原産地規則と原産地証明書:インドネシア

質問

インドネシアの原産地規則と原産地証明書について教えてください。

回答

原産地規則とは、産品の原産地を判定するための基準です。二国間あるいは国際的な協定に基づく特恵関税の適用を受ける場合は協定で定められた原産地規則に従い、一般特恵関税制度(Generalized System of Preference: GSP) に基づく特恵関税の適用を受ける場合には一般特恵関税供与国が定める一般特恵関税適用のための原産地規則に従います。

Ⅰ. 原産地規則

一般特恵関税適用のための原産地証明書発給に係る原産地規則は、一般特恵関税供与国の国内法に従います。自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の原産地規則は、それぞれの協定で規定されています。

  1. 原産地規則の基本的な基準
    基本的には以下のような基準になっていますが、付加価値の割合や関税番号変更の桁数などは、協定やGSP供与国の定めにより異なります。
    1. 完全生産品
    2. 原産材料のみから加工された産品(我が国のGSPにはこの規定はない)
    3. 非原産材料を用いて加工した産品で、下記の基準を満たすことにより、実質的な変更がなされたものとみなし、原産品とする。
      1. 付加価値基準
      2. 関税番号変更基準
      3. 加工工程基準
  2. 品目別規則
    経済連携協定では、品目ごとに原産地規則が規定されています。付加価値基準、関税番号変更基準、加工工程基準のいずれかが規定されているもの、2種類以上の基準のいずれかを選択するもの、2種類以上の基準を同時に満たさなければならないと規定するものなどがあります。

Ⅱ. 原産地証明書

一般特恵関税による優遇税率を受ける場合は一般特恵制度原産地証明書(様式A)が、FTA/EPAによる優遇税率を受ける場合は、FTA/EPA原産地証明書が必要です。また、優遇税率の適用を受けるため以外にも、商取引上求められるもの、輸出先国の国内法により求められる原産地証明書(非特恵原産地証明書)があります。

  1. 輸入通関時点で必要となる原産地証明書
    1. 輸入国政府がその時点で国民の健康、あるいは環境衛生に影響を与えると公表している物品を輸入する場合の原産地証明書
    2. 商取引上、取引先から求められる一般の原産地証明書
    3. FTAやEPAに基づく優遇税率の適用を受けるためのFTA/EPA原産地証明書
  2. 原産地証明書発給機関
    日本からインドネシアへの輸出の場合で、インドネシアとのEPA協定に基づく日本原産品であることの原産地証明書は日本商工会議所が発給します。インドネシアから日本に輸出する際のインドネシア原産品であることを証明するインドネシア原産地証明書は全国の州や県/市の商業担当支局とたばこの管理機関、国営の保税地区運営会社PT. Kawasan Berikat Nusantara、バタム事業庁、サバン自由貿易地域/港管理庁の計86機関から発給されます。

Ⅲ. インドネシアが締約している協定

  1. ASEAN物品貿易協定(ATIGA)
  2. ASEAN・中国自由貿易協定(ACFTA))
  3. 韓国・ASEAN自由貿易協定
  4. 日本・インドネシア経済連携協定
  5. 日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)
  6. ASEAN・インド包括的経済協力枠組み協定
  7. ASEAN・オーストラリア・ニュージーランド自由貿易協定
  8. イスラム開発協力会議(D-8)特恵貿易協定
  9. インドネシア・パキスタン特恵貿易協定
  10. 香港・ASEAN自由貿易協定
  11. チリ・インドネシア包括的経済連携協定
  12. オーストラリア・インドネシア包括的経済連携協定
  13. EFTA・インドネシア包括的経済連携協定
  14. 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定
  15. インドネシア・モザンビーク特恵関税協定
  16. 韓国・インドネシア包括的経済連携協定
  17. アラブ首長国連邦・インドネシア包括的経済連携協定

日本とインドネシアは4.日インドネシアEPA(JIEPA)および5.日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)、14.地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を締結しています。EPA発効にともない、インドネシアから日本への輸入については一部を除きGSPではなくEPA税率が適用されます。EPA税率を適用する場合は日本への輸入時にGSP原産地証明書(Form A)ではなくForm AJ(AJCEP)、Form IJ(JIEPA)、Form RCEPが必要です。インドネシアから日本への輸入の際に一般特恵税率が適用可能な品目(EPA適用対象品目で一般特恵税率がEPA特恵税率を下回る品目)は、以下のHSコード(輸入統計品目番号)の通り37品目あります(2025年4月)。
0206.30-091、0206.41-090、0206.49-091、0306.91-100、0306.92-100、0306.94-100、0306.99-110、0309.90-210、1602.20-091、1602.90—290、1605.30-010、1605.40-011、1806.32-220、1901.90-230、1905.10-000、1905.40-000、2101.11-110、2101.11-190、2101.12-111、2101.12-112、2106.90-252、2106.90-253、2204.29-090、2204.30-200、2206.00-210、2206.00-229、2208.90-129(課税価格が1リットルあたり206.5円を超える場合のみ一般特恵税率の適用が可能)、2918.15-010、3505.10-100、4114.10-000、4114.20-010、4114.20-090、4302.11-000、4302.19-020、4302.19-090、4302.20-090、4302.30-029

関係機関

参考資料・情報

ジェトロ:
海外のビジネス情報(インドネシア)
日本・インドネシア経済連携協定(JIEPA)
日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)
地域的な包括的経済連携協定(RCEP)
ASEANの締約するFTA活用マニュアル
日本商工会議所:
EPAに基づく特定原産地証明書発給事業 利用条件の確認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2017年3月
最終更新:2025年8月

記事番号: A-051006

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