中古車の現地輸入規則および留意点:ミャンマー向け輸出

ミャンマーへ中古車を輸出する際の現地での輸入規則および輸入手続きについて教えてください。

ミャンマーの貿易取引は全て許可制のため、事前に現地で輸入ライセンスの取得が必要です。中古車の輸入規制は、2011年から2012年にかけて大きく緩和されました。
 
I. 中古自動車輸入に関する規則
現在、1. 廃車証明書の添付による輸入方法(製造年の古い車両を廃車にして新たに輸入する方法)と、2. 外資預金口座の開設による輸入方法の2通りが存在します。

1. 廃車証明書の添付による輸入方法(製造年の古い車両を廃車にして新たに輸入する方法)
2011年9月から実施されている、輸入方法です。
これは、車両登録期間が長期に及ぶ、古い車両が持つ問題(燃費が悪い、安全性が低い、排気ガスが環境を汚染しているなど)を是正するために、古い車両を新しい年式の車両に取り替えることが目的です。
この方法では、所有している古い車両を廃車にして廃車証明書を得ることで、代わりの中古車が輸入できます。輸入可能な車両の年式は「3. 輸入可能年式」を参照ください。

個人による輸入を想定した規制内容となっていますが、実際には現地中古車販売店が個人、ブローカーから廃車証明書を取得し、ある程度まとめて輸入し、手数料を上乗せして現地の顧客に販売しているケースが多いと言えます。

この政策の留意点は以下のとおりです。
a. 廃車の対象となるのは、陸運局に登録のある車両のうち、登録期間が20年を越える車両
b.廃車の依頼者は、陸運局に車両登録を行った本人でなければならない

2.  外資預金口座の開設による輸入方法
2012年5月から実施されている方法で、対象はミャンマー国籍の個人・輸出入業者・防衛省職員・ホテル観光関連事業者、並びに外交官・船員・外国人労働者とされています。
これは、外貨預金口座を開設した上記の対象者に対し、車両1台分の輸入許可が与えられるものです。輸入可能な車両の年式は「3. 輸入可能年式」を参照ください。

3. 輸入可能年式、ハンドル規制
上述の輸入方法によって、輸入可能な年式が異なります。
2014年12月22日付通達(No. 14/07/2014(869))によれば、以下のとおりです。

2.外貨預金口座の開設 貨物車(トラック)
1. 廃車証明書の添付 2.外貨預金口座の開設
乗用車 2003~2009 2010~2015
乗用車(1350cc以下) 2003~2015 2010~2015
貨物車(トラック) 2003~2009 2005~2015
旅客自動車(観光バス) 2003~2009 2010~2015(注)
ミニバス、路線バス - 2005~2015(注)
(注)左ハンドルのみ

なお、ハンドル規制については、上記のバスに関する左ハンドル規制のほか、2014~2015年式の「新車」を輸入する場合は、左ハンドルのみ輸入可能です。

中古車の左ハンドル規制について、政府は以前から、いずれ施行する方向で議論を重ねてきていますが、輸入規制緩和後の日本車(右ハンドル車)の大量流入、また日本車の圧倒的シェア等から、まだ通達等は発表されておらず、実施には至っていません。

4. 課税基準
ミャンマーでは輸入通関時の課税基準について、インボイス価格によらず、税関がこれを決定する「賦課課税方式」が採用されています。
自動車の課税基準に関し、2014年までミャンマー政府から発表されていた車種別の課税基準(CIF価格)リストは、2015年から発表されないことになりました。
このため現在は、課税基準が不透明となっており、実際には2014年CIF価格リストに基づいた価格で輸入申告を行う事業者が多いとされます。

5. 車庫証明書
2015年1月1日からヤンゴン管区政府により、自動車輸入時に「車庫証明書」の添付が求められています。これは市内の渋滞緩和、路上駐車の減少を目的に開始された施策です。同証明書の発行窓口は、ヤンゴン管区政府です。
本証明書についての運用は現在、(何の通達もなく)頻繁に変更されているため、輸入ライセンス取得手続きが滞る場合がありますので、在ミャンマー個人向けの輸出の際にはこの点、注意が必要です。

II. 日本からの輸出手続き
1. 輸出者として用意すべき書類
 必要書類は「日本からの中古車輸出の際の通関手続き、および必要書類」(文末の参考資料・情報参照)で紹介している書類です。

2. 輸出者として行うべき検査
 船積前検査が要求されています。
ただし、実際には政府認定検査機関の指定がないため、ミャンマー向け中古車の船積前検査の実績はなく、輸出者がインボイス上で自己証明すればよいとされていますので、契約時に輸入者に直接ご確認ください。
検査事項は以下のとおりです。
  1. エンジンの動作確認(動作に異常なく、真正かつ新しい部品に交換済みであること)
  2. ブレーキ含むシャーシの安全性(オーバーホールと必要な修理・部品交換が済んでいること) 
  3. 車体状態(必要な修理・塗装がなされていること) 
  4. 車内状態(清潔であること) 
  5. バッテリーとタイヤ(新しいものに交換済みであること) 
  6. ハンドル(左右の位置を問わないが、バスは左ハンドル車のみ輸入可能。上述のとおり、近年他の車種(特に新車)についても左ハンドル車のみを輸入可能とする施策の提言が数度されており、注意が必要です。)
  7. 政府認定検査機関からの検査を受けていること

III. 輸入手続き
車両輸入管理委員会への申請の他、輸入のつど、輸入ライセンスを取得する必要があります。

1. 車両輸入管理委員会への申請
以下の書類を、車両輸入に関する管理委員会に提出します。
  1. 車両輸入申請書
  2. 国民登録身分証明カードの原本と写し
  3. 銀行通帳とその写し
  4. 住民登録家族リストの原本とその写し
  5. 輸入予定の車両のインボイス
  6. 車両輸入に関する管理委員会に対して既に申請し、過去に輸入許可を発行された者ではないことを宣誓陳述する書類

2.輸入ライセンス(import license)取得
発給窓口は従来、首都ネピドーにある商業省貿易局だけでしたが、現在はヤンゴンでも発給を受けられるようになりました。
詳細は、JETROウェブサイトの「輸出入手続き(ミャンマー)」を参照ください。

3. 輸入通関
「輸出入手続き(ミャンマー)」に記載のある必要書類の提出に加え、上述の「II-2.船積前検査」に関連し、Inspection & Testing Certificate(船積前検査証明書)、またはインボイス上で自己証明を行う必要があります。

4. 車両登録手続き
通関手続き終了後、ただちに、全国50カ所の鉄道運輸省自動車交通管理部で車両登録の必要があります。

a. 必要書類
 輸入申告書(税関発行)
 輸入ライセンスおよび輸入ライセンス
輸入証明書(税関発行)
 自動車保険証

 b. 車両登録料 (2014年11月現在)
貨物自動車:5%
バス:5%
1350cc以下の乗用車:50%
1351cc以上2000ccまで:80%
2001ccから5000ccまで:100%
5001cc以上の車両:120%

IV. 輸入にかかる諸税
1. 輸入関税
 輸入時は関税率表にしたがって、輸入関税(Import Duty)を支払います。
課税基準は賦課課税方式によるCIF価格です(I-4.課税基準を参照)。
 <輸入関税率>
バス:3%
 乗用車:原則的に排気量2000cc未満は30%、2000cc以上は40%
 貨物自動車:3%
 特殊車両:1%

2. 商業税
 輸入時に商業税(Commercial Tax)も課税されます(税率は品目によって異なります)。課税基準は陸揚時の価格(CIF価格と輸入関税額の合計)です。
 乗用車は25%、その他は5%です。

3. 前払い法人税
原則すべての輸出入貨物を対象に、前払い法人税が2%徴収されます(2013年6月13日より導入)。輸入の際、関税の納付時に国税局に納付します。個人名で輸入する自動車などは対象外です。


2015年2月時点で、主な条件は以上のとおりですが、規制はこれまで頻繁に変更されており、今後、さらに多くの変更が行われることが確実に予測されます。実際の取引時には、輸入者を通じて十分確認しながら進めることが肝要です。
 

関係機関
在日ミャンマー連邦大使館外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
商業省貿易局国際貿易促進部(Ministry of Commerce, Directorate of Trade, International Trade Promotion Dept.)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
鉄道運輸省自動車交通管理部(Ministry of Rail Transportation, Road Transport Administration Department)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます


参考資料・情報
 『Customs tariff of Myanmar』Myanmar Customs Department、2012
ジェトロ:
輸出入手続き(ミャンマー)
貿易・投資相談Q&A「中古車輸出の際の必要書類と手続き:日本
 

調査時点: 2015/02

記事番号: A-021209

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