日本からの輸出に関する制度

アルコール飲料の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

調査時点:2021年6月

本ページで定義するアルコール飲料のHSコード

用語の定義に関する注:
用語の定義に関する注:ベトナム法令では、「アルコール飲料」のうち、「ビール」と「酒類」を区分して定義しています。次の記載の中で、特に注記しないで「アルコール飲料」または「酒類」と記載する場合には、前述の定義によるものとし、それとは異なる場合には、個別に注記するものとします。
2203:
ビール
2203.0010:
スタウトまたはポーター
2203.0090:
その他、エールを含む
2204:
ぶどう酒(強化ぶどう酒を含むものとし、生鮮のぶどうから製造したものに限る)およびぶどう搾汁(第20.09項のものを除く)
2205:
ベルモットその他のぶどう酒(生鮮のぶどうから製造したもので、植物または芳香性物質により香味を付けたものに限る)
2206:
その他の発酵酒(例えば、りんご酒、梨酒、ミードおよび清酒)ならびに発酵酒とアルコールを含有しない飲料との混合物および発酵酒の混合物(他の項に該当するものを除く)
2206.0010:
シードルまたはペリー
2206.0020:
清酒
2206.0030:
トディ
2206.0040:
シャンディ
2206.0091:
その他の清酒(薬用のものを含む)
2208:
エチルアルコール(変性させていないものでアルコール分が80%未満のものに限る)および蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料
2208.20:
ぶどう酒またはぶどう酒もろみの搾りかすから得た蒸留酒
2208.3000:
ウイスキー
2208.4000:
ラムその他これに類する発酵したさとうきびの製品から得た蒸留酒
2208.5000:
ジンおよびジュネヴァ
2208.6000:
ウオッカ
2208.90:
その他のもの

ベトナムの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年6月

アルコール飲料は、「アルコール飲料製品の国家規格QCVN06-3:2010/BYT」において規格が定められています。国家規格QCVN06-3:2010/BYTは、アルコール飲料に対する化学品の最大残留基準値、重金属の最大残留許容値、および微生物の最大残留基準値を規定しています(付録II、III、IV)。
微生物の最大残留基準値は次のとおりに定められています。

好気性微生物:
1,000(CFU/ml)
E.coli:
0(CFU/ml)
Cl.perfringens:
0(CFU/ml)
Coliforms:
0(CFU/ml)
Strep.feacal:
0(CFU/ml)
酵母とカビ:
100(CFU/ml)

化学品の最大残留基準値は、アルコール飲料の種類に応じて規定されています。例えば、ビールにおけるジアセチル(diacetyl)の最大残留基準値は0.2 mg/l、ウオッカにおけるメタノール (methanol) の最大残留基準値は100 mg/lとされています。
重金属の最大残留許容値については、「3.重金属および汚染物質」を参照してください。

2. 残留農薬

調査時点:2021年6月

なし

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2021年6月

アルコール飲料は、重金属および汚染物質規制の対象となります。最大残留基準値は、「食品中の重金属の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-2:2011/BYT」の第2章および「アルコール飲料に関する国家規格QCVN 6-3:2010/BYT」の付録3において規定されています。
「国家規格QCVN8-2:2011/BYT」の第2章では、6種類(ヒ素、カドミウム、鉛、水銀、メチル水銀、スズ)について、食品の種類ごとにMRL値(最大残留許容値)が定められています。法令に記載されていない重金属の含有は認められていません。

アルコール飲料における重金属のMRL値は次のとおりです。

:ワインは0.2mg/kgまたはmg/l
スズ
:紙パック入り飲み物は150mg/kgまたはmg/l

このほか、食品中にある有毒菌類の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-1:2011/BYTにおいて有毒菌類、食品中にある微生物の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-3:2012/BYTにおいて微生物、「食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT」の第7章および溶媒である製造助剤許容値を規定する国家規格QCVN18-1:2015/BYTにおいて食品の製造助剤許容値についても規制をしています。

4. 食品添加物

調査時点:2021年6月

アルコール飲料は食品添加物規制の対象となります。
ベトナムで使用可能な食品添加物リストおよび使用対象食品ごとにおけるその最大許容値(ML値)は「食品添加物の管理および使用に関する保健省通達24/2019/TT-BYT」で定められています。ポジティブリスト形式で規定されているため、同リストに記載のない食品添加物の使用、販売、輸出入は認められません。
また、食品添加物は、次の(1)および(2)に該当する場合に限り、使用することができます。

  1. 人の健康に損なうおそれがなく、消費者を欺くことなく、必要とされる効果を発揮する。
  2. 次の(a)~(c)の目的を達成するために、より経済的かつ技術的に効果のあるその他の方法がない。
    1. 食品の栄養価値の維持
    2. 食品の品質・安定性維持の強化または感覚刺激性の改善(消費者を欺く性質・品質の変更を伴わないもの)
    3. 食品の製造・輸送の補助(低品質な原材料の使用または不適切な製造・技術により発生する影響を隠す目的ではないもの)

新たな効果がある混合食品添加物、前述のリストに記載のない食品添加物、または前述のリストに記載される使用対象食品以外の食品への食品添加物の使用については、使用または販売する前に、「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」による商品公表書登録手続きを行う必要があります。

このほか、「食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT」の第7章および「溶媒である製造助剤許容値を規定する国家規格QCVN18-1:2015/BYT」において食品の製造助剤許容値についても規制しています。

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年6月

アルコール飲料の容器・包装に関しては、「食品と接触する容器・包装に対する安全衛生の国家規格を定める通達34/2011/TT-BYT」および「食品に直接接触するガラス、陶磁器などの容器・包装に関する通達35/2015/TT-BYT」に添付の各品質基準に合致することが求められています。合成樹脂、ゴム、金属それぞれの材料により安全衛生の国家規格が異なるため注意する必要があります。
また、「国家規格QCVN 6-3:2010/BYT」の付録3において、スズメッキ缶の缶詰製品であるアルコール飲料におけるスズの残留許容値について、150mg/lと規定されています。

さらに、食品に直接接触するプラスチック容器の場合は、次の基準を満たすことが求められています。

  1. ポリエチレンに関する基準TCVN6514-1:1999(AS2070-1:1995(E))
  2. ポリ塩化ビニルに関する基準TCVN 6514-2:1999(AS 2070 – 2 : 1993(E))
  3. スチレンのプラスチック材料に関する基準TCVN 6514-3:1999(AS 2070 – 3 : 1993 (E))
  4. アクリロニトリルのプラスチック材料に関する基準TCVN 6514-4:1999(AS 2070 – 4 : 1993(E))
  5. ポリプロピレンに関する基準TCVN 6514-5:1999(AS 2070 – 5 : 1993(E))
  6. 着色剤に関する基準TCVN 6514-6:1999(AS 2070 – 6 : 1993(E))
  7. ポリ塩化ビニリデンに関する基準TCVN 6514-7:1999(AS 2070 – 7: 1993(E))
  8. その他の添加剤に関する基準TCVN 6514-8:1999(AS 2070 – 8: 1992(E))

なお、食品をベトナムに輸出後に、ベトナムにおいて包装および容器に封入する場合、当該包装および容器は、これらの規定に従うほか、商品自己公表手続きが必要となる場合があります(食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CPの4.1条)。

6. ラベル表示

調査時点:2021年6月

アルコール飲料のラベル表示は、「商品のラベル表示に関する政令 43/2017/ND-CP」および「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」ならびに「アルコール飲料に関する国家規格QCVN 6-3: 2010/BYT」の第2章第3条により規定されています。外国語表記に加え、ベトナム語も併記する必要があります。

酒類(ビールまたはアルコール度数5%未満の発酵果汁を含まない)のラベルには次の情報を記載しなければなりません。

  1. 商品名
  2. 商品に責任を有する組織あるいは個人の名称と住所(輸入食品の場合は、製造者である組織・個人および商品自己公表(後述の「輸入手続き」の「4.販売許可手続き」の「2.商品自己公表」を参照してください)もしくは商品公表書登録手続きを行った組織・個人の名称と住所)
  3. 原産地
  4. 正味重量または容量(許容不足分は「包装済み商品の量の計測に関する通達21/2014/TT-BKHCN」付録4に従う)
  5. エタノール含有量(摂氏20度でのアルコール度数。許容誤差に関する規定はありません)
  6. 賞味期限(あれば)
  7. 貯蔵方法(ラベル上または別途書面上に表示すること。ワインのみ)
  8. 警報情報(あれば)(例:「飲酒したら運転してはならない」)
  9. 商品ロット識別コード(あれば)

ビールのラベルには次の情報を記載する必要があります。

  1. 商品名
  2. 商品に責任を有する組織あるいは個人の名称と住所(輸入食品の場合は、製造者である組織・個人および商品自己公表(後述の「輸入手続き」の「4.販売許可手続き」の「2.商品自己公表」を参照してください)もしくは商品公表書登録手続きを行った組織・個人の名称と住所)
  3. 原産地
  4. 正味重量または容量(許容不足分は「包装済み商品の量の計測に関する通達21/2014/TT-BKHCN」付録4に従う)
  5. 製造年月日
  6. 賞味期限
  7. 成分または定量の成分
  8. 警報情報
  9. 使用方法および貯蔵方法

7. その他

調査時点:2021年6月

ベトナムで販売するアルコール飲料の衛生規制は、食品安全法で定められています。 同法によれば、ベトナムの国レベルでの食品安全管理は、主に保健省が担っています。保健省は食品安全に関する食品包装、食品容器の国家技術規定の公布や、加工食品にかかる食品添加物、食品加工助剤などについての管理権限も有しています。ただし、アルコール飲料の食品安全管理については、主に商工省が担っています。
「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第6章に基づいて、輸入される食品、食材、食品添加物、食品加工助剤、食品包装用具、食品包装材、食品容器など、すべてが検査対象となります。ただし、展示会サンプル用の食品など、検査対象外の場合もあります。輸入されるアルコール飲料の検査機関は、「商工省の責任範囲に属する食品安全管理に関して定める商工省通達 43/2018/TT-BCT」の第10条に規定されています。

ベトナムでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2021年6月

「外資企業の商品売買活動等に関する商法および外国貿易管理法の細則を定める政令09/2018/ND-CP」の第5条によれば、外資企業は、アルコール飲料の輸入について事前に商工省から外資企業の営業許可書(輸入)を取得する必要はありません。
ただし、「酒類販売に関する政令105/2017/ND-CP」(「商工省の管理範囲に属する分野の投資経営条件に関する複数の政令を改正・補足する政令17/2020/ND-CP」により一部改正)の第30条第1項に基づき、アルコール度数5.5%以上の酒類については、輸入するすべての企業は、酒類流通許可を取得する必要があるとされています。半製品の酒類を輸入する場合は、工業酒類製造ライセンスを有する企業のみに販売できます。工業酒類製造ライセンスを有する企業は、酒類製造用の半製品酒類を輸入、またはその輸入を委託することができます。 一方、アルコール度数5.5%未満の酒類については、同政令第31b条に基づき、輸入するためには、(1)法令に基づき設立された企業・協同組合または営業世帯であり、(2)食品安全に関する法令を遵守し、(3)国際国境検問所を通じて酒類を輸入し、かつ、(4)県級人民委員会の経済課もしくは経済インフラ課に登録することが条件とされています。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年6月

財務省通達38/2015/TT-BTC(同省通達39/2018/TT-BTCおよび通達81/2019/TT-BTCにより改正)では一般的な通関検査、通関手続きなどを規定しています。
通関申告は、通関データ処理システム(VNACCS)を用いてオンラインで行われ、申告書、インボイス、船荷証券、評価申告書、検査証明書、原産地証明書といった書類が通関申告の登録のために必要になります。通関申告の登録が承認された場合、VNACCSによって申告番号が付与されます。その後、通関に必要な検査内容(審査・検査なし、書面審査、貨物検査の3レベルがあります)が決定され、通関データ処理システム上で通知されます。また、通関には、動物検疫、食品安全検査などに合格し必要な要件をすべて満たしていること、関税などがすべて納付されることが必要となります。 旧法令では、酒類をベトナムに輸入する際、前述の書類のほか、輸入事業者は、当該酒類の製造者・販売者からの委任状または代理店契約書も提出しなければならないとしていましたが、現行法令では求められません。 なお、税関職員の裁量と慣行によって、実際には法令とは異なる手続きがなされることがあることにも注意する必要があります。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年6月

アルコール飲料は、輸入時の食品安全検査の対象となります(「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第6章)。ただし、商品公表書登録の受取書が発行された商品など、「政令15/2018/ND-CP」第13条に定める場合は、この検査が免除されます。
食品安全検査の方式としては、通常検査、簡易検査および厳重検査があります。原則として通常検査が適用されますが、次に該当する場合は、簡易検査または厳重検査が適用されます。

  1. 簡易検査の適用
    1. ベトナムが加盟している食品安全相互認定に関する国際条約を締結している国の機関、組織により食品安全に関する要求に到達していると認定された場合;ベトナム法令に適合する輸入ロットおよび商品に対する輸出国の権限のある機関による検査結果がある場合。
    2. 12カ月以内に通常検査により輸入要件合格通知書を連続で3回取得した商品。
    3. GMP、HACCP、ISO22000、IFS、BRC、FSSC22000の品質管理基準またはそれと同等な基準を適用している事業所で生産された商品。
  2. 厳重検査の適用
    1. 前回の検査において輸入要求レベルに到達していなかった輸入ロットおよび商品。
    2. 前回の監査、検査(ある場合)において基準に満たさなかった輸入ロット、商品。
    3. 保健省、農業農村開発省、商工省、省級の人民委員会または権限を有する外国の機関あるいは生産業者からの警告がある場合。

なお、前述の2.aおよびbについて厳重検査を連続3回合格した場合、または前述2.cについて、保健省、農業農村開発省もしくは商工省から厳重検査適用の停止通知書がある場合において、厳重検査から通常検査に変換されます。
食品安全検査を申請する際の書類として、次のものを検査実施機関に提出します(通常検査の場合)。

  1. 食品安全検査申請書(正本)
  2. 商品自己公表書
  3. パッキングリストの写し

食品安全検査の手段としては原則、書類検査ですが、厳重検査の場合はサンプル検査も行われます。
食品安全検査に合格すると、輸入要件合格通知書が発行されます。輸入者は同通知書を税関当局に提出します。

4. 販売許可手続き

調査時点:2021年6月

法令で定義された酒類の販売は「酒類販売に関する政令105/2017/ND-CP」(「商工省の管理範囲に属する分野の投資経営条件に関する複数の政令を改正・補足する政令17/2020/ND-CP」により一部改正)により規制されています。
同政令105/2017/ND-CPの第2章および第2a章では、それぞれアルコール度数5.5%以上の酒類およびアルコール度数5.5%未満の酒類について、流通・販売許可証の新規発給、期間延長、追加、改廃などの手続きを規定しています。ベトナム国内でのアルコール度数5.5%以上の酒類の販売については、ライセンスが必要です。ベトナム国内でアルコール度数5.5%以上の酒類の販売をする業者は、通常の業者登録認可証に加え、商工局(卸売ライセンスの場合)または県級人民委員会の経済課もしくは経済インフラ課(小売ライセンスの場合)から特別ライセンスを取得する必要があります。一方、アルコール度数5.5%未満の酒類の販売をする業者は、県級人民委員会の経済課もしくは経済インフラ課に登録しなければなりません。
また、保健省が規定した特殊なタイプの酒類(薬用アルコール)を輸入する業者は、その輸入酒の内容などを保健省に登録する必要があります。

法令で定義されたビールは、政令105/2017/ND-CPの適用対象ではなく、同政令に基づくライセンスは不要です。また、政令77/2016/ND-CP (政令08/2018/ND-CP、政令17/2020/ND-CPにより改正)には、ベトナム国内でのビール製造者について、食品安全性・衛生保証の条件が定められていますが、販売者についての条件は規定されていません。

また、アルコール飲料を含む食品の輸入・販売には次の手続きが必要となります。

  1. 食品安全要件充足施設証明書
    食品安全法(マスタープランに関連する 11 法律の一部の条項を改正・補足する法律 28/2018/QH14により一部改正)の第34条および「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第11条および第12条によれば、包装済み食品に該当する場合およびホテルにおけるレストランの場合などを除き、ベトナム国内でアルコール飲料を含む食品を製造または販売する企業は、「食品安全要件充足施設証明書」を取得する必要があります。
    「食品安全要件充足施設証明書」の取得の条件は、食品安全法の第34条に規定されます。
  2. 商品自己公表
    「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」によると、加工包装済みの食品に該当するアルコール飲料を輸入する企業は、商品自己公表手続きを行う必要があります。商品自己公表とは、所定の書式の商品自己公表書および商品テスト結果票をマスメディアまたは自己のウェブサイトもしくは所在地において公表し、かつ、当局へ送付することにより行われる手続きです。
  3. 輸入ライセンス
    「外資企業の商品売買活動等に関する商法および外国貿易管理法の細則を定める政令09/2018/ND-CP」の第5条によれば、外資企業は、アルコール飲料の輸入について事前に商工省から外資企業の営業許可書(輸入)を取得する必要はありません。ただし、「酒類販売に関する政令105/2017/ND-CP」(「商工省の管理範囲に属する分野の投資経営条件に関する複数の政令を改正・補足する政令17/2020/ND-CP」により一部改正)第30条第1項に基づき、アルコール度数5.5%以上の酒類を輸入するすべての企業は、酒類流通許可を取得する必要があるとされています。また、同政令第31b条に基づき、アルコール度数5.5%未満の酒類を輸入するためには、法令に基づき設立された企業・協同組合または営業世帯であり、食品安全に関する法令を遵守し、国際国境検問所を通じて酒類を輸入し、かつ、県級人民委員会の経済課に登録することは条件とされています。また、ベトナムに初めて輸入されるアルコール飲料については、輸入者が輸入前に、管轄当局にサンプルを提出して、衛生や安全性に関する証明をしなければなりません。

5. その他

調査時点:2021年6月

なし

ベトナム内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年6月

アルコール飲料は関税の対象となります。

優遇税率(政令125/2017/ND-CP(政令57/2020/ND-CPにより改正)に添付された輸入税表)適用の場合

  • ビール等(HS 2203):35%
  • ぶどう酒(強化ぶどう酒を含み、生鮮のぶどうから製造したものに限る)およびぶどう搾汁(第20.09項のものを除く)(HS 2204):50%
  • ベルモットその他のぶどう酒(生鮮のぶどうから製造したもので、ハーブまたは芳香性物質により香味を付けたものに限る)(HS 2205):50%
  • その他の発酵酒(例えば、りんご酒、梨酒、ミードおよび清酒)、ならびに発酵酒とアルコールを含有しない飲料との混合物、および発酵酒の混合物(他の項に該当するものを除く)(HS 2206):55%
  • エチルアルコール(変性させていないものでアルコール度が80%未満のものに限る)および蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料(HS 2208):45%
  • 清酒(HS 2206.00.20): 55%
  • その他(HS 2208.90)※焼酎など:45%

日本・ベトナム経済連携協定(VJEPA)の税率を適用の場合

  • アルコール飲料の輸入税率:65%
  • 清酒(HS 2206.0020)および1.14%以下のアルコール度数のエチルアルコール(HS 22089091)ならびにその他(HS 2208.9099):次のスケジュールで関税率は段階的に引き下げられます。

    2018年1月1日~2018年3月31日: 12%
    2018年4月1日~2019年3月31日: 6%
    2019年4月1日~2023年3月31日: 0%

VJEPA税率を適用するには、日本商工会議所が発給する特定原産地証明書の取得が必要となります。その特定原産地証明書には2007年版HSコードで記載しなければなりません。

なお、VJEPA税率は、対象品目について日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP) の税率より低いまたは同じとなっています。

日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)の税率を適用の場合

  • アルコール飲料の輸入税率:65%
  • 清酒(HS 2206.0020)および1.14%以下のアルコール度数のエチルアルコール(HS 2208.9091)ならびにその他(HS 2208.9099):次のスケジュールで関税率は段階的に引き下げられます。
    HSコード AJCEP適用税率 (%)
    2018年1月1日~
    2018年3月31日
    2018年4月1日~
    2019年3月31日
    2019年4月1日~
    2020年3月31日
    2020年4月1日~
    2021年3月31日
    2021年4月1日~
    2022年3月31日
    2022年4月1日~
    2023年3月31日
    2206.002 24 20 16 12 8 4
    2208.9091
    2208.9099
    27 23 19 15 11 8

    ※AJCEPは2007版HSコードで規定されています。

VJEPAとAJCEPの税率は特別優遇税率であり、特別優遇税率が優遇税率よりも高い場合、優遇税率が適用されます。

包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(TPP11=CPTPP)の特別優遇税率を適用する場合

CPTPP(TPP11)の特別優遇税率の適用を受けるためには、次の条件をすべて満たしている必要があります。

  • 政令57/2019/ND-CPに添付される優遇輸入関税の商品リストに該当すること
  • 日本(または他の締約国)からベトナムへ輸入されること
  • 日本(または他の締約国)からベトナムに直接出荷される商品であること
  • CPTPPの商品の原産地に関する規定を満たし(品目別規則などは「通達03/2019/TT-BCT」(「通達06/2020/TT-BCT」により一部改正)に規定)、生産者または輸出者が自ら原産性を証明すること(※)。

※CPTPPは自己申告制度のため、生産者または輸出者が自ら原産地証明書を作成し、ベトナム輸入時に税関に提出します。ベトナムでは輸入者が作成する原産地証明書はまだ認められていません(協定本文第3.20条第1項 注2)。また、日本商工会議所の特定原産地証明書の発給は行われません。
※ベトナムから日本に輸入する場合は、商工省管轄の発給機関でCOフォーム(フォームCPTPP)発給を受ける(協定本文 付属書三-A 5項(b))か、または日本の輸入者が自ら作 成し、日本輸入時に税関に提出するかのいずれかとなり、日本からベトナムに輸出する場合と手続きが異なります。

CPTPP協定に基づくと、輸入アルコール飲料について、清酒は同協定発効後3年目に、その他のアルコール飲料は11年目または12年目に、輸入関税率が0%になります。 「政令57/2019/ND-CP」によると、日本から輸入するアルコール飲料のCPTPPに基づく2021年および2022年の特別優遇輸入関税率は次のとおりです。

アルコール飲料の特別優遇輸入関税率CPTPP(%)
HSコード 税率(%)
2021年1月1日- 2021年12月31日
税率(%)
2022年1月1日- 2022年12月31日
2203 30 29
2204.10, 2204.21, 2204.22, 2204.29 32 27
2204.30 39 35
2205 39 35
2206(2206.0020清酒を除く) 39 35
2206.0020 0 0
2208 35 35

2. その他の税

調査時点:2021年6月

財務省通達83/2014/TT-BTCに基づいて、アルコール飲料のVAT税率は10%です。

3. その他

調査時点:2021年6月

2014年の特別消費税法改正法70/2014/QH(法律106/2016/QH13により一部改正)に基づいて、特別酒類消費税(Special Consumption Tax for Liquors: SCT)が課税されます。特別酒類消費税の税率はアルコール度数によって異なります。

アルコール度数20度以上:
  • 2016年1月1日-12月31日: 55%
  • 2017年1月1日-12月31日: 60%
  • 2018年1月1日以降: 65%
アルコール度数20度未満:
  • 2016年1月1日-2017年12月31日: 30%
  • 2018年1月1日以降: 35%
ビール:
  • 2016年1月1日-12月31日: 55%
  • 2017年1月1日-12月31日: 60%
  • 2018年1月1日以降: 65%