ドライフルーツの輸入手続き:日本

質問

ドライフルーツ(乾燥果実)の輸入手続きについて教えてください。

回答

ドライフルーツの輸入に際し、食品衛生法に基づく輸入手続きの他、一部の乾燥果実を除き、植物防疫法に基づく検査が必要です。販売時には、食品表示法等に従う必要があります。

Ⅰ. 関税分類番号(HSコード)

果物の種類により、HSコードが異なります。乾燥果実のHS分類例を以下に示します。

  • バナナ(HS0803.90.200)
  • いちじく(HS0804.20.090)
  • パイナップル(HS0804.30.090)
  • アボカド(HS0804.40.090)
  • グアバ・マンゴー・マンゴスチン(HS0804.50.090)
  • 柑橘類(HS0805)
  • ぶどう(HS0806.20)
  • あんず(HS0813.10)
  • プルーン(HS0813.20)
  • りんご(HS0813.30)
  • ベリー(HS0813.40.010)
  • パパイヤ・ドリアン(HS0813.40.021)
  • 干し柿(HS0813.40.022)
  • 混合したもの(HS0813.50.010)
  • その他(HS0813.50.090)

Ⅱ. 輸入時の規制

  1. 植物防疫法
    1. 輸入手続き

      輸入植物類に病害虫が付着して日本に侵入することを防ぐために輸入植物を植物防疫所に届け出て植物防疫官の検査を受けます。その際、輸出国の政府機関が発行した検査証明書(Phytosanitary Certificate)が必要です。輸入禁止品に該当せず、植物検疫の対象となる病害虫の付着がなければ合格となり輸入することができます。
      植物防疫所での検査の結果、病害虫等の付着が判明した場合は、消毒、駆除、廃棄等の措置が命じられます。土が付いたものは輸入できません。 下記の乾燥果実は、植物防疫の対象となる植物の病害虫が付着するおそれがない植物として輸入植物検疫の対象にはなりません。

      あんず、いちじく、かき、キウイフルーツ、すもも、なし、なつめ、なつめやし、パインアツプル、バナナ、パパイヤ、ぶどう、マンゴー、もも、りゅうがん

    2. 輸入植物検疫制度の改正

      近年、輸入植物の種類や輸出国が増加し、国内に発生していない新たな病害虫が侵入するリスクが増大しています。新たに検疫の対象に追加すべき病害虫、検疫の対象から除外すべき病害虫及び既指定の検疫有害動植物の発生地域や寄主植物等を見直す必要が生じたため、植物防疫法施行規則及び関連告示について所要の改正を行いました。

  2. 食品衛生法
    1. 基本的な手続き

      販売目的で食品を輸入する場合、厚生労働省検疫所食品等輸入届出受付窓口に「食品等輸入届出書」と必要書類(原材料、成分または製造工程等に関する説明書、衛生証明書(必要に応じて)、試験成績書(必要に応じて))を届け出る必要があります。
      審査の結果、規格基準や安全性の確認が必要と判断されたものは検査が実施されます。審査・検査で同法上問題がなければ、税関への輸入申告時に通関書類とともに、検疫所から発行される「食品等輸入届出済証」を提出します。不適格と判断されたものは輸入できないため、その場合輸入者は積み戻し・廃棄等の措置を取ります。

    2. 規制内容

      食品衛生法に基づく厚生省告示第370号「食品、添加物等の規格基準」で農産物の農薬残留基準(農薬の各食品中の残留量の限度)が規定されています(残留農薬等に関するポジティブリスト制度)。
      ポジティブリストになく基準が設定されていない農薬等が許容される一定量は0.01ppm以下です。
      また、食品添加物や使用基準が定められている物質の含有にも注意を要します。海外で販売されている食品に日本では使用が規制されている発色剤、着色料、保存料等の食品添加物が使用されている場合があります。
      例えば、過去の違反事例として、米国産とトルコ産の「乾燥いちじく」からアフラトキシンが、また、フィリピン産の乾燥マンゴーから酸化硫黄の過量残存が検出されたことがあります。

Ⅲ. 販売時の規制

  1. 食品表示法

    食品衛生法、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)及び健康増進法の食品の表示に関する規定を統合した食品表示法が2015年4月に施行され、表示すべき事項(名称、アレルゲン、保存方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量及び熱量、原産地その他食品関連事業者が表示すべき事項)を食品表示基準として定めています。
    容器包装に入れられた製品は同法に基づく表示義務があります。食物アレルギー症状を引き起こすことが明らかな食品7品目を「特定原材料」として定め、表示を義務づけています。「特定原材料に準ずるもの」として、果物ではもも、オレンジ、キウイフルーツ、リンゴ、バナナはアレルギー物質表示制度の表示推奨対象品目として、アレルギー表示が奨励されています。

    詳細は、消費者庁ウェブサイト「新しい食品表示制度についてPDFファイル(1.04MB)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を参照ください。

  2. 日本農林規格等に関する法律
  3. (JAS法)

    「有機」、「オーガニック」等と表示するためには、有機JAS基準に基づく登録認定機関の検査を受け、認定を受ける等の手続きをする必要があります。

    詳細は、ジェトロ貿易・投資相談Q&A「有機食品の表示制度:日本新しいウィンドウで開きます」を参照ください。

関係機関

厚生労働省:

植物防疫所:

農林水産省 表示規格課:

消費者庁:

関係法令

参考資料・情報

ジェトロ:

貿易投資相談Q&A「食品衛生法:日本」新しいウィンドウで開きます

調査時点:2013年8月
最終更新:2025年8月

記事番号: M-010789

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