日本からの輸出に関する制度

牛肉の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する牛肉のHSコード

0201:牛肉(生鮮のもの及び冷蔵したものに限る)
0202:牛肉(冷凍したものに限る)

メキシコの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2025年4月

メキシコでは、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響に起因した輸入禁止措置は採られておりません。また、対象HSコードのうち、日本からの輸入が禁止されている品目はありません。

なお、メキシコと日本の間で合意された家畜衛生条件に基づき、メキシコに輸出可能な牛肉は、個体識別番号により日本において生まれ、飼育されたことが確認できる牛由来のものであり、メキシコ農業地方開発省(SADER)の認定を受けた施設および工程において製造された牛肉でなければなりません。

ランピースキン病の発生に伴い、福岡県または熊本県で生産または処理された牛肉について、輸出が一時停止されています。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2024年12月

日本から牛肉を輸入するためには、輸出者側でメキシコ農業地方開発省(SADER)による施設認定が必要です。2024年3月上旬時点では8県(岩手県、群馬県、岐阜県、兵庫県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県)の11ヵ所が認定されています。対象施設については、日本の農林水産省のウェブサイトにリストが掲載されています。施設認定を行うためには、日本政府を通じてSADERに申請を出す必要があります。

また、メキシコで輸入通関するためには、厚生労働省の食肉衛生証明書と農林水産省の輸出検疫証明書の双方が必要となるため、輸出者側で用意しておく必要があります。食肉衛生証明書の発給は、対メキシコ輸出認定施設が日本の衛生当局である厚生労働省(実際には地方自治体の衛生部局や保健所)に対して申請します。

詳細は関連リンクの農林水産省「証明書や施設認定の申請(メキシコ)」を確認してください。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2020年11月

メキシコでの輸入通関では輸出国が発行する輸出検疫証明書が必要となるため、輸出する牛肉についての食肉衛生証明書を所持した日本の輸出者が動物検疫所に対し、輸出検査申請書を提出するか、もしくは輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)を使用して申請します。

メキシコの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2020年11月

牛肉について規定するメキシコ公式規格(NOM)等の強制規格は存在しません。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2020年11月

牛肉は、動物用薬品規制の対象になります。
2018年7月13日付官報公布農牧省令に基づき、畜産動物向けに使用が禁止されている32の化学物質のリストが公表されています。また、農業食品衛生無害品質庁(SENASICA)のウェブサイト上に「残留毒性・汚染物質管理・監視のための検索モジュール」という検索サイトがあり、そこに動物性薬品などの残留基準が化学物質と動物の種類に応じて定められています。同リストは1年に1回の定期的な見直しがなされています。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2020年11月

重金属および汚染物質の規制についても、動物性薬品と同様に農業食品衛生無害品質庁(SENASICA)が残留基準値上限リストを作成して公開しています。
重金属については、ヒ素が0.7ppm(肝臓や腎臓は1.4ppm)、水銀が0.7ppm、カドミニウムが2.0ppm(肝臓が10.0ppm、腎臓が5.0ppm)、鉛が0.5ppm(肝臓や腎臓は2.0ppm)となっています。その他の汚染物質については、SENASICAの残留基準値上限リストを参照してください。

4. 食品添加物

調査時点:2020年11月

牛肉は、食品添加物規制の対象となります。メキシコでは使用される添加物についてポジティブリスト制を採用しており、食品・飲料・サプリメントの添加物・補助剤の使用・衛生措置について定める保健省令(2012年7月16日付官報公布)および同改定(2013年9月、2016年5月)で規制されています。同保健省令の別添リスト(ポジティブリスト)は定期的な見直しが行われており、保健省令として官報公布されていないが、すでに使用が認められている添加物を加えた最新のリストが、連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)のウェブサイト上で公開されています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2020年11月

食品容器包装に関して特に規定する強制規格(メキシコ公式規格:NOM)はありません。食品・飲料の金属製容器の継ぎ目に関する規格、熱処理に供される密閉容器入り食品の規格は存在しますが、当該規格は牛肉(生鮮・チルド、冷凍)輸送用の包装には適用されません。

6. ラベル表示

調査時点:2020年11月

牛肉は輸入時と同じ包装で消費者に販売される商品ではなく、レストランを通じて調理済みの牛肉が提供されるか、あるいはスーパーマーケットなどの小売店の店頭で最終消費者向けの包装にリパックされる商品であるため、食品と非アルコール飲料の情報表示規格(NOM-051-SCFI-2010)の対象外となります。

ただし、連邦動物衛生法第89条の規定と日本とメキシコの間で合意された家畜衛生条件に基づき、トレーサビリティー確保などの観点から、最低限、次の表示をスペイン語で施す必要があります。

  • 製品名および保存方法(冷蔵:0~4℃、冷凍:-18℃以下)
  • 原産国・地域
  • 施設名称、施設番号、施設所在地(住所)
  • 経由国・地域(原産国からの直送でない場合)
  • 販売先
  • ロット番号
  • と畜日、出荷日、消費・賞味期限
  • 個体識別番号

また、日本政府の不正防止管理のための規則に基づき、次の対応が必要です。

  1. 輸出牛肉などを直接個装する個々の容器包装またはそれらをまとめる容器包装(透明のビニル袋など)に検査済証(別紙様式4)を貼付すること
  2. 輸出牛肉の梱包(カートンなど)についても、開梱時に破られるような方法で検査済証を貼付すること

7. その他

調査時点:2020年11月

なし

メキシコ内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2020年11月

牛肉に対する一般(MFN)関税率は、生鮮・チルド(HS02.01項)が20%、冷凍(02.02項)が25%です。
2005年4月に発効した日本・メキシコ経済連携協定(日墨EPA)を活用した場合は、割当数量枠内で関税が下がります。割当数量は年間6,000トン、割当内税率は一般(MFN)関税率から10~40%削減された税率となります。例えば、日本からの輸出が多い冷凍骨なし部分肉の場合は、EPA税率が部位に応じて16~18%になります。
2018年12月に発効した環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、TPP11)を活用した場合の税率は生鮮・チルド肉(02.01項)が14%、冷凍肉が17.5%(双方とも2020年時点)であり、生鮮・チルド肉は毎年2.0%、冷凍肉は同2.5%ずつ関税が下がっていき、2027年1月1日に0%となります。
日墨EPA、あるいはTPP11の適用を受けるには、原産地規則を満たす必要があり、原産地証明書が必要になります。日墨EPAの特定原産地証明書は、輸出者が日本商工会議所に対して発給申請をする必要がありますが、TPP11を活用する場合は、輸出者、あるいは生産者が自ら作成することができます。
日墨EPAを活用する場合は、メキシコ側の輸入者がメキシコ経済省に対して関税割当の申請をする必要があります。割当は先着順であり、割当申請と割当証明書の発給手続きの2種類を行う必要があります。双方ともメキシコ貿易手続き単一電子窓口(VUCEM)を通じて申請可能であり、VUCEMの関連ウェブサイトからマニュアル(スペイン語)がダウンロードできます。

2. その他の税

調査時点:2020年11月

メキシコでは輸入時に関税に加えて16%の付加価値税(IVA)が課税されますが、食品(牛乳以外の飲料や嗜好品、調理済み食品などを除く)に対する税率はIVA法第2-A条に基づき0%となっており、課税されません。

3. その他

調査時点:2020年11月

輸入者は牛肉やその加工品の輸入にあたって、関税だけでなく税関手数料(DTA)を納付する必要があります。一般(MFN)関税率を適用した輸入、あるいは日墨EPAを活用した場合のDTAは輸入申告価格(CIF価格)の0.8%であり、最低341ペソ(約1,800円、2020年12月時点)ですが、TPP11を活用した輸入の場合は定額制となり、1申告あたり341ペソが課税されます。

その他

調査時点:2020年11月

なし