医薬品の現地輸入規則および留意点:台湾向け輸出
質問
台湾に医薬品を輸出する際の現地輸入規則、手続きおよび留意点について教えてください。
回答
台湾で、医薬品を管轄する政府部門は、衛生福利部食品薬物管理署です。また、「薬事法」および「薬事法施行細則」が基本規定です。台湾で医薬品を輸入し国内販売するには、輸入者は薬商(医薬品取扱業)の登記および輸入医薬品の登録と輸入の許可が義務付けられています。薬事法、薬事施行細則において、登記や輸入許可証取得の手続きなどを確認することができます。
Ⅰ. 薬商(医薬品取扱業)の登記および輸入医薬品の登録と輸入の許可
- 薬商の登記(薬事法第27条、薬事法施行細則第9条)
薬商の登記は申請者の所在地を管轄する市または県の衛生主管機関に申請をします。その上で登録料を納付し、支払い医薬品取扱業の許可証を受領することで、事業を行うことができます。薬商の登記事項は次のとおりです。- 薬商の種類
- 営業品目
- 薬商の名称
- 住所
- 責任者
- 薬物管理、監督或いは技術人員
- その他の必要な登記事項
- 輸入医薬品の登録と輸入の許可(薬事法第39条、薬事法施行細則第24条)
輸入医薬品の登録および輸入許可の申請は、下記事項を記載した申請書に、薬品の成分・原料・規格・性能・製造方法の要旨、検査規格と方法および関連資料、原文および中国語のラベルと使用説明書、製品サンプルを、申請費用ともに、中央衛生主管機関(衛生福利部食品薬物管理署)に提出します。申請は、薬商の許可証の保有者および保有者から授権された者が行うことができます。- 製品名(中国語品名および外国語品名)
- 処方、剤型
- 医療器材の成分、材料、構造および規格
- 薬品ラベル、説明書(使用方法など)および包装
- 薬品の直接包装
- 適応症、効能、性能、用法、用量および類別
- 製造方法、検査規格および検査方法
- 薬商(医薬品取扱業)の名称
- 製造工場名称および住所
- その他、中央衛生主管機関が指定する事項
提出された書類の審査を経て当該医薬品の登録が行われ、薬品許可証が申請者(輸入者)に交付されます。薬事法47条により、許可証の有効期間は5年間と定めています。また、有効期間が満了する前に、更に延長を申請することが認められています。但し、延長期間は最大5年間とされています。 - 薬事法第51条に西洋の薬品を販売する薬商は、漢方薬販売はできず、逆に漢方薬商は西洋の薬品を販売することはできないと規定されています。また、薬商は、農薬、動物用医薬品および毒性化学物質の販売はできません。(薬事法第52条)
Ⅱ. 台湾国内販売における留意点
輸入品を台湾国内で販売する場合、ラベル、説明書などを中国語(繁体字)で表記する必要があります。表記内容は次の事項です(薬事法第75条)。
- 製造業者名および住所
- 製品名および許可証番号
- 製造ロット番号
- 製造日および有効期間あるいは保存期限
- 主要成分含量、用量および用法
- 主治効能・効果あるいは適応症
- 副作用、禁忌事項その他注意事項
- その他本規定に定める事項
Ⅲ. 日本国輸出時における留意点
日本国内で流通している医薬品をラベルやパッケージを輸出相手国の言語などに変更するなど、現地向け仕様に変更して輸出する場合は「輸出用医薬品(製造・輸入)届書」を厚生労働大臣宛に届出します。(正本1通、副本2通、届出窓口は独立行政法人医薬品医療機器総合機構(略称 PMDA)) 医薬品製造許可が必要な場合もあり、これは各都道府県の薬務課に申請します。通関に際してはその返却された副本(1通)のコピーを税関に提出しなければなりません。また、医薬品も安全保障貿易管理上のキャッチオール規制対象となりますので、安全保障貿易管理規制品ではないことを自己判定した該非判定書を提出する必要があります。安全保障貿易管理規制の対象になると思われる場合は経済産業大臣の輸出許可が必要で、そのコピーを輸出通関書類に添付する必要があります。
関係機関
- 台湾:
-
行政院衛生福利部:中国語
/英語
-
衛生福利部食品薬物管理署 業務専区 薬品

関係法令
参考資料
- ジェトロ:
-
貿易・投資相談Q&A「医薬品輸出における日本での許可事項:日本」
- 厚生労働省:
-
「輸出用医薬品等の届出の取扱いに関する質疑応答集(Q&A)」
調査時点:2016年12月
最終更新:2025年7月
記事番号: A-090907
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