプを押し、物品とともにATAカルネを返却します。
  2. 輸入通関の手続きの際に、輸入税の担保書類として機能します。それにより、当該物品は免税扱いとなります。通関後は、ATAカルネに記載されている物品をその輸入国内のどこへでも携帯できます。


ATAカルネで通関した物品はすべて一時輸入の物品として扱われるため、原則、再輸出する必要があります。しかし、2010年5月以降、納税手続きを行い、納税証明書(コピー可)をATAカルネに貼付することによって、当該物品の一部販売が認められるようになりました。なお、万一、当該物品が現地で盗難にあう、あるいは事故等で輸入国から持ち出せなかったなどの場合は通常の輸入と同じ扱いになり、輸入税を支払う必要が生じます。この場合でも、日本のATAカルネ保証団体が保証をしているため、その場で輸入税を支払う、あるいは担保金を預ける必要はありません。ただし、この保証団体はATAカルネ名義人に代わって一時的に立替払いをするもので、当然、ATAカルネ利用者が最終的な支払義務を負います。当該物品を一部販売したことにより数量が変更になった等の場合であっても、ATAカルネの原本は、帰国後すみやかに日本商事仲裁協会に返却する必要があります。


III. ATAカルネの発給手続き
ATAカルネは、日本では日本商事仲裁協会が発給します。
ATAカルネの有効期間は、発給日から最長一年間です。有効期間の延長は条約により認められませんので、必ず期限の日までに当該物品を外国から再輸出する必要があります。ただし、日本への再輸入については、ATAカルネの有効期間内であるかどうかを問われません。有効期限を過ぎていてもATAカルネで再輸入できます。
ATAカルネで一時輸入された物品が、盗難、損壊、その他やむを得ない理由であっても再輸出ができない場合、輸入税等が賦課されるほか、各国法令により処罰を受ける可能性がありますので、注意が必要です。


ATAカルネは、日本国内に住所を有し、かつATAカルネ使用に伴う義務を確実に履行できると認められる個人または法人に限り発給されます。発給を受けた者が名義人となり、実際にATAカルネを使用する者を指定して利用することもできますが、当該ATAカルネの使用に伴う責任は両者が負います。


カルネ条約に加盟していない国では、その国の関税関係法令により、再輸出入免税や一旦支払った関税、消費税の払い戻しができないかを検討します。


関係機関
一般社団法人日本商事仲裁協会
カルネ締約国


調査時点:2013/08

記事番号: A-001004

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