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中古車の現地輸入規制および留意点:米国向け輸出

質問

米国へ中古車を輸出する際の現地の輸入規制について教えてください。

回答

日本から米国に輸出する中古車は、1966年自動車安全法(1988年改正)による安全基準、1972年自動車情報およびコスト節減法(1978年施行)によるバンパー基準、および1968年クリーンエア法による大気汚染管理基準などの規制を受けます。

I. 輸入規制

  1. ハンドル規制
    右ハンドル車の輸入に特別の規制はありません。安全基準に準拠して製造されていれば、右ハンドル車も輸入可能です。安全基準に準拠しないで製造された車は、運輸省(Department of Transportation: DOT)国家道路交通安全監督局(National Highway Traffic Safety Administration: NHTSA)が登録輸入業者(Registered Importer: RI)からの請願書を受け、適合していると認められれば輸入は可能です。適合の判断基準は以下のとおりです。なお、車種、重量、排気量規制は特にありません。
    1. 安全基準に準拠して製造された同年度の車種と実質上同じ(substantially similar)である。
    2. 改造が容易であること。輸入しようとしている右ハンドル車の左ハンドル車種が米国で販売されていても、substantially similarとは必ずしも認められません。ただし、日本車のメーカーが、右ハンドル車も衝突テストで左ハンドル車と同じ性能を持つことを証した書面をNHTSAに提出し受理された場合は認められます。この証明がない場合、RIは改造された車の衝突テストを含めた安全基準に適合する証明書をNHTSAに提出しなければ輸入は許可されません。
  2. 排ガス規制
    1. 排ガス基準の内容
      クリーンエア法による大気汚染管理のため、米国環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)が連邦規定の試験方法に則り、車種、年式グループ別、高速および通常道路上別、走行距離グループ別にCO基準を設定しています(「Emission Standards Reference Guide外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」参照)。
      車両がEPA排ガス基準に準拠して製造された米国版(US version car)ならば、EPAの承認なしで輸入可能です。
    2. 排ガス基準の規制対象となる中古車
      1. 1968年1月1日以降に製造されたガソリン乗用車および軽トラック
      2. 1975年1月1日以降に製造されたディーゼル式乗用車
      3. 1977年1月1日以降に製造されたディーゼル式軽トラック
      4. 1978年1月1日以降に製造された自動二輪車
    3. 排ガス基準非適合車(Non US version car)の輸入制度 [注1]
      排ガス基準非適合車の場合は、必要に応じ通関担保金(Custom entry bond)として輸入申告額の3倍を支払い、EPA認定の輸入業者(Independent Commercial Importer: ICI)の下で非適合車両として輸入し、適合させるための改造を行うことができます。ICIリストはインターネットで検索できます。ICIは1社当たり1年間に軽自動車、軽トラック、乗用車を合計で50台、自動二輪車50台を輸入し、適合改造を行うことができます。
    4. 以下の車には排ガス規制が適用されません。
      1. 米国排ガス基準制定(1968年1月1日)以前に製造されたガソリン乗用車と軽トラック
      2. オフロード車(2005年およびそれ以前の年式で、走行速度25マイル以下で、公道の走行に適さない車、ただし、25マイル以下に改造された日本製中古軽トラック[注2]を除く) 、レーシングカー(公道を走行しないもの。別途、通関時にEPAの許可書が必要)

      なお、排ガス基準については米国の場合、各州の基準がEPA基準に優先しますので、事前にチェックする必要があります。

  3. 安全基準・バンパー基準・盗難防止基準
    連邦自動車安全基準(Federal Motor Vehicle Safety Standard: FMVSS)の規制対象となる中古車は(製造後)車齢25年未満の乗用車、トラック、自動二輪車です。また、1978年9月1日以降に製造された車両はバンパー基準に、また、1987年以降に製造された車両は盗難防止基準にそれぞれ適合しなければなりません。
    FMVSSに適合して製造された車両(自動二輪車を除く)には、運転席側のドアに認証ラベルを貼付します。認証ラベルが貼付されていない車両は適合車として輸入することができないため、RIが契約の下、DOTに担保金として輸入申告額の1.5倍を支払い、車両の改造・認証を行います。FMVSSへの適合が可能かどうかはNHTSAが決定します。
    すでに米国に輸入実績のある車種は、NHTSAの「eligibility list」に掲載されています。リスト掲載車は通常、通関後DOTとEPAの対応整備登録手続きが可能な車種です。ただし、国内モデルと大きく異なる車種の場合、輸入者にとって改造のための費用と、適合化のために要する時間は大きな負担になりかねません。RIとよく相談する必要があります。

II. FMVSS非適合車の一時輸入制度について

  1. 個人使用限定の一時的輸入特例
    個人の永続的使用のための輸入は商用輸入と同じ規制を受けますが、非居住者が1年未満の個人使用目的のために無税で排ガス基準非適合車、FMVSS非適合車(右左ハンドルを問いません)を輸入することができます(排ガス基準、FMVSSに適合するための改造の必要はありません)。ただし、米国内での売却はできず、1年以内に日本へ積み戻ししなければなりません。排ガス基準非適合車の一時的輸入の場合、EPAの許可書を税関に提出する必要があります。
  2. 展示目的で輸入する場合
    歴史的あるいは技術的に貴重な自動車は、年間2500マイル以内の走行条件で、展示目的での輸入が可能です。
    そのほか、競走用自動車の一時輸入を含め、詳細については、国家道路交通安全監督局(NHTSA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをご覧ください。

III. 輸出手続き

輸出者として用意しなければならない書類については、文末の参考資料・情報で紹介している貿易・投資相談Q&A「中古車輸出の際の通関手続きおよび必要書類」を参考にしてください。

IV. 輸入通関

  1. 輸入通関必要書類
    インボイス、B/L、パッキングリスト、(英文、和文併用の)輸出抹消仮登録証明書(以上の書類は輸出者が送付)、RIとの契約書、保証書(輸入者が用意する)
  2. 関税
    FOB価格に対して乗用車2.5%、トラック25%、自動二輪車無税または2.4%。詳細は米国関税率表または「世界各国の関税率」を参照ください。
  3. 輸入にかかわる連邦税(Gas-Guzzler Tax)
    燃費が基準以下の輸入車に対して賦課されます。税額はEPAにより割り当てられた市街/高速道複合燃費に基づき決定されますが、複合燃費が22.5マイル/ガロン以上の自動車は無税です。
  4. 防疫
    米国農務省(US Department of Agriculture)は船積前に輸入車のタイヤ、車内、トランク内から植物、植物の種、土、泥などを完全に除去することを要求しています。
  5. 船積み輸送する車両内に、車輌と関係のない物品等を積み込むと輸出取消になるおそれがあります。

V. その他留意点

排ガス規制はEPA、安全・バンパー・盗難防止基準はDOTと、2つの異なる省庁の管轄にまたがっているため、手続きが非常に複雑でかつ改造に要する費用も非常に高額になります。米国ではすでに日本車が年間300万台以上生産されていますので、特別な理由がない限り、高額な日本製中古車を輸入する必然性は低くなります。米国に中古車を輸出する場合は、事前に十分な市場調査を行い、中古車輸入制度を熟知した業者を通じて進めることが肝要です。

[注1]
個人が車齢21年以上で原型未改修の形状・構造の排ガス基準非適合車を輸入する場合に限り、排ガス規制が免除されます。エンジン交換された車齢21年以上の車両は、エンジンが交換された年と同等、またはより新しいEPA適合エンジンと排出制御システムを備えていなければ免除対象になりません。車齢は、輸入する年から製造した年を差し引いて決定されます。

[注2]
2008年12月8日にノンロードエンジンに対する排ガス基準が制定、施行されました。「元々は自動車として製造され使用され、オフロード車として輸入適格にするために走行速度を25マイル以下に改造された日本製中古軽トラック」は、米国輸入に際し、製造者の排ガス基準適合証明書(改造年が古くても上記制定の排ガス基準で輸入年の前年の基準に合格しなければならない)を提出し、EPAの認定を受けないと輸入できなくなりました。また、米国税関はクリーンエア法に不適合の軽トラックをFTZで改造することは認めていません。

参考資料・情報

米国環境保護庁(EPA):
米国への自動車・エンジン輸入手続き外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ICI リスト(2012年1月現在)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
排出基準参考ガイド(Emission Standards Reference Guide)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国家道路交通安全監督局(NHTSA):
一時輸入ガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(25KB)
非居住者による一時輸入外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
展示会向け一時輸入外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国国際貿易委員会:
米国関税率表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国家道路交通安全監督局(NHTSA):
改造適格のNHTSA安全基準不適合車リスト「eligibility list」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(429KB)
米国税関・国境警備局:
不適合軽トラック輸入における変更(Change in Non-Compliant Mini-Truck Importations)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ:
貿易・投資相談Q&A「中古車輸出の際の通関手続きおよび必要書類」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
世界各国の関税率外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2016/08

記事番号: A-021214

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