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原産地規則と原産地証明書:シンガポール

質問

シンガポールの原産地規則と原産地証明書について教えてください。また、どのような場合に原産地証明書が必要ですか。

回答

自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)を適用することで締約国の輸入者は、一部の例外品目を除き、輸入関税として通常課せされるMFN税率(WTO協定での最恵国待遇税率、WTO協定税率ともいう)より低い関税で輸入することができます。その場合、輸入通関時に輸出国が発行する所定のFTA/EPA特恵原産地証明書が必要です。なお、これらの原産地証明書の発行に当たっては、当該国の原産品であることを証するための原産地規則を満たす必要があります。
また、減免税を受ける目的以外でも輸入者からの要求で輸入貨物の原産国を証する目的や、輸入国政府の規定で農畜水産物の原産国を証する目的で用いる原産地証明書もあります。

I. シンガポール原産地規則

  1. 完全生産品(wholly produced goods)
    シンガポール国内/領海で採取・収穫・生育された農畜水産物や資源、または輸入材料を全く使用しない原産材料で生産された産品
  2. 実質変更(substantial transformation)の基準を満たす産品
    全面的または部分的に輸入された原材料・部品を使用してシンガポール国内で加工・製造を行ったことにより下記のいずれかの基準を満たす大幅な変更がなされたもの
    1. 「関税分類変更(CTC)基準」(原則として4桁の項番変更。例えば、乾燥したとうがらし0904から香辛料0910の生産)[日本・シンガポールEPA(JSEPA) の場合、第7類または第8類のASEAN諸国産でない非原産品からの項番変更は当該基準として認められていない。]
    2. 「付加価値(VA)基準」[原産資格割合=(産品の価額 - 非原産材料価額)÷ 産品の価額][品目により基準は異なるが、例えば、 40%以上]
    3. 「加工工程基準」(変更プロセス基準)(使用される非原産材料について、シンガポールにおいて化学反応、精製、異性体分離もしくは生物工学的工程を経ること。例えば、化学反応による化学品や石化製品)
  3. 品目別規則等
    FTA/EPA協定の中でHSごとに策定された規則(基準)で、品目ごとに特定の基準が規定されています。JSEPAの品目別規則では、改正原産地規則(2008年1月発効)で、従来の一部品目ではなく全品目に対して策定されました。以下は代表的なJSEPA品目規則です。
    • 第7類または第8類のASEAN諸国産でない非原産品からの項番変更は、実質変更基準として認められていない(ASEAN第三国産材料使用の許諾ルールによる)。
    • 一部の非原産材料に関して、関税分類変更基準を満たさない場合であっても、僅少であれば(付属書Aに定める特定の割合以下)考慮しなくてよいとされており、原産品と認められる(デミニマス規定)。

    なお、EPA特恵関税を適用するためには積送基準(直送輸送)も満たす必要があります。

II. 原産地証明書

  1. 特恵原産地証明書と一般原産地証明書
    シンガポールで発行される原産地証明書の分類としては、特恵原産地証明書(Preferential Certificate of Origin)と一般原産地証明書(Ordinary Certificate of Origin)に大きく分けられます。
    1. 特恵原産地証明書
      相手国バイヤーが、輸入(納税)申告の際にFTA/EPA税率による特恵関税待遇を申告する際に用いられます。特恵原産地証明書の様式(Form)は、シンガポールと締約相手国との協定ごとに異なります。
    2. 一般原産地証明書
      関税の減免税目的ではなくシンガポールでの原産品であることを証します。
  2. 発給機関
    1. 特恵関税原産地証明書の発行機関は、シンガポール税関のみ。
    2. 一般原産地証明書については、シンガポール税関の他、同税関が認可したシンガポール国際商業会議所等6つの発行機関があります。
  3. 発給手続き
    税関への発給申請手続きは次の4つの手順で行います。
    1. 工場/製造所の登録
      製造者が申請書式または電子ファイルで登録申請する。適格工場かどうか検査され、合格すると登録番号の入った承認書が発行される。
    2. 製造原価申告書の提出
      製造者は当該商品が原産地規則に準拠している旨を証明するために、製造原価申告書を提出する。提出する書式は、原産地証明の種類に合った規定のものでなければならない。
    3. TradeNetシステムによる原産地証明書の申請
      税関承認が得られた製造原価申告書(Approved Cost Statement)は1年間有効で、その間に製造者は、原則として電子申請「TradeNet」システムで原産地証明発給申請を行う。
    4. 原産地証明書の取得
      承認された原産地証明書はCrimesonLogicサービスビューロから申請後2営業日以内に得られます。申請者または代理人は原産地証明書ごとに認可書(Letter of Authorization)のコピーと輸出者のインボイスを提示します。

III. シンガポールが締結しているFTAと主な原産地証明書フォーム

日本企業にとっては、日本とシンガポールとの直接貿易に関係してくるJSEPAやASEAN・日本包括的経済連携協定(AJCEP)に加えて、三国間貿易(仲介貿易)の場合、シンガポールが締結している他のFTAも利用できます。多国間FTAと2国間FTA合わせて2016年8月現在下記の21のFTAが発効されています。

  1. AFTA: ASEAN自由貿易協定の物品貿易協定(ATIGA)(Form D)
  2. AANZFTA: ASEAN・オーストラリア・ニュージーランドFTA(Form AANZ)
  3. ACFTA: ASEAN・中国FTA (Form E)
  4. AIFTA: ASEAN・インドFTA(Form AI)
  5. AJCEP: ASEAN・日本包括的経済連携協定(Form AJ)
  6. AKFTA: ASEAN・韓国FTA (Form AK)
  7. SAFTA: シンガポール・オーストラリアFTA
  8. CSFTA: 中国・シンガポールFTA
  9. SJFTA: シンガポール・ヨルダンFTA
  10. CECA: シンガポール・インド包括経済協力協定
  11. JSEPA: 日本・シンガポール新時代経済連携協定
  12. KSFTA: 韓国・シンガポールFTA
  13. ANZSCEP: ニュージーランド・シンガポール経済緊密化協定
  14. PSFTA: パナマ・シンガポールFTA
  15. PeSFTA: ペルー・シンガポールFTA
  16. ESFTA: EFTA・シンガポールFTA
  17. Trans-Pacific SEP: シンガポール・ブルネイ・ニュージーランド戦略的経済パートナーシップ協定
  18. USSFTA: 米国・シンガポール自由貿易協定
  19. GSFTA: GCC・シンガポールFTA(GCC-湾岸協力会議、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、バーレーン、オマーン、カタール加盟)
  20. SCRFTA: シンガポール・コスタリカFTA
  21. ASTEP: 台湾・シンガポール経済パートナー協定

関係機関

Singapore Customs(シンガポール税関)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Singapore's FTA website(FTA、シンガポール国際企業局)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Ministry of Trade and Industry (シンガポール経済産業省)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報

シンガポール税関:
Handbook on Rules of Origin for Preferential Certificates of OriginPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1,013KB)
Certificates of Origin外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

日本外務省:
日・シンガポール経済連携協定(JSEPA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
日・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

日本税関:
EPA関税・税関関係外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
EPA協定条文・原産地証明書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
EPAステージング表2012年4月版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

ジェトロ:
世界各国の関税率

調査時点:2017/3

記事番号: A-041146

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