日本からの輸出に関する制度 青果物の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する青果物のHSコード

0703.10.01:タマネギ(Allium cepa
0805.21.00:ミカン(Citrus reticulata
0808.10.00:リンゴ(Malus x domestica

*青果物全体(0701~0709、0801~0817)のうち、日本からニュージーランドへ輸入できる農産物は前述の3種類のみであり、かつそれぞれ括弧内の学名の種に限られます。詳しくは「輸入規制」を参照してください。

ニュージーランドの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年8月

ニュージーランドでは、植物および植物由来の製品について、所管官庁である第一次産業省(MPI)が「ポジティブリスト」に沿って輸入を審査します。適用される輸入検疫規則(Import Health Standard)を制定した次の品目のみ輸入が可能です(Section 22 of the Biosecurity Act 1993)。

日本産の農産物の場合、次の3品目(括弧内の学名の種)に限り輸入が可能です:

  • タマネギ(Allium cepa)
  • ミカン(Citrus reticulata)
  • リンゴ(Malus x domestica)

(1)同省が制定した各品目に関する輸入検疫基準( Import Health Standard)は「第一次産業省輸入検疫基準152.02(MINISTRY FOR PRIMARY INDUSTRIES STANDARD 152.02)」であり、その165-169ページに品目ごとの具体的な輸入条件が詳述されています。

(2)また、同省ウェブサイトの「青果物の輸入(Importing fresh fruit and vegetables)」では、前述に加えて植物由来の生鮮食品一般の輸入に必要な手続きと書類について記述しています。

(1)、(2)の具体的な内容は「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等」、「3.動植物検疫の有無」、および「食品関連の規制」、「輸入手続き」の各項目を参照してください。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2021年8月

日本から前述3品目を輸入するためには輸出国所管官庁である植物防疫所発行の輸出検査を受け、検疫証明書(Phytosanitary Certificates)を発行してもらう必要があります。詳しくは植物防疫所ウェブサイトの「輸出検査について」を参照してください。
なお、同証明書には品目ごとに定められた特定の検疫情報を記載する必要があります。詳しくは、「3.動植物検疫の有無」を参照してください。
みかん、りんごは生産園地の指定、園地および選果梱包施設の登録、園地検査、ミバエ類のモニタリング調査が必要です。タマネギは日本での栽培地検査が必要です。

第一次産業省(MPI)が発行したガイダンス「消費を目的とした生鮮食品の輸入(Importing fresh produce for consumption)」によれば、同証明書をニュージーランドの検疫当局に対して、海運の場合は到着の48時間以上前に、空輸の場合は48時間前から到着するまでに提出しなければなりません。提出がない場合は返送または廃棄処分される可能性があります。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年8月

第一次産業省(MPI)が前述3品目を対象に制定した輸入検疫基準(Import Health Standard)である「MINISTRY FOR PRIMARY INDUSTRIES STANDAR 152.02」の規定によると、検疫証明書(Phytosanitary certificates)に求められる一般的な事項に加えて品目ごとに次の検疫情報を記載する必要があります:

タマネギ(Allium cepa
  1. 所定の検疫検査が実施され、その結果第一次産業省(MPI)が規定した一般的な対象病害虫類が目視で検出されなかったこと。
  2. とりわけ「Puccinia asparagi(アスパラガスさび病)」種の発生防止に有効な病害虫管理がされているか、または公式検査で同種が発見されていない地域から産出したこと。
ミカン(Citrus reticulata
    1. 所定の検疫検査が実施され、その結果、第一次産業省(MPI)が規定した一般的な対象病害虫類が目視で検出されなかったこと。
    2. とりわけ本品目を対象にした追加の輸入検疫基準(Import Health Standard)である「品目サブクラス:生鮮青果物/野菜類>日本産マンダリンオレンジ(Commodity Sub-class: Fresh Fruit/Vegetables, Mandarin, Citrus reticulata from Japan)」の次の各項の規定をすべて満たすこと:
      • ニュージーランドの第一次産業省(MPI)と日本の農林水産省が合意した二国間検疫規定の条件にのっとった輸入であること。
      • ニュージーランドの第一次産業省(MPI)が「リスク・グループ3」と分類した種の発生防止のための有効かつ合意された病害虫管理がされていること。
      • 次の生物種の発生防止に有効な病害虫管理がされているか、または公式検査で同種が発見されていない地域から産出したこと:
        • Bactrocera tsuneonis(ミカンバエ)
        • Tetranychus kanzawai(カンザワハダニ)
        • Xanthomonas campestris pv. Citri(カンキツかいよう病)
リンゴ(Malus x domestica
  1. 所定の検疫検査が実施され、その結果第一次産業省(MPI)が規定した一般的な対象病害虫類が目視で検出されなかったこと。
  2. とりわけ「Monilinia fructigena(リンゴ灰星病)」種の発生防止に有効な病害虫管理がされているか、または公式検査で同種が発見されていない地域から産出したこと。


ニュージーランド到着後、第一次産業省(MPI)は600単位のサンプル(これら3品目の場合、実1個が1単位)を抽出して前述の規定を満たしているかを検査します。この検査では、当該病害虫の感染率が95%信頼区間で0.5%以下であることが求められます。

ニュージーランドの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年8月

青果物に関しては、特に食品規格は定められていないものとみられます。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2021年8月

第一次産業省(MPI)ウェブサイトの「ニュージーランドまたはその他の国向けの植物由来食品に関する農薬の最大残留レベル(Pesticide Maximum Residue LevelsMRLs)for plant-based food for NZ and other countrie)」では、輸入食品の残留農薬基準について次の(1)と(2)の両方を満たす必要があると記述しています:

(1)(同国内で生産される食品と同じ基準である「農業化合物の最大残留レベル(Maximum Residue Levels(MRLs)for Agricultural Compounds - Food Notice)」による品目・対象化学物質別の上限規制。 *特に規定されていない農薬成分については、一律に最低限の基準である「上限0.1mg/kg」が適用される。

(2)食品関連基準の調和を図る国際機関であるコーデックス食品法典(Codex Alimentarius Commission(CAC))が制定した世界基準である「Codex MRLs」による品目・対象化学物質別の上限規制。

なお、前述の規定は根拠法となっている「Food Regulations 2015」(Part Six)からも確認することができます。

前述(1)と(2)はともに品目・対象化学物質別の規定となっており、具体的な化学物質名あるいは「Onion」、「Mandarin」、「Apple」でキーワード検索してケース・バイ・ケースで確認することになります。

第一次産業省(MPI)のデータベース(MPI pesticide maximum residue limit database)から、対象国(ニュージーランドを選択)、よく使われる農薬成分、そして対象農作物を選択することで、(1)と(2)を合わせた情報を確認することができます。


3. 重金属および汚染物質

調査時点:2021年8月

第一次産業省(MPI)ウェブサイトの「ニュージーランドで植物を販売(Selling plant products in New Zealand)」では、ニュージーランド国内で販売される食品の重金属および汚染物質に関する規制は関連法規である「オーストラリア・ニュージーランド食品基準規約(The Australia New Zealand Food Standards Code)」によって定められていると記述しています。

具体的に該当するのは「汚染物質および自然毒性物の一覧(Schedule 19 - Contaminants and natural toxicants)」の内容であり、「fruits」に該当する物質は「鉛」のみであり、その上限は0.1mg/kg と規定されています。

4. 食品添加物

調査時点:2021年8月

ニュージーランド国内で販売される食品に使用できる食品添加物および許可された上限使用量は「オーストラリア・ニュージーランド食品基準規約(The Australia New Zealand Food Standards Code)」によってポジティブリスト形式で定められています。

具体的に該当するのは「食品添加物として使用できる物質の一覧(Schedule 15 - Substances that may be used as food additives)」の内容であり、「fruits」や「apple」でのキーワード検索では、今回の対象品目に関連するものは主に次のとおりです。


-生鮮果物の表面処理に使用される添加物(4.1.1 Untreated fruits and vegetables)
添加物名 上限使用量
リン酸アンモニウム GMP
モノ-およびジグリセリン脂肪酸エステル GMP
ショ糖脂肪酸エステル 100mg/kg
蜜蝋(白色および黄色) GMP
カルナウバ蝋 GMP
シェラック GMP

GMP = Good Manufacturing Practice(適正製造基準)

-ミカンを含む柑橘類に使用される添加物(4.1.2.1 Citrus Fruit)
添加物名 上限使用量
酸化ポリエチレン 250mg/kg
プロピレングリコール 30000mg/kg
-生産目的の添加物(リンゴとポテトのみ)(4.1.3.1 Products for manufacturing purposes - Only apples and potatoes
添加物名 上限使用量
二酸化硫黄、ナトリウム、亜硫酸カリウム 200mg/kg
亜硫酸塩 200mg/kg

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年8月

ニュージーランドへ青果物を輸入する場合、第一次産業省(MPI)ウェブサイトの「生鮮の青果物を輸入する方法(Steps to importing fresh fruit and vegetables)」ではその包装について次のような条件が課されていると記述しています:

  • 検疫証明書記載の許可された包装材料を使用すること。
  • 土壌やその他の汚染物が付着していないこと。

6. ラベル表示

調査時点:2021年8月

ニュージーランド国内で販売される食品のラベル表示に関しては、「オーストラリア・ニュージーランド食品基準規約(The Australia New Zealand Food Standards Code)」を満たす必要があります。

具体的には「ラベル表示またはその他の形による情報提供の要件(Standard 1.2.1 - Requirements to have labels or otherwise provide information)」の6(c)に、生鮮の青果物(全部またはカットされた一部)であることが外から見て分かる包装であればラベル表示は必須ではないと規定されています。

ただし、第一次産業省(MPI)が発行した 「食品包装・ラベル表示(Packaging and labelling your food)」文書によれば、前述の規定によりラベル表示が必須でない青果物でも次に該当する場合は何らかの表記でその旨を表示する必要があります:

  • 遺伝子組換え食品である場合
  • 放射線照射を受けた場合

7. その他

調査時点:2021年8月

なし

ニュージーランドでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2021年8月

日本から青果物を含む食品をニュージーランドへ輸入するには、事前に食品輸入事業者登録をするか登録されているエージェントに輸入を代行してもらう必要があります。

第一次産業省(MPI)ウェブサイトの「食品輸入業者登録(Registering as a food importer)」によれば、登録には次の要件を満たす必要があります:

  1. 所得税法(Income Tax Act 2007)上のニュージーランド居住者(個人または法人)であること
  2. 2014年食品法(Food Act 2014)が定める食品輸入事業者の義務を果たすこと:
    • 安全かつ用途に適した食品を仕入れること
    • 保存または輸送の課程を通じて食品の安全を保障すること
    • 各種記録を保存すること
    • 食品が安全でない/なくなった、または用途に適さない/適さなくなった場合にリコールできる体制を整えていること

これらの義務の具体的な要件に関しては、第一次産業省(MPI)が発行したガイダンス「登録輸入業者としての必要条件(Guidance: Meeting Requirements as a Registered Food Importer)」を参照してください。

食品輸入事業者の登録はニュージーランド税関サービスのウェブサイト「Business > Import > Lodge your import entry > Client codes」からダウンロードできるForm 224を使って申請します。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年8月

日本から許可された3品目の青果物をニュージーランドへ輸入するには、通常の通関書類(パッキングリスト、コマーシャルインボイス、通関申告書など)に加え、「輸入規制」で詳述した各品目に必要な情報を記載した検疫証明書(Phytosanitary Certificate)を提出する必要があります。

第一次産業省(MPI)が発行したガイダンス「消費のための生鮮食品の輸入(Importing fresh produce for consumption)」によれば、同証明書をニュージーランドの検疫当局に対して、海運の場合は到着の48時間以上前に、空輸の場合は48時間前から到着するまでに提出しなければなりません。提出がない場合は返送または廃棄処分される可能性があります。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年8月

日本から前述3品目の青果物をニュージーランドに輸入する場合、第一次産業省(MPI)は同国到着後に各コンサインメントから600単位のサンプル(これら3品目の場合、実1個が1単位)を抽出して「輸入規制」の「3. 動植物検疫の有無」で述べた病害虫に関する規制を満たしているか検査します。この検査では、当該病害虫の感染率が95%信頼区間で0.5%以下であることが求められます。

第一次産業省(MPI)の検疫官はまた、検疫証明書(Phytosanitary Certificate)を含む必要書類の有無、対象青果物の学名を明記したラベル表示、そして包装が生物片、土壌、病原体や病害虫に汚染されていないかを検査します。

4. 販売許可手続き

調査時点:2021年8月

青果物に関しては、特に適用される販売許可制度はないものとみられます。

5. その他

調査時点:2021年8月

なし

ニュージーランド内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年8月

ニュージーランド税関ウェブサイト上の「ニュージーランド税関現行関税率 セクション2(New Zealand Customs Service - - Working Tariff Document, Section2) 」によれば、次の3品目にはいずれも関税は課せられません。

0703.10.01:タマネギ(Allium cepa) 0805.21.00:ミカン(Citrus reticulata) 0808.10.00:リンゴ(Malus x domestica

なお、これらは二国間協定などによるものではなく、輸出国を問いません。

2. その他の税

調査時点:2021年8月

ニュージーランド国内市場で消費用に輸入された青果物は、15%の物品・サービス税(GST = Goods and Services Tax)を課されます。

ニュージーランド内国歳入庁ウェブサイトの「物品・サービス税免税品目(Exempt supplies)」に記載のとおり、オーストラリアの場合と違って基礎食料品である未加工の一次産品はGSTの免税対象でありません。

3. その他

調査時点:2021年8月

なし

その他

調査時点:2021年8月

なし