関税制度

最終更新日:2025年02月07日

管轄官庁

国家税関局、経済省、最高会議(国会)、財務省

関税制度を所管する当局は以下のとおり。

国家税関局

関税制度を管轄する主要機関。関税の適用、ウクライナ対外経済活動物品分類(UCGFEA)に基づく物品の分類、および関税法の遵守を監督する。

経済省

関税率に影響を与える関税制度や国際貿易協定を含む貿易政策の策定・実施などを管轄する。

最高会議(国会)

関税率に関する法律を制定し、関税表に影響を与える可能性のある国際貿易協定を承認する立法府。

財務省

税制や関税関連の問題を含む財政政策を監督する。

関税率問い合わせ先

関税率の主要な問い合わせ先は国家税関局。

国家税関局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

E-mail:zvernennya@customs.gov.ua, publishinfo@customs.gov.ua
ホットライン:+380 44 247 27 06

その他関係する機関は以下のとおり。

経済省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

E-mail:meconomy@me.gov.

最高会議(国会)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

E-mail:infzapyt@rada.gov.ua

財務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

E-mail:presa@minfin.gov.ua, infomf@minfin.gov.ua

関税体系

輸入関税は、商品の原産国に応じて、部分的または完全に適用される。軽減税率、特恵税率、通常税率がある。

  1. 軽減税率
    WTO加盟国とウクライナに最恵国待遇(MFN)を認めている国の原産品に適用される。
  2. 特恵税率
    ウクライナが自由貿易協定(FTA)またはその他の特恵貿易協定を締結している国の原産品に適用される。
  3. 通常税率
    その他の全ての国、または原産国が不明な場合の原産品に適用される。

品目分類

ウクライナ対外経済活動物品分類(UCGFEA)を使用。これは、6桁のHSコードに加え、ウクライナ国内でのより具体的な分類のために、追加で国内レベルの桁(最大10桁)を使用する。

関税の種類

従価税、従量税、混合関税または複合関税

  1. 従価税
    最も一般的であり、物品の課税価格に対してパーセンテージで計算される。従価税は、さまざまな製品カテゴリーで広く適用されている。
  2. 従量税
    物品の価値ではなく、測定単位(重量、体積、数量など)に基づいて計算される。従量税は、たばこ、アルコール、燃料などの製品に適用される。
  3. 混合関税
    場合によっては、混合関税制度、つまり従価税と従量税の両方を組み合わせて計算される。

ウクライナの関税体系は、WTO協定に基づく国際基準に沿っている。

課税基準

課税標準となる価格(課税価格)は輸入商品の通関価格に基づき決定。通関価格はCIF価格の採用が一般的である。

ウクライナでは、輸入関税、付加価値税(VAT)、および必要に応じて付加される物品税(Excise tax)を含む通関費用を計算するための課税価格は、一般的に輸入商品の通関価格に基づいて決定される。通関価格は、ウクライナ関税法に基づいて計算される。この法律では、税関当局が取引価格に含まれていない費用(輸送費や保険料など)を加算し、通関価格がウクライナへの輸入時点までに要した総費用を正確に反映することを要求している。
インコタームズにおけるCIFでは、売り主はウクライナの輸入港までの商品の費用、運賃、保険料を負担する。このインコタームズの条件は、ウクライナにおける課税価格の計算方法とほぼ一致しているため、課税価格を決定する際に追加の輸送費や保険料を加算する必要はない。従って、CIF価格を直接課税価格として採用するのが一般的である。

対日輸入適用税率

日本からの輸入品は最恵国待遇(MFN)関税率が適用される。

日本からウクライナに輸入される物品には、最恵国待遇(MFN)税率が適用される。これは、ウクライナと日本がともにWTO加盟国であり、WTO規則の下では加盟国同士が互いにMFN地位を付与し、他のWTO加盟国からの物品に対して非差別的な関税率を適用することを義務付けられているためである。従って、日本からの輸入品には、ウクライナの関税表に記載されているMFN関税率が適用される。

特恵等特別措置

一般特恵関税制度(GSP)、自由貿易協定(FTA)

  1. 一般特恵関税制度(GSP)
    一般特恵関税制度(GSP)の下では、ウクライナを含む特定の発展途上国は、参加国(例えば、EU、日本)への物品輸出において特恵関税率の恩恵を受ける。これらの税率は、多くの場合、最恵国待遇(MFN)関税率よりも低く、対象製品の市場アクセスを向上させる。GSPプログラムは、一般的に工業製品と農産物に適用され、受益国の経済発展を促進することを目的としている。製品は、特定の原産地規則を満たす必要がある。つまり、製品の最低限の割合が受益国で現地生産または付加価値が付加されている必要がある。同時に、繊維製品や特定の工業製品などの一部の製品は、GSPの恩恵から除外される場合がある。
  2. FTAに適用される特別措置

    ウクライナは、「WTO・他協定加盟状況」に記載のとおり複数のFTAに参加している。FTAは多くの場合、物品だけでなく、外国直接投資(FDI)の促進、サービス貿易の円滑化、基準と認証の相互承認の支援などもカバーする。FTAには、貿易を効率化するための技術基準、認証、および衛生・植物検疫措置の相互承認に関する協定が含まれることも多い。

    GSPと同様に、農産物、鉄鋼、繊維などの一部の製品は、特定のFTAでは関税削減から除外される場合がある。また、FTAでは、通常、定義された期間にわたって関税が段階的に削減される。

    FTAの特恵を受けるためには、物品は各協定で規定されている原産地規則を遵守する必要がある。これには、多くの場合、輸出国における一定の割合の原産割合または実質的な加工が求められる。FTAは特恵待遇を提供するが、国内産業を不公正な競争や国内生産者に損害を与えうる急激な輸入増加から保護するために、セーフガード措置とアンチダンピング(AD)関税に関する規定を含むことが一般的である。

関連法

関税法、ウクライナ関税に関する法、WTOコミットメント、FTA

ウクライナの関税は主に、関税、関税率、貿易政策の枠組みを確立するいくつかの主要な法律と規制によって規定されている。ウクライナの関税に影響を与える主要な法律と規制を以下に示す。

  • 関税法:関税の枠組みを規定する主要な法令である。これは、輸入関税計算の基礎となる商品の課税価格を決定するための規則を定めている。
  • 関税に関する法:ウクライナに輸入される物品に適用される関税の構造を概説する。
  • 対外経済活動に関する法:輸入輸出活動、関税の適用、貿易協定を含む、ウクライナの対外貿易の全体的な枠組みを規制している。
  • WTOコミットメント:WTO加盟国として、ウクライナはWTO協定に基づいて確立された国際貿易規則に則っている。
  • FTA:「WTO・他協定加盟状況」に記載のとおり、ウクライナは複数の国や地域とFTAを締結している。これらの協定の多くの場合、当事国間で取引される物品に対する関税の削減または撤廃を規定している。

関税以外の諸税

付加価値税(VAT)、 物品税(Excise tax)

ウクライナでは、輸入品に対して関税のほか、いくつかの税金が課せられる。

  1. 付加価値税(VAT)
    輸入品の課税価格に対して、標準税率20%のVATが課せられる。特定の輸入品には、医薬品(例:7%)や一部の農産物(例:14%)など、軽減税率が適用される場合がある。
  2. 物品税(Excise tax
    アルコール、たばこ、燃料、電気、自動車などの特定の物品には物品税が適用され、税率は製品カテゴリーによって異なる。

その他

季節関税、AD関税と相殺関税、セーフガード関税、衛生植物検疫措置(SPS)、通貨規制

輸入を規定する主要な法律に加えて、ウクライナでは関税と輸入の全体的な枠組みに影響を与える他のいくつかの規制と要因がある。

  1. 季節関税
    ウクライナは、特に農業分野において、収穫期のピーク時に地元の生産者を保護するために季節関税を適用している。例えば、国内の農家を海外との競争から守るために、収穫期には農産物の関税を引き上げる場合がある。
  2. AD関税と相殺関税
    国内産業を不公正な貿易慣行から保護するために、ウクライナは市場価格を下回る価格で販売される輸入品に対してAD関税を、または補助金を受けた物品に対して相殺関税を課す場合がある。これらの措置は、そのような輸入が地元の生産者に損害を与えているかどうかを調査・判断する国際貿易に関する省庁間委員会(ICIT)や経済省による調査に基づいて導入される。
  3. セーフガード措置
    ウクライナは、輸入の急増が国内産業に深刻な損害を与えるおそれがある場合、一時的な輸入制限や関税の引き上げなどのセーフガード措置を導入することができる。これらの措置は通常、緊急対応として適用され、WTO規則を遵守する必要がある。
  4. 衛生植物検疫(SPS)規制
    農産物や食品の輸入には、ウクライナの健康と安全基準を満たしていることを確認するための厳格な衛生植物検疫規制が適用される。これらの規制は、追加検査や認証を必要とすることで輸入プロセスに影響を与え、コンプライアンスコストを通じて間接的に関税構造に影響を与える可能性がある。