日本からの輸出に関する制度

コメ・米粉の輸入規制、輸入手続き

品目の定義(HSコード)

調査時点:2021年9月

本ページで定義するコメのHSコード

1006.20:コメ-玄米
1006.30:コメ-精米
1102.90:米粉

ベトナムの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年9月

ベトナム向けの日本産米輸出については、2018年5月29日以降、精米だけでなく玄米(食用に限る)についても認められました。
外国貿易管理法の施行細則を定める「政令69/2018/ND-CP」の別表1のIIに輸入禁止品目が挙げられていますが、コメ・米粉は対象外となっています。また、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う輸入規制は既に撤廃されています。

2. 施設登録、商品登録、輸入許可等(登録に必要な書類)

調査時点:2021年9月

「政令15/2018/ND-CP」の第6章によると、植物由来の輸入食品の場合、輸出国の所轄機関は、ベトナムへ輸出する国としての登録手続きを行う必要があります(加工・包装済み食品の場合、同政令第13条に定める輸入食品安全検査の免除対象に該当する場合は除きます)。当該登録について、日本は2013年12月16日にベトナム農業農村開発省により承認されたので、当該条件を満たしています。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年9月

精米・玄米・米粉ともにベトナムに輸出するには、日本の植物防疫所による輸出検査を受け、植物検疫証明書(輸出検査合格証明書ともいう)を植物検疫申請書に添付することが条件です。ベトナム向けに、日本産精米・玄米・米粉の輸出を検討される方は、最寄りの植物防疫所にあらかじめ問い合わせしてください。

「農業農村開発省の管轄範囲に属する輸出入の商品のHSコード一覧表に関する通達15/2018/TT-BNNPTNT」の付録1の第11項目によると、コメ・米粉はベトナムにおける植物検疫の対象です。農業農村開発省通達33/2014/TT-BNNPTNT(通達30/2017/TT-BNNPTNTおよび通達34/2018/TT-BNNPTNTにより一部改正)第6条、第7条によると、ベトナムにおける植物検疫では、所定の書式の植物検疫申請書および輸出国の植物検疫機関が発行した植物検疫証明書をベトナムの植物検疫当局またはナショナルシングルウインドウに提出する必要があります。植物検疫に合格すると、植物検疫当局により検疫証明書が発行されます。

ベトナムの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年9月

コメ・米粉に関しては、ベトナムの国家規格(QCVN)が定められていません。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2021年9月

コメ・米粉は、残留農薬規制の対象となります。ベトナムでは使用される農薬についてポジティブリスト制を採用しており「食品中に含まれる農薬の最大許容量を規定する保健省通達50/2016/TT-BYT」において、農薬および食品の種類ごとにADI値(日常許容摂取値)およびMRL値(最大残留許容値)が定められています。法令に記載されていない農薬の残留は認められていません。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2021年9月

コメ・米粉は、重金属および汚染物質規制の対象となります。最大残留基準値は、「食品中の重金属の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-2:2011/BYT」の第2章において規定されています。
「食品中の重金属の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-2:2011/BYT」の第2章では、6種類(ヒ素、カドミウム、鉛、水銀、メチル水銀、スズ)について、食品の種類ごとにMRL値(最大残留許容値)が定められています。法令に記載されていない重金属の含有は認められていません。

コメ・米粉における重金属のMRL値は次のとおりです。

  • カドミウム: 0.4(mg/kg)
  • 鉛:0.2(mg/kg)

このほか、「食品中にある有毒菌類の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-1:2011/BYT」において有毒菌類、「食品中にある微生物の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-3:2012/BYT」および「食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT」の第6章の第6.5において微生物、「食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT」の第7章および「溶媒である製造助剤許容値を規定する国家規格QCVN18-1:2015/BYT」で食品の製造助剤許容値についても規制しています。

4. 食品添加物

調査時点:2021年9月

コメ・米粉は食品添加物規制の対象となります。ベトナムで使用可能な食品添加物リストおよび使用対象食品ごとにその最大許容値(ML値)は「保健省通達24/2019/TT-BYT」で定められています。ポジティブリスト形式で規定されているため、同リストに記載のない食品添加物の使用、販売、輸出入は認められません。
また、食品添加物は、次の(1)および(2)に該当する場合に限り、使用することができます。

  1. 人の健康に損なうおそれがなく、消費者を欺くことなく、必要とされる効果を発揮する。
  2. 次の(a)~(c)の目的を達成するために、より経済的かつ技術的に効果のあるその他の方法がない。
    1. 食品の栄養価値の維持
    2. 食品の品質・安定性維持の強化または感覚刺激性の改善(消費者を欺く性質・品質の変更を伴わないもの)
    3. 食品の製造・輸送の補助(低品質な原材料の使用または不適切な製造・技術により発生する影響を隠す目的ではないもの)

新たな効果がある混合食品添加物、前述のリストに記載のない食品添加物、または前述のリストに記載される使用対象食品以外の食品への食品添加物の使用については、使用または販売する前に、「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第6条~第8条による商品公表書登録手続きを行う必要があります。詳しくは「輸入手続き_4.販売許可手続き」をご確認ください。
このほか、「食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT」の第7章および「溶媒である製造助剤許容値を規定する国家規格QCVN18-1:2015/BYT」で食品の製造助剤許容値についても規制しています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年9月

輸出食品の包装および容器は、「食品安全法の食器と接触する容器・包装に対する安全衛生の国家技術規格を定める通達34/2011/TT-BYT」および「食品に直接接触するガラス、陶磁器等の容器・包装に関する通達35/2015/TT-BYT」に添付の各品質基準に合致することが求められます。合成樹脂、ゴム、金属それぞれの材料により安全衛生の国家技術規格が異なるため注意する必要があります。
また、食品に直接接触するプラスチック容器の場合は、次の基準を満たすことが求められています。

  1. ポリエチレンに関する基準TCVN6514-1:1999(AS2070-1:1995(E))
  2. ポリ塩化ビニルに関する基準TCVN 6514-2:1999 (AS 2070 – 2 : 1993 (E))
  3. スチレンのプラスチック材料に関する基準TCVN 6514-3:1999 (AS 2070 – 3 : 1993 (E))
  4. アクリロニトリルのプラスチック材料に関する基準TCVN 6514-4:1999 (AS 2070 – 4 : 1993 (E))
  5. ポリプロピレンに関する基準TCVN 6514-5:1999 (AS 2070 – 5 : 1993 (E))
  6. 着色剤に関する基準TCVN 6514-6:1999 (AS 2070 – 6 : 1993 (E))
  7. ポリ塩化ビニリデンに関する基準TCVN 6514-7:1999 (AS 2070 – 7: 1993 (E))
  8. その他の添加剤に関する基準TCVN 6514-8:1999 (AS 2070 – 8: 1992 (E))

なお、食品をベトナムに輸出後に、ベトナムにおいて包装および容器に封入する場合、当該包装および容器は、これらの規定に従うほか、商品自己公表手続き※が必要となる場合があります(食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CPの4.1条)。
※詳細は「輸入手続き_4.販売許可手続き」をご参照ください。

関連リンク

関係省庁
ベトナム保健省(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品と接触する容器・包装に対する安全衛生の国家技術規格を定める通達34/2011/TT-BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
(ダウンロードリンク)
その他参考情報
食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ジェトロ仮訳)PDFファイル(782KB)
食品に直接接触する容器に関する国家規格 QCVN 12-1:2011/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触する容器に関する国家規格 QCVN 12-2:2011/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触する容器に関する国家規格 QCVN 12-3:2011/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触する容器に関する国家規格 QCVN 12-4:2015-BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレンや添加物など)に関する基準TCVN6514- 1:1999外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレンや添加物など)に関する基準TCVN6514- 2:1999外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレンや添加物など)に関する基準TCVN6514- 3:1999外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレンや添加物など)に関する基準TCVN6514- 4:1999外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレンや添加物など)に関する基準TCVN6514- 5:1999外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレンや添加物など)に関する基準TCVN6514- 6:1999外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレンや添加物など)に関する基準TCVN6514- 7:1999外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレンや添加物など)に関する基準TCVN6514- 8:1999外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「海外向け食品の包装制度調査(EU、TPP、米国、中国、韓国、台湾、インド、タイ、インドネシア、GCC、メルコスール)」(2020年3月)(日本語)
一般社団法人全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会「平成28年度日本産コメ・コメ加工品輸出ハンドブック」(日本語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(10.5MB)

6. ラベル表示

調査時点:2021年9月

コメ・米粉のラベル表示は、「商品のラベルに関する政令43/2017/ND-CP」および「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」により規定されています。表示義務項目は次のとおりです。

  1. 商品名
  2. 商品に責任を有する組織あるいは個人の名称と住所(輸入食品の場合は、製造者である組織・個人および商品自己公表もしくは商品公表書登録手続きを行った組織・個人の名称と住所)
  3. 原産国
  4. 内容量(正味重量)
  5. 製造年月日
  6. 賞味期限
  7. 食品安全に関する勧告と警告

ラベルには、ベトナム語による表記が義務付けられています。

7. その他

調査時点:2021年9月

ベトナムで販売するコメ・米粉の衛生規制は、「食品安全法」で定められています。
同法によれば、ベトナムの国家レベルでの食品安全管理は、主に保健省が担っています。保健省は食品安全に関する食品包装、食品容器の国家技術規定の公布や、加工食品にかかる食品添加物、食品加工助剤などについての管理権限も有しています。ただし、コメの食品安全管理については、農業農村開発省が担っており、米粉の食品安全管理については商工省が担っています。
「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第6章に基づいて、輸入される食品、食材、食品添加物、食品加工助剤、食品包装用具、食品包装材、食品容器など、すべてが輸入検査対象です。ただし、展示会サンプル用の食品など、検査対象外の場合もあります。
輸入されるコメ・米粉の検査の方法、手続きについては、「輸入手続き」の「2.輸入時の検査」を参照してください。
なお、「食品安全法」第38条第2項によると、コメ・米粉が遺伝子組み換え作物である場合は、CFS(自由販売証明書)の取得などが別途必要となります。

ベトナムでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2021年9月

「外資企業の商品売買活動等に関する商法および外国貿易管理法の細則を定める政令09/2018/ND-CP」の第3条第1項および第5条によれば、日本からコメ・米粉を輸入するにあたって、外資企業は事前に商工省から外資企業の営業許可書(輸入)を取得する必要はありません。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年9月

「財務省通達38/2015/TT-BTC」(「同省通達39/2018/TT-BTC」および通達81/2019/TT-BTCにより改正)では、一般的な通関検査、通関手続きなどを規定しています。
通関申告は通関データ処理システム(VNACCS)を用いてオンラインで行われ、申告書、インボイス、船荷証券、価値申告書、商品証明書といった書類が通関申告の登録のために必要になります。通関申告の登録が承認された場合、VNACCSによって申告番号が付与されます。その後、通関に必要な検査内容(審査・検査なし、書面審査、貨物検査の3レベルがあります)が決定され、VNACCS上で通知されます。また、通関には、植物検疫、食物安全検査などに合格し、必要な要件をすべて満たしていること、関税などがすべて納付されることが必要となります。 なお、税関職員の裁量と慣行によって、実際には法令とは異なる手続きがなされる場合があることにも注意する必要があります。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年9月

「政令15/2018/ND-CP」の第6章によると、植物由来の輸入食品の場合、輸出国の所轄機関は、ベトナムへ輸出する国としての登録手続きを行う必要があります(加工・包装済み食品の場合、同政令第13条に定める輸入食品安全検査の免除対象に該当する場合は除きます)。当該登録について、日本は2013年12月16日にベトナム農業農村開発省により承認されたので、当該条件を満たしています。
また、「農業農村開発省の管轄範囲に属する輸出入の商品のHSコード一覧表に関する通達15/2018/TT-BNNPTNT号」付録1の第12項目および「商工省の管轄範囲に属する専門検査の対象輸入商品の一覧表に関する決定1182/QD-BCT」付録2.4によると、精米・玄米および米粉とも輸入時の食品安全検査対象となります(ただし、商品公表書登録の受取書が発行された商品など政令15/2018/ND-CP第13条に定める場合はこの検査が免除されます)。
食品安全検査の方式としては、通常検査、簡易検査および厳重な検査があります。原則として通常検査が適用されますが、次に該当する場合は、簡易検査または厳重な検査が適用されます。

  1. 簡易検査の適用
    1. ベトナムが加盟している食品安全相互認定に関する国際条約を締結している国の機関、組織により食品安全に関する要求に到達していると認定された場合;ベトナム法令に適合する輸入ロットおよび商品に対する輸出国の権限のある機関による検査結果がある場合。
    2. 12カ月以内に通常検査により輸入要件合格通知書を連続で3回取得した商品。
    3. GMP、HACCP、ISO22000、IFS、BRC、FSSC22000の品質管理基準またはそれと同等な基準を適用している事業所で生産された商品。
  2. 厳重な検査の適用
    1. 前回の検査において輸入要求レベルに到達していなかった輸入ロットおよび商品。
    2. 前の審査、検査(ある場合)における基準に満たさなかったロット、商品。
    3. 保健省、農業農村開発省、工商省、省級の人民委員会または外国にある権限を有する機関あるいは生産業者からの警告がある場合。

なお、前述の2.aおよびbについて厳重検査を連続3回合格した場合、または前述の2.cについて、保健省、農業農村開発省もしくは商工省から厳重検査適用の停止通知書がある場合において、厳重検査から通常検査に変換されます。
食品安全検査を申請する際の書類として、次のものを検査実施機関に提出します(通常検査の場合)。

  1. 食品安全検査申請書(正本)
  2. 商品自己公表書
  3. パッキングリストの写し

食品安全検査の手段としては、書類検査ですが、厳重な検査の場合はサンプル検査も行われます。
食品安全検査に合格すると、輸入要件合格通知書が発行されます。輸入者は同通知書を関税当局に提出します。

4. 販売許可手続き

調査時点:2021年9月

  1. 食品安全要件充足施設証明書
    食品安全法(マスタープランに関連する11法律の一部の条項を改正・補足する法律 28/2018/QH14により一部改正)の第34条および「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第11条および第12条によれば、包装済み食品を販売する場合などを除き、ベトナム国内で食品を製造または販売する企業は、食品安全要件充足施設証明書を取得する必要があります。
    食品安全要件充足施設証明書の取得の条件は、食品安全法の第34条に規定されます。
  2. 商品自己公表または商品公表書登録
    「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」によると、加工包装済みの食品に該当する食品を輸入する企業は、商品自己公表手続きを行う必要があります。商品自己公表とは、所定の書式の商品自己公表書および商品テスト結果票を、マスメディアまたは自社のウェブサイトもしくは所在地において公表し、かつ、当局へ送付することにより行われる手続きです。
    一方、健康食品、医学的な栄養食品、特別用途食品、および36カ月未満の子供の栄養食品に該当するコメ・米粉を輸入する企業は、保健省または保健局において商品公表書登録手続きを行う必要があります。商品公表書登録に際しては、前述の(i)および(ii)の書類に加え、輸出国の当局により発行された自由販売証明書(Certificate of free sale)もしくは輸出証明書(Certificate of Exportation)あるいは保健証明書(Health Certificate)、公表した製品もしくは製品の構成分の作用を証明する科学的な証拠、3適正製造規範(GMP:Good Manufacturing Practice)に適合した施設に発給される食品安全条件充足証明書もしくはそれに相当する証明書(健康食品の場合)を、オンラインパブリックサービスシステムもしくは郵便によりあるいは直接当局に提出します。当局が審査のうえ、商品公表書登録受取書を発行し、ウェブサイトならびに食品安全に関するデータベースにおいて登録した事業者およびその商品の名称を公開します。
    また、コメ・米粉が遺伝子組み換え作物である場合は、当該遺伝子組み換え作物が食事用条件を満たす証明書を取得する必要があります。当該証明書は「政令69/2010/ND-CP号」(「政令108/2011/ND-CP号」による修正)に定められます。
  3. 輸入・販売事業者の要件
    ベトナム企業と外資企業で根拠法令が異なります。
    ベトナム企業の場合は、特別な規制の対象品目を除き、別途輸入許可申請を行うことなく食品を輸入できます。 外資企業の場合は活動許可書(計画投資局からの投資ライセンス)にベトナムのWTO加盟以降「輸入・流通業務」の追加手続きがなされていることが条件となります(外国貿易管理法施行細則を定める政令69/2018/ND-CPの第3条)。

「外資企業の商品売買活動等に関する商法および外国貿易管理法の細則を定める政令第09/2018/ND-CP号」第5.1.(c)条によると、コメの小売販売事業を行うためには、同政令に定めるビジネスライセンスを取得する必要があります。すなわち、外資を有する経済組織は、既にベトナム国内において設立したスーパーマーケット・ミニスーパー・コンビニエンスストアなどの小売店を通じてコメを小売する場合に限り、小売ライセンスの発行が検討されます。
米粉の小売販売についても、同政令第5.1.(a)条によると、小売販売については事前に商工局から外資企業の営業許可書(小売販売)を取得しなければならず、小売店舗を設立する場合は、営業許可書に加え、同政令第22条ないし第29条に基づき、商工局から小売店舗の設立許可証を取得する必要があります。
「政令第09/2018/ND-CP号」において、2店舗目以降の小売店舗を設置するには、原則としてエコノミックニーズテスト(「ENTテスト」)を受けるものとされています。免除の条件として、(1)500平方メートル未満の店舗を、(2)商業施設の中に出店し、(3)コンビニエンスストアまたはミニスーパー以外の業態である場合があります。

卸売業・小売業でベトナムに進出する場合については、「その他参考情報」の「卸売業・小売業で進出する際の留意点:ベトナム」(ジェトロ)を参照してください。

5. その他

調査時点:2021年9月

コメを日本から海外へ販売などの目的で輸出する場合は、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」(食糧法)第36条に基づき、事前に最寄りの農政局管内の窓口へ輸出数量の届出を行うことが義務付けられています。個人的使用に供するために非商業的に輸出される米穀や、コメ加工品(レトルト米飯、米粉など)は届出の必要はありません。

ベトナム内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年9月

ベトナムへ輸入されるコメ・米粉は、関税の対象となります。
関税額は、CIF価格を基準に計算されます。「輸入クオータ枠を超える輸入量に対する輸入税率および品目、混合税・上限税率および品目、優遇輸入税率表、輸出税率表について規定する政令122/2016/ND-CP」および「政令122/2016/ND-CPを改正、補足する政令125/2017/ND-CP」を改正、補足する「政令57/2020/ND-CP」の付録II第I編第1部第10章および第11章によると、コメのMFN税率は40%(一部、もみは除く)、米粉のMFN税率は15%です。 2008年12月には日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)、2009年10月には日本・ベトナム経済連携協定(VJEPA)が発効し、これらの経済連携協定を適用すると、関税率は0~25%まで引き下げられています。AJCEP・VJEPAの適用を受けるためには、原産地基準を満たす必要があり、また、各協定の関税引下げスケジュールを確認する必要があります。

「政令160/2017/ND-CP」に定めるAJCEPの税関引下げスケジュール
HSコード 製品 税率(%)
01/01/2018~31/03/2018 01/04/2018~31/03/2019 01/04/2019~31/03/2020 01/04/2020~31/03/2021 01/04/2021~31/03/2022 01/04/2022~31/03/2023
1006.2010 Hom Mali rice 15 13 10 8 5 3
1006.2090 Other 15 13 10 8 5 3
1006.3030 Glutinous rice 15 13 10 8 5 3
1006.3040 Hom Mali rice 15 13 10 8 5 3
1006.3091 Parboiled rice 19 16 13 9 6 3
1006.3099 Other 15 13 10 8 5 3
1102.90.10 Rice flour 5 5 5 4 3 1
1102.90.20 Rye flour 1 0 0 0 0 0
1102.90.90 Other 1 0 0 0 0 0

注:AJCEPは2002版HSコードで規定されています。

「政令155/2017/ND-CP」に定めるVJEPAの税関引下スケジュール
品目 HSコード 製品 税率(%)
01/01/2018~31/03/2018 01/04/2018~31/03/2019 01/04/2019~31/03/2020 01/04/2020~31/03/2021 01/04/2021~31/03/2022 01/04/2022~31/03/2023
玄米 1006.2010 Hom Mali rice 17.5 15 12.5 10 7.5 5
1006.2090 Other 17.5 15 12.5 10 7.5 5
精米 1006.3030 Glutinous rice 17.5 15 12.5 10 7.5 5
1006.3040 Hom Mali rice 17.5 15 12.5 10 7.5 5
1006.3091 Parboiled rice 22 19 16 12.5 9 6
1006.3099 Other 17.5 15 12.5 10 7.5 5
米粉 1102.90.10 Rice flour 7 7 6 5 4 2.5
1102.90.20 Rye flour 3 1 0 0 0 0
1102.90.90 Other 3 1 0 0 0 0

注:VJEPAは2007年版HSコードで規定されています。

包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(TPP11=CPTPP)の特別優遇税率を適用する場合

CPTPP(TPP11)の特別優遇税率の適用を受けるためには、次の条件をすべて満たしている必要があります。

  • 政令57/2019/ND-CPに添付される優遇輸入関税の商品リストに該当すること
  • 日本(または他の締約国)からベトナムへ輸入されること
  • 日本(または他の締約国)からベトナムに直接出荷される商品であること
  • CPTPPの商品の原産地に関する規定を満たし(品目別規則などは「通達03/2019/TT-BCT」(「通達06/2020/TT-BCT」により一部改正)に規定)、生産者または輸出者が自ら原産性を証明すること(※)

※CPTPPは自己申告制度のため、生産者または輸出者が自ら原産地証明書を作成し、ベトナム輸入時に税関に提出します。ベトナムでは輸入者が作成する原産地証明書はまだ認められていません(協定本文第3.20条第1項注2)。また、日本商工会議所の特定原産地証明書の発給は行われません。
※ベトナムから日本に輸入する場合は、商工省管轄の発給機関でCOフォーム(フォームCPTPP)発給を受ける(協定本文 付属書三-A 5項(b))か、または日本の輸入者が自ら作成し、日本輸入時に税関に提出するかのいずれかとなり、日本からベトナムに輸出する場合と手続きが異なります。
CPTPP協定に基づくと、輸入するコメ・米粉について、コメは同協定発効後1年目に、米粉は4年目に、輸入関税率が0%になります。
「政令57/2019/ND-CP」によると、日本から輸入する米粉のCPTPPに基づく2021年および2022年の特別優遇輸入関税率は次のとおりです。

HSコード 税率(%)
2021年1月1日- 2021年12月31日
税率(%)
2022年1月1日- 2022年12月31日
1102.90.10 0 0
1102.90.20 0 0
1102.90.90 0 0

関連リンク

関係省庁
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ベトナム商工省(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
関税法54/2014/QH13(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
輸入クオータ枠を超える輸入量に対する輸入税率および品目、混合税・上限税率および品目、優遇輸入税率表、輸出税率表について規定する政令122/2016/ND-CP(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(12.1MB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(248KB)
政令122/2016/ND-CPを改正、補足する政令125/2017/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
政令122/2016/ND-CPおよび政令125/2017/ND-CPを改正・補足する政令57/2020/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
当該政令が長いので、全文は8つのPDFに分けて掲載されております。
VJEPAの特別優遇税率(2018年から2023年まで)を規定する政令155/2017/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
税率表https://trungtamwto.vn/upload/files/fta/174-da-ky-ket/187-viet-nam---nhat-ban/244-van-ban/4%20BieuthueVJEPA-2018-2023.pdf
AJCEPの特別優遇税率(2018年から2023年まで)を規定する政令160/2017/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
税率表https://trungtamwto.vn/upload/files/fta/174-da-ky-ket/193-asean---nhat-ban/222-van-ban-thuc-thi-cua-/Bi%E1%BB%83u%20thu%E1%BA%BF%20Vi%E1%BB%87t%20Nam%20th%E1%BB%B1c%20hi%E1%BB%87n%20AJCEP%202018-2022.pdf
CPTPPに基づく2019年~2022年の特別優遇税率を規定する政令57/2019/ND-CP(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(36MB)
※該当の政令が長いため、全文は8つのPDFに分けて掲載されています。
CPTPPの原産地規則を規定する通達03/2019/TT-BCT(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(5MB)
通達03/2019/TT-BCTを改正・補足する通達06/2020/TT-BCT(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(828KB)
その他参考情報
経済産業省 AJCEP(日本語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますJVEPA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
世界各国の関税率(World Tariff)(日本語)
ジェトロ「ベトナムにおける関税率」(日本語)PDFファイル(261KB)
ジェトロ「関税制度」(日本語)
一般社団法人全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会「平成28年度日本産コメ・コメ加工品輸出ハンドブック」(日本語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(10.5MB)

2. その他の税

調査時点:2021年9月

ベトナムにおいて、農産品に関する付加価値税(VAT)の取り扱いは、次のとおりです。

  1. 輸入時

    日本からベトナムへ輸入される生および未加工の農産物ならびに前処置のみ施された農産品(※)については、輸入付加価値税が免除されます。精米も免除されます。
    なお、加工された農産品には、10%の輸入付加価値税が課税されます。

  2. 国内販売時

    生および未加工の農産物ならびに前処置のみ施された農産品をベトナム国内で再販する場合には、5%のVATの対象となります。これら以外の加工された農産品をベトナム国内で再販する場合は、10%のVATの対象となります。なお、輸入者が輸入時に支払ったVATについて控除を受けることが可能です。具体的には、再販時に買手から受け取るVATから、支払済みの輸入VATを控除した金額を納税することになります。なお、輸入VATが売手から受け取るVATより大きい場合は、翌課税期間への繰り越しが可能です。

※前処置のみ施された農産品とは、清浄、乾燥、皮むき、製粉、脱殻、カット、塩漬け、冷蔵保存(冷却または冷凍)、亜硫酸ガス、亜硫酸水またはほかの溶液で保存したもの、その他の共通の保存手段によるものを指します。

3. その他

調査時点:2021年9月

ベトナムには特別消費税がありますが、コメ・米粉は対象外となっています。