日本からの輸出に関する制度

清涼飲料水の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する清涼飲料水のHSコード

220210-220299:
水(鉱水および炭酸水を含むものとし、砂糖その他の甘味料または香味料を加えたものに限る。)その他のアルコールを含有しない飲料(果実または野菜のジュースを除く)

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UAEでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2022年6月

UAEにおける食品の輸入手続きは、各首長国の税関および食品安全局(Food Safety Department)や農業食品安全機関(Agriculture and Food Safety Authority)が実施を担っています。

ドバイ首長国の場合、清涼飲料水を含むすべての食品の輸入に際して、輸入者によるドバイ市政庁食品安全局の食品輸入再輸出システム(FIRS:Food Import Re-Export System)への事前登録が必要となります(輸入者の要件は「輸入手続き」の「4.販売許可手続き」を参照)。
輸入する食品はすべてFIRSの登録分類システムに登録する必要があり、輸入者は、輸入前に食品ラベルの評価も実施する必要があります。FIRSへの登録は、ドバイ市政庁E-Governmentを通じて行います。登録と輸入申請のための手順は次のとおりです。

  • 企業の登録:商業ライセンスを持つ輸入者がドバイ市政庁のE-Governmentウェブサイトに登録してアカウントを作成し、そのうえでFIRSへの登録を行います。
  • 食品の登録とラベル評価手続き:バーコード番号に基づいて輸入する食品をFIRSに登録し、ラベル評価手続きを行います。審査結果は申請日から5営業日と言われていますが、添加物の使い方や、登録に用いた画像が荒いなど、申請内容によっては却下の対象となります。その場合は再申請となるため、余裕を持った申請作業が必要になります。
  • 食品輸入申請:FIRSの登録分類システムに登録した食品について、FIRSを通じて必要情報を入力し、輸入申請を提出します。手続きが完了すると照会番号が作成され、この番号は港での検査時に必要になります。

2018年2月からUAEの各エミレーツ(首長国)で共通運用する連邦気候変動環境省のポータルサイトのZad(アラビア語で食品の意)システムが運用開始されました。ドバイ首長国が従来利用していたFIRSシステムはZADシステムと互換性を持っており、ドバイ首長国においては現在もFIRSシステムが利用されています。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2022年6月

清涼飲料水の輸入通関には、次の書類が必要となります。

  • 輸入申告書
  • 荷渡指図書(D/O)
  • 船荷証券(B/L)
  • インボイス
  • パッキングリスト
  • 原産地証明書
  • 衛生証明書(日本の商工会議所でサイン証明による衛生照明書を取得する必要があります。その際、ドバイ向けに限っては、サイン証明書の書式が規格化されています。)
  • ハラール証明書(畜肉および畜肉派生品を含む場合のみ必要。例えば、当該原料を使ったスープなどは必要だが、おおむねの清涼飲料水の場合は不要である。「その他」の記載を参照)

通関については各首長国の税関が窓口となっており、ドバイ首長国においてはDubai Customs(ドバイ税関)が担当しています。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2022年6月

湾岸協力会議(GCC)では、各食品のリスクの高さに応じた食品検査システムを導入しており、輸入食品の種類によって検査の手続きが異なります。リスク分類のカテゴリーは、高・中・低の3段階で、人の健康に及ぼす危険性の度合いにより分類されます。GCC諸国は、このリスクベースシステムの分類に基づいて、輸入時の検査を実施する必要があります。
UAEにおける食品検査は、輸入通関手続地の食品安全局または食品管理庁が担っています。ドバイ首長国の場合、食品のラボラトリー検査は、ドバイ市政庁食品安全局の食品輸入再輸出サービス(FIRS)システムのリスク基準に従ってサンプル抽出し実施されています。
アブダビ首長国では、食品の種類によって人間に及ぼすリスクを高・中・低の3段階に分け、食品検査を実施しています。例えばチョコレートやビスケット、キャンデーなどの菓子は、中リスクに分類され、50~70%については衛生書類の確認のみ、15~25%については衛生書類の確認と貨物検査、15~20%については衛生書類の確認と貨物検査に加えサンプル抽出とラボラトリー検査を実施しています。リスク分類ごとの食品リストやリスクの分類は随時、変更される可能性があります。

食品のリスク分類と検査頻度
食品のリスク分類 衛生書類の確認
貨物検査
サンプル抽出・ラボラトリー検査
衛生書類の確認
貨物検査
衛生書類の確認
高リスク 80~100% 0~10% 0~10%
中リスク 15~25% 15~25% 50~70%
低リスク 5~10% 0~5% 85~90%

4. 販売許可手続き

調査時点:2022年6月

UAEで清涼飲料水を輸入・販売するにあたり、UAE国内共通のライセンスや登録はありませんが、輸入者は各首長国において食品に特化した商業ライセンスあるいは一般商業ライセンスを取得する必要があります。商業ライセンスの発行は、各首長国の経済発展局(DED:Department of Economic Development)がそれぞれ実施しています。さらに、輸入者は、税関で登録し、会社コードを取得する必要があります。

5. その他

調査時点:2022年6月

なし

UAE内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2022年6月

湾岸協力会議(GCC)統一関税法により、UAEに輸入される清涼飲料水は関税の対象となります。対外共通税率は5%です。GCC諸国からの輸入品は課税が免除されます。

2. その他の税

調査時点:2022年6月

UAE連邦課税庁(FTA:Federal Tax Authority)は、2017年10月1日から、たばこおよびエナジードリンクに100%、炭酸飲料に50%の課税を開始しました。エナジードリンクの定義は、市場でエナジードリンクとして販売されており、かつ、カフェイン、タウリン、ジンセン(朝鮮人参)、ガラナなどの刺激物を含む飲料に対しては、その含有量を問わず、100%の課税が処分されます。また、炭酸飲料の定義は、味の付いていない炭酸飲料を除く炭酸飲料全般を指します。また、炭酸飲料にすることを目的とした濃縮物、粉末状のもの、ジェル状のもの、抽出されたものも炭酸飲料としてみなされ、50%の課税がかかります。
また、2018年1月1日からはすべての食品・飲料を含み、一律5%のVATが導入されています。

3. その他

調査時点:2022年6月

なし

その他

調査時点:2022年6月

ハラール認証
UAEでは、動物および家禽類由来の肉派生品(現状は、牛肉および牛肉派生品に限る)は、ハラール認証を得た食肉処理場で加工されたものでなければ、輸入ができません。輸入の際には、ハラールであることを示すハラール証明書が必要になります。食肉以外でも、ハラール認証のない食肉処理場で加工された油脂などの肉の派生品を原材料に含む食品は輸入ができないため注意が必要です。ハラール証明書は、輸出国にあるイスラーム団体(ハラール・サーティフィケーション・ボディ:HCB)が産業先端技術省(MoIAT)に申請を行い、産業先端技術省(MoIAT)の関連組織で、HCBとしての適正を審査し、認可する組織のエミレーツ・インターナショナル・アクレディテーション・センター:EIAC)などが認可(Accredit)したHCBのみが発行できます。輸入時の許可条件の必要書類となっており、2022年6月時点では、宗教法人日本イスラーム文化センター(Japan Islamic Trust)、エミレーツハラールセンター(Emirates Halal Center for Standards & Quality Certificate Corporation)、NPO法人日本ハラール協会(Japan Halal Association)、プライムサーティフィケーション&インスペクションカンパニー(Prime Certification & Inspection Company Ltd.) の4カ所が該当します。
UAEでは、特定の場所を除き、国内で流通しているものは原則ハラール食品となっています。そのため、輸入にあたって産業先端技術省(MoIAT)が発行するUAEのハラールマークの肉などを含む食品への貼付は義務ではなく、また、UAE国内での販売には特に必要ありません。ハラールマークの取得に関する規制の詳細は、産業先端技術省(MoIAT)が2015年4月発行したUAE規格「UAE.S 2055-1:2015ハラール製品-パート1:ハラール食品の一般要件」に定められています。規格は、産業先端技術省(MoIAT)へ登録して購入が可能です。