台湾の貿易と投資(世界貿易投資動向シリーズ)

要旨・ポイント

  • 2022年の実質GDP成長率は2.4%と大幅に鈍化。
  • 世界的な半導体の在庫調整の影響を受け、財貨・サービスの貿易が減速。
  • 台湾当局の消費券発行などの積極的な消費振興策が景気を下支え。
  • 日本の対台湾直接投資金額は、機械設備製造業の大型案件などにより、前年比2.3倍の16億9,941万ドル。

公開日:2023年12月14日

マクロ経済 
2022年の経済成長率は大幅に鈍化

2022年の台湾の実質GDP成長率は、2.4%と前年の6.5%から大幅に減速した。前年は新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大により、先進国を中心にテレワークへと労働スタイルがシフトするという大きな環境変化があった。台湾はサーバーなどの通信インフラやディスプレーなどの世界的な需要の高まりを受け、関連商品や半導体を含む部材などの輸出が増加したことにより高成長となった。2022年は世界の半導体市場が在庫調整局面へとシフトした影響を受け、財貨・サービスの貿易が減速したことから成長率が大幅に鈍化した。

2022年のGDPを需要項目別にみると、財貨・サービス輸出が前年から15.8ポイント減少し、1.5%増となった。財貨・サービス輸入は、前年から15.8ポイント減少し2.3%増にとどまった。なお、行政院主計総処(以下、主計総処)は台湾の貿易の減速について、上述の要因に加え、中国における新型コロナの感染拡大による生産の減速も影響したと分析した。

貿易の減速に伴って、製造業を中心に投資意欲が低下したことから、総固定資本形成も前年から12.8ポイント減少し1.6%増となった。

一方で、民間最終消費については、前年の0.4%減から1.6%増とプラスに転じた。台湾当局が消費券の発行など積極的な消費振興策を取ったことが功を奏した。また、主計総処は、年後半にかけて新型コロナの防疫措置が段階的に緩和にされたことに伴い、消費活動が正常化してきたこと、隔離など水際措置の撤廃により海外との往来が回復したことが国内消費の持続的な回復につながったと指摘した。

2023年第1四半期の実質GDP成長率は、サプライチェーン上における半導体などの在庫調整が続いており、輸出が減速していることなどから、前年同期比3.3%減となった。第2四半期の実質GDP成長率は1.4%となった。四半期ベースでは、2022年第4四半期から2期連続でマイナスが続いていたがプラスに転じた。

主計総処は、2023年の実質GDP成長率について、同年8月時点で1.6%と予測している。民間消費については、経済および消費活動が正常化する中で、労働市場の継続的な改善などが消費の下支えとなるとの見方を示した。民間投資については、半導体工場の先端設備、洋上風力や太陽光発電などの設備への投資、域内投資支援策を受けた台湾企業による投資の継続、海外旅行需要の回復による航空機購入などがけん引役となると指摘した。一方で、世界経済の不確実性の高さを受けた企業の投資に対する様子見姿勢などをマイナス要因に挙げた。外需については、主要国・地域における金融引き締め策などの影響を受けた末端需要の低迷、製品価格の下落、在庫調整の継続などが輸出の下押し圧力になると指摘した。

表1 台湾の需要項目別実質GDP成長率(単位:%)(△はマイナス値)
項目 2021年 2022年 2023年
年間 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1
実質GDP成長率 6.5 2.4 3.9 3.0 3.6 △ 0.8 △ 3.3
階層レベル2の項目民間最終消費支出 △ 0.4 1.6 0.3 1.4 3.2 1.4 3.0
階層レベル2の項目政府最終消費支出 3.7 0.5 △ 0.1 0.8 0.3 0.9 0.5
階層レベル2の項目国内総固定資本形成 14.5 1.6 2.3 2.9 0.6 0.9 △ 0.9
階層レベル2の項目財貨・サービスの輸出 17.3 1.5 5.7 3.2 1.5 △ 3.8 △ 8.0
階層レベル2の項目財貨・サービスの輸入 18.1 2.3 4.4 4.9 1.1 △ 0.8 △ 2.5

〔注〕四半期の伸び率は前年同期比。2022年通年および第4四半期は速報値。2023年第1四半期は予測値。
〔出所〕行政院主計総処発表資料から作成

貿易 
貿易は鈍化、対中輸出の減速が主要因

台湾財政部が1月7日に発表した貿易統計によると、2022年通年の貿易額(通関ベース)は、輸出が前年比7.4%増の4,794億4,200万ドル、輸入が12.1%増の4,280億1,000万ドルとなった。いずれも過去最高額を更新したが、伸び率は前年に比べ鈍化した。貿易額の構成比が大きい中国が、ゼロコロナ政策の影響で内需が縮小したことが主要因となった。貿易収支は20.2%減の514 億3,219万ドルで黒字を維持したものの、黒字幅は前年から縮小した。

輸出を国・地域別にみると、最大の輸出先の中国向けは前年比3.8%減だった。そのほかの主要輸出相手をみると、ASEANは14.8%増、米国は14.3%増、香港は2.9%増、欧州は6.8%増、日本は15.1%増だった。これらの5カ国・地域の輸出額はそれぞれ過去最高を更新した。

輸入では、中国が前年比1.8%増、ASEANが14.2%増、米国が15.7%増、欧州が7.8%増、日本は2.7%減だった。日本からの輸入では電子部品やプラスチック・ゴムおよび同製品などが減少した。原油の主要な輸入先の中東については41.8%増加した。

表2 台湾の主要国・地域別輸出入[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2021 2022年 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
アジア大洋州 318,436 335,873 70.1 5.5 237,304 257,291 60.1 8.4
階層レベル2の項目中国 125,903 121,113 25.3 △ 3.8 82,485 83,994 19.6 1.8
階層レベル2の項目香港 62,972 64,782 13.5 2.9 1,709 1,499 0.4 △ 12.3
階層レベル2の項目日本 29,206 33,610 7.0 15.1 56,117 54,627 12.8 △ 2.7
階層レベル2の項目韓国 20,140 22,178 4.6 10.1 30,640 34,270 8.0 11.8
階層レベル2の項目ASEAN10 70,242 80,614 16.8 14.8 47,233 53,924 12.6 14.2
階層レベル3の項目シンガポール 25,719 29,523 6.2 14.8 12,073 12,530 2.9 3.8
階層レベル3の項目マレーシア 13,328 17,019 3.5 27.7 11,799 13,539 3.2 14.7
階層レベル3の項目ベトナム 13,967 14,574 3.0 4.4 6,147 6,965 1.6 13.3
階層レベル3の項目フィリピン 6,073 7,640 1.6 25.8 2,998 3,081 0.7 2.8
階層レベル3の項目タイ 7,024 7,549 1.6 7.5 5,961 6,289 1.5 5.5
階層レベル3の項目インドネシア 3,070 3,215 0.7 4.7 7,909 11,227 2.6 41.9
階層レベル2の項目インド 4,522 5,319 1.1 17.6 3,178 3,140 0.7 △ 1.2
階層レベル2の項目オーストラリア 4,808 7,538 1.6 56.8 14,939 24,677 5.8 65.2
北米 68,696 78,352 16.3 14.1 41,665 47,964 11.2 15.1
階層レベル2の項目米国 65,686 75,050 15.7 14.3 39,259 45,421 10.6 15.7
欧州 38,484 41,102 8.6 6.8 47,331 51,009 11.9 7.8
階層レベル2の項目EU 31,807 34,920 7.3 9.8 36,945 40,372 9.4 9.3
階層レベル2の項目英国 4,149 4,051 0.8 △ 2.4 2,375 2,587 0.6 8.9
階層レベル2の項目ロシア 1,319 855 0.2 △ 35.2 5,014 4,921 1.1 △ 1.9
中南米 7,734 8,687 1.8 12.3 8,885 9,020 2.1 1.5
中東 5,618 6,474 1.4 15.2 25,325 35,905 8.4 41.8
アフリカ 2,222 3,025 0.6 36.1 4,008 4,786 1.1 19.4
合計(その他含む) 446,371 479,442 100.0 7.4 381,958 428,010 100.0 12.1

〔注〕アジア大洋州は、ASEAN10+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港を加えた合計値。
〔出所〕財政部統計処データベースより作成

電子部品や集積回路の貿易が増加

輸出を商品別にみると、構成比の6割以上を占める機械および電気機器が前年比12.2%増と2桁増となった。これは主に電気機器および部品(12.8%増)の伸びによるもので、同品目には集積回路などの電子部品や情報通信機器が含まれる。しかし、2021年の同品目の伸びが26.1%増であったことを鑑みると、世界的な半導体の在庫調整の影響により10ポイント以上減速した。2021年は集積回路の供給不足による価格高騰により、輸出額が大幅に増加したことに加え、在宅勤務関連などの情報通信機器の輸出が好調であった。2022年は前年と比較し最終製品の需要が一服したことなどにより、集積回路(前年比18.4%増)、情報通信機器(前年比5.6%増)ともに、伸び率は8.7ポイント、19.2ポイントそれぞれ下落した。

また、プラスチック・ゴムを含む化学品については、需要の低迷とメーカーの減産、在庫消化などにより前年比7.1%減となった。なお、財政部によると、半導体製造装置の輸入額は13.2%増の43億ドルだった。

表3 台湾の主要品目別輸出入[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2021年 2022年 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
機械および電気機器 276,218 309,830 64.6 12.2 178,137 192,132 44.9 7.9
階層レベル2の項目電気機器および部品 218,765 246,680 51.5 12.8 120,335 127,659 29.8 6.1
階層レベル2の項目原子炉、ボイラー 57,454 63,150 13.2 9.9 57,802 64,473 15.1 11.5
化学品 53,274 49,490 10.3 △ 7.1 44,755 46,681 10.9 4.3
階層レベル2の項目プラスチック・ゴム 29,866 26,016 5.4 △ 12.9 11,106 10,656 2.5 △ 4.1
階層レベル2の項目化学工業品 23,408 23,474 4.9 0.3 33,649 36,026 8.4 7.1
卑金属および同製品 36,811 36,872 7.7 0.2 29,128 28,125 6.6 △ 3.4
原油・鉱産物 12,130 19,750 4.1 62.8 57,367 84,249 19.7 46.9
精密・光学機器 20,097 16,832 3.5 △ 16.2 17,388 17,865 4.2 2.7
輸送機器 14,582 16,632 3.5 14.1 13,443 14,663 3.4 9.1
食料品 5,868 5,337 1.1 △ 9.0 15,932 18,408 4.3 15.5
合計(その他含む) 446,371 479,442 100.0 7.4 381,958 428,010 100.0 12.1

〔注〕食料品はHS分類における第1~4部。
〔出所〕財政部統計処データベースより作成

2023年上半期(1~6月期)の貿易は、輸出入ともに前年同期比2桁減となった。輸出は、前年同期比18.0%減の2,021億900万ドルだった。輸入は20.0%減の1,756億5,100万ドルで、上半期の貿易収支は264億5,800万ドルの黒字となった

国・地域別にみると、輸出では、主要国・地域向けが軒並み減少した。最大の輸出先である中国(香港含む)向けは、電子部品の輸出減を受け26.0%減となった。輸入は国際原材料価格の下落などの影響で、香港を除く主要国・地域で軒並み減少した。

輸出を品目別にみると、電子部品(15.3%減)が減少に大きく寄与した。このほか、卑金属および同製品(26.8%減)、プラスチック・ゴムおよび同製品(30.7%減)などが減少した。輸入では電子部品の減少(28.9%減)が大きく影響したほか、鉱産品(21.3%)も減少した。

財政部は輸出入ともに減少した背景として、インフレと利上げの影響を受けた世界経済の低迷、メーカーによる継続的な在庫調整や製品価格の下落などを挙げた。今後の見通しについては、高性能コンピューティングやデータセンター、車載用電子機器などの新興・デジタル領域の需要は引き続き拡大しており、関連の最終製品への集積回路の組み入れも増加することから、貿易の伸びは維持されるとした。

通商政策 
貿易円滑化を含む対米イニシアチブの第1段階合意に署名

2022年の海峡両岸経済協力枠組協定(ECFA)対象品目の貿易額は、台湾の対中輸出が前年比18.8%減の204億9,600万ドルとなった。対中輸出全体に占める割合は16.9%で、関税減免金額(台湾側推計)は8億3,100万ドルだった。対中輸入におけるECFA対象品目の貿易額は87億4,400万ドル、対中輸入全体に占める割合は10.4%で、関税減免金額は1億2,500万ドルだった。なお、2013年6月に締結した海峡両岸サービス貿易協定は2023年10月時点で発効していない。

環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)については、行政院は2021年9月23日に加入を正式に申請したと発表した。足元の自由貿易協定(FTA)の動向としては、2023年5月15日にエルサルバドルとのFTAの履行を停止した。また、6月16日にホンジュラス政府が台湾とのFTAの失効を通知したことを受け、外交部は同FTAの規定に基づき、通知から180日後となる12月6日付でFTAが失効すると発表した。なお、経済部は両国との貿易額が小さいことなどから、FTAの停止・失効による影響は限定的との見解を示した。

米国と台湾は2023年5月18日に「21世紀の貿易に関する米国・台湾イニシアチブ」の第1段階の合意を発表した。米国在台湾協会(AIT)と駐米国台北経済文化代表処(TECRO)が6月1日に協定に署名した。第1段階の協定では、交渉のマンデートで定めた分野のうち、税関手続きと貿易円滑化、良き規制慣行、サービスの国内規制、反腐敗、中小企業について合意した。8月に行われた第2回交渉会合では、残る交渉分野のうち、農業、労働、環境の3分野に関するテキスト案について意見交換が行われた。米国通商代表部(USTR)は生産的な対話だったと述べた上で、米台の高官が合意形成のため、以降数カ月にわたって議論を続けるとの見通しを示した。

中国商務部は2023年4月12日、業界団体の申請を受け、「対外貿易法」および「対外貿易障壁調査規則」の規定に基づき、台湾の中国に対する貿易制限措置について貿易障壁調査を行うとする公告を発表した。調査対象となるのは、台湾が制定し実施している中国産品に対する輸入禁止関連措置で、農産品や化学工業製品、繊維製品などの2,455品目などとなった。商務部は10月9日、実施中の貿易障壁調査について、調査期限を2024年1月12日まで3カ月延長すると発表した。なお、台湾の総統選挙はその翌日(2024年1月13日)に予定されている。商務部報道官は同調査について、予備調査の結果、台湾の中国に対する貿易制限措置はWTOの無差別原則や数量制限の一般的廃止の原則に違反している疑いがあるとの認識を示した。また、中国が台湾産品に対して行っている税制優遇措置の停止または一部停止の可能性については、同調査の状況を踏まえて、相応の措置を取ることを検討するとコメントした。

対内・対外直接投資 
対内直接投資は大幅に増加、洋上風力発電などがけん引

経済部投資審議委員会(以下、投資審議委員会)によると、2022年の対内直接投資(中国を除く、認可ベース)は、件数が前年比5.4%減の2,566件、金額は77.9%増の133億327万ドルとなった。投資額は直近の15年間では最も多く、データが確認できる1952年以降では3番目に高い水準となった。投資審議委員会は、2022年の対内直接投資が好調だった主な要因として、洋上風力発電関連の大型投資を挙げた。具体的な案件としては、デンマークの洋上風力大手オーステッド・ウインド・パワー・TWホールディングによる、沃旭東南大彰化控股、大彰化西南離岸風力発電、大彰化西北離岸風力発電への増資などがある。これら大型案件により、国・地域別の投資額では、デンマークが最大で投資額全体の26.9%を占めた。なお、デンマーク以外の洋上風力電力関連の案件としては、オランダのNP HAI LONG HOLDINGSによる海龍控股への増資があった。その他の分野では、英領ケイマン諸島のTCCインターナショナル・ホールディングスが電池製造・販売および研究開発のために台泥循環能源科技へ投資した案件などがあった。

業種別では、金融・保険が41.6%を占めたほか、卸・小売りが14.2%、エネルギー・水供給が14.2%、機械が7.3%、専門・科学・技術サービスが3.7%で、これら上位5業種で全体の約8割に達する。なお、投資審議委員会によると、洋上風力発電関連の投資案件など、持ち株会社を投資先とする場合は、業種別では金融・保険に分類されるとしている。中国からの直接投資は件数が前年比6.1%減の46件、金額は66.7%減の3,873万ドルだった。

2023年1~9月期の対内直接投資(中国を除く、認可ベース)については、件数は前年同期比7.6%減の1,697件、金額は28.4%減の79億7,452万ドルだった。投資審議委員会は投資額の減少について、比較対象の基数となる前年同期が直近15年の史上最高額であったためと説明した。なお、投資額を金額別でみると、シンガポールが前年同期比5.9倍の21億5,645万ドル(構成比27.0%)で最大となった。主要な案件としては、シンガポールのDBS銀行による星展(台湾)商業銀行への増資があった。中国からの投資は件数が41.7%増の21件、投資額が38.1%増の2,658万ドルだった。1~9月期の投資額としては、中国資本による台湾投資が2009年6月に開放されて以降、史上最低額となった前年に続き、2番目に低い水準となった。

なお、台湾が2019年7月から実施している「投資台湾三大法案」 については、2023年11月3日時点で認可された案件の総数が1,419件、投資総額は2兆1,553億台湾ドルとなった。これらの案件によって創出される雇用は想定で14万8,161人となった 。

表4 台湾の国・地域別対内・対外直接投資[認可ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 対内直接投資 対外直接投資
2021年 2022年 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
アジア大洋州 2,671 4,705 35.4 76.2 8,929 6,781 68.1 △ 24.1
階層レベル2の項目日本 729 1,699 12.8 133.2 2,216 73 0.7 △ 96.7
階層レベル2の項目シンガポール 419 487 3.7 16.2 3,713 3,363 33.8 △ 9.4
階層レベル2の項目タイ 419 369 2.8 △ 11.9 341 275 2.8 △ 19.4
階層レベル2の項目香港 308 365 2.7 18.6 261 238 2.4 △ 8.7
階層レベル2の項目韓国 258 136 1.0 △ 47.4 428 467 4.7 9.2
階層レベル2の項目インドネシア 10 29 0.2 196.1 264 305 3.1 15.5
階層レベル2の項目ベトナム 1 1 0.0 164.9 1,061 549 5.5 △ 48.3
階層レベル2の項目インド 2 1 0.0 △ 53.2 173 109 1.1 △ 37.1
階層レベル2の項目オーストラリア 102 1,144 8.6 1,018.8 15 413 4.1 2,624.9
階層レベル2の項目サモア 369 409 3.1 10.8 187 229 2.3 22.9
欧州 1,722 5,375 40.4 212.2 730 898 9.0 22.9
階層レベル2の項目デンマーク 27 3,577 26.9 13,155.0 0 3 0.0 14,362.0
階層レベル2の項目オランダ 745 903 6.8 21.3 671 42 0.4 △ 93.8
階層レベル2の項目ルクセンブルク 248 189 1.4 △ 23.8 3 0.0 全増
階層レベル2の項目ドイツ 253 100 0.8 △ 60.2 18 268 2.7 1,373.0
階層レベル2の項目イタリア 4 1 0.0 △ 81.6 20 236 2.4 1,086.6
階層レベル2の項目英国 333 533 4.0 60.3 3 53 0.5 1,680.6
中南米 2,153 2,642 19.9 22.7 2,376 1,133 11.4 △ 52.3
階層レベル2の項目英領中南米地域 2,041 2,502 18.8 22.6 1,181 947 9.5 △ 19.8
北米 741 441 3.3 △ 40.4 483 1,095 11.0 126.7
階層レベル2の項目米国 705 399 3.0 △ 43.4 477 1,089 10.9 128.3
アフリカ 189 140 1.1 △ 26.1 80 52 0.5 △ 35.0
合計(その他含む) 7,476 13,303 100.0 77.9 12,599 9,962 100.0 △ 20.9
中国 116 39 △ 66.7 5,863 5,047 △ 13.9

〔注〕合計に中国は含まない。中国を含めた2022年の合計は133億4,199万ドル(対内)、150億904万ドル(対外)。地域分類は経済部投資審議委員会の定義に基づく。
〔出所〕経済部投資審議委員会発表資料より作成

表5 台湾の業種別対内・対外直接投資[認可ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 対内直接投資 対外直接投資
2021年 2022年 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
鉱業 0 0 0.0 5,406.6 848 8.5 全増
製造業 1,687 2,291 17.2 35.8 4,523 3,492 35.1 △ 22.8
階層レベル2の項目機械 64 973 7.3 1,427.4 76 61 0.6 △ 20.5
階層レベル2の項目電気・電子 940 678 5.1 △ 27.9 3,721 1,918 19.3 △ 48.5
階層レベル2の項目化学・薬品 263 300 2.3 14.3 139 242 2.4 73.6
階層レベル2の項目輸送機器 77 139 1.0 80.4 51 221 2.2 332.6
階層レベル2の項目金属 260 74 0.6 △ 71.7 265 562 5.6 112.4
階層レベル2の項目繊維・アパレル 3 25 0.2 842.8 108 215 2.2 99.5
階層レベル2の項目ゴム・プラスチック 36 22 0.2 △ 38.6 39 103 1.0 166.1
階層レベル2の項目食品・飲料・タバコ 15 13 0.1 △ 13.0 6 37 0.4 530.7
階層レベル2の項目プリンター・複合機 4 9 0.1 117.7 2 1 0.0 △ 65.0
階層レベル2の項目木材・製紙 2 7 0.1 276.0 34 89 0.9 161.0
金融・保険 2,292 5,539 41.6 141.7 4,650 2,355 23.6 △ 49.3
エネルギー・水供給 164 1,893 14.2 1,055.5 10 2 0.0 △ 81.3
卸・小売り 906 1,885 14.2 107.9 2,853 1,108 11.1 △ 61.2
専門・科学・技術サービス 412 497 3.7 20.6 92 133 1.3 44.8
情報通信 623 494 3.7 △ 20.7 82 108 1.1 32.2
不動産 653 366 2.8 △ 44.0 52 33 0.3 △ 36.2
建設 283 84 0.6 △ 70.4 12 15 0.2 24.6
宿泊・飲食 62 75 0.6 20.0 32 6 0.1 △ 81.4
運輸・倉庫 56 64 0.5 14.0 199 1,807 18.1 807.5
合計(その他含む) 7,476 13,303 100.0 77.9 12,599 9,962 100.0 △ 20.9

〔注〕中国は含まない。
〔出所〕 経済部投資審議委員会発表資料より作成

表6 台湾の主な対内直接投資案件(2022年)(単位:万ドル)
業種 企業名 国籍 時期 投資額 概要
電力 CI II CHANGFANG K/S デンマーク 1月 33,137 コペンハーゲン・インフラ彰芳への貸付・投資により、彰芳洋上風力発電所の建設のための再投資を実施。
機械 日立製作所 日本 1月 77,398 エレベーターなどの販売・サービスを行う永大機電工業の株式を取得。
電力 オーステッド・ウインド・パワー・TWホールディング デンマーク 6月 121,043 発電業を営む大彰化西南離岸風力発電への貸付・投資。
電力 オーステッド・ウインド・パワー・TWホールディング デンマーク 6月 152,455 投資業を営む沃旭東南大彰化控股への貸付・投資。
電力 オーステッド・ウインド・パワー・TWホールディング デンマーク 12月 37,642 洋上風力発電事業のため、大彰化西北離岸風力発電に増資。
電力 ノースランド・パワー・ハイロン・ホールディングス(NP HAI LONG HOLDINGS B.V) オランダ 5月 62,881 洋上風力発電事業のため、海龍控股に増資。海龍二号風電および海龍三号風電の設立。
電気・電子 TCC インターナショナル・ホールディングス 英領ケイマン諸島 7月 37,643 電池製造・販売および研究開発のため、台泥循環能源科技に投資。
保険 東京海上日動火災保険 日本 9月 23,138 新安東京海上産物保険に増資。
保険 東京海上日動火災保険 日本 12月 8,341 新安東京海上産物保険に増資。

〔注〕 (1)1米ドル=31.8782台湾元で台湾元からドルに換算。(2)投資額は経済部投資審議委員会への申請ベース。
〔出所〕経済部投資審議委員会発表資料より作成

中国向けの投資は減少傾向

2022年の台湾の対外直接投資(認可ベース、中国除く)は、件数が前年比35.2%増の546件、金額は20.9%減の99億6,228万ドルだった。対外投資額の減少について、投資審議委員会は、2021年に台湾積体電路製造(TSMC)の日本への投資や、聯発科技(メディアテック)のシンガポール子会社への増資などの大型案件があったことによる反動減と説明した。なお、TSMCの投資は熊本県におけるジャパン・アドバンスト・セミコンダクター・マニュファクチャリング(JASM)の設立のためのもので、2021年に21億2,340万ドルの投資を行っていた。

2022年の対外投資を国・地域別にみると、主な投資先はシンガポール(構成比33.8%)、米国(10.9%)、英領中南米地域(9.5%)、ベトナム(5.5%)、韓国(4.7%)だった。業種別の構成比では、金融・保険が23.6%、運輸・倉庫が18.1%、電子部品製造が13.2%を占めた。

主要な投資案件としは、陽明海運がシンガポールで貨物運送などを行う関連会社に増資をした案件や、緯穎科技服務が高密度サーバーなどの販売を行う米国関連会社に増資をした案件があった。このほか、半導体や電気自動車分野に関連する投資が目立った。

2023年1~9月期の対外直接投資(認可ベース、中国除く)については、件数は前年同期比1.5%増の414件、投資額が2.9倍の174億8,147万ドルだった。投資額を国・地域別にみると、米国が95億9,341万ドル(構成比は54.9%)で最も多かった。このうち、80億ドルはTSMCによる米国アリゾナ子会社への投資によるものだった。次いで、シンガポールが22億6,996万ドル(13.0%)だった。このうち約8億ドルは、鴻海精密工業のシンガポール子会社への増資であった。

中国への投資は、件数が7.4%減の249件、投資額が17.0%減の25億2,881万ドルだった。対ASEAN投資は43億3,026万ドルで、対中投資額を上回った。投資審議委員会は、近年の対中投資の減少要因について、中国のビジネス環境が以前よりも悪化していること、労働者の賃金や環境保護に関するコストが継続的に上昇していることを指摘した。

表7 台湾の主な対外直接投資案件(2022年)(単位:万ドル)
業種 企業名 投資国・地域 時期 投資額 概要
電気・電子 緯穎科技服務 米国 3月 40,000 高密度サーバーやデータストレージ・デバイスの販売業務を行う、米国のWiwynnインターナショナル・コーポレーションに対する増資。
電気・電子 英業達 米国 5月 6,500 米国の持ち株会社である英業達控股(北美)への増資。
海運 陽明海運 シンガポール 10月 55,000 貨物運送・管理業、海上貨物運送業を営む投資事業会社である、陽明(シンガポール)への増資として、現金配当を割り当てた。
自動車 利億國際投資
(鴻海精密工業の子会社)
タイ 10月 12,200 鴻海精密工業と国営タイ石油会社(PTT)の合弁会社で、電気自動車およびその部品の製造、アフターサービス事業を行うホライゾン・プラスに対する増資。
金属、電気・電子 華新麗華 インドネシア 10月 14,600 非鉄金属の製造、電池用ニッケルの製造・販売、発電所の設置業務を行うインドネシアのPT.Westrong Metal Industryに対する投資。
電気・電子 聯華電子 中国 10月 78,359 28ナノメートルおよび40/55ナノメートルの製造プロセスで半導体製造を行う聯芯集成電路製造(廈門)の株式を間接取得。取得後の聯華電子の持ち分は100%となった。

〔注〕 投資額は経済部投資審議委員会への申請ベース。
〔出所〕経済部投資審議委員会発表資料より作成

対日関係 
対日貿易は、輸出入とも過去最高を更新

台湾の通関統計によると、2022年の台湾の対日輸出は前年比15.1%増の336億965万ドルと、前年に続き、過去最高額を更新した。輸出額の増加は2017年以降6年連続となった。主に機械および電気機器(21.1%増)、卑金属および同製品(10.2%増)、プラスチック・ゴムおよび同製品(1.9%増)、化学工業品(3.5%増)などが好調だったことによる。輸出額の約5割を占める集積回路をはじめとする電子部品(31.5%増)が伸びをけん引した。対日輸入は、前年比2.7%減の546億2,705万ドルだった。一般機器(5.2%増)のほか、卑金属および同製品(0.6%増)、食料品(3.9%増)、鉱物品(19.8%増)が前年比プラスとなったが、輸入の約2割を占める電子部品が7.4%減となり、全体の伸びを押し下げた。

なお、対日輸入においては、東京電力福島第1原子力発電所の事故以来、福島県や栃木県、群馬県、茨城県、千葉県などで生産・加工された食品に課していた輸入規制を、2022年2月21日から緩和した。これらの5県産の食品については、日本で流通が禁止されている品目や野生鳥獣肉、キノコ類、コシアブラを除き、放射性物質検査報告書と産地証明書の添付を条件に輸入が可能となった。

2023年上半期(1~6月期)の台湾の対日輸出は前年同期比2.5%減の161億ドル、対日輸入は20.1%減の230億ドルだった。輸出入ともに最大のシェアを占める電子部品は、輸出が12.8%増、輸入が35.0%減だった。

表8 台湾の対日主要品目別輸出入[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2021年 2022年 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
機械および電気機器 18,087 21,898 65.2 21.1 26,285 25,806 47.2 △ 1.8
階層レベル2の項目電子部品 12,354 16,242 48.3 31.5 12,612 11,682 21.4 △ 7.4
階層レベル2の項目情報通信機器 3,085 2,924 8.7 △ 5.2 479 454 0.8 △ 5.2
階層レベル2の項目一般機器 1,775 1,827 5.4 2.9 10,741 11,302 20.7 5.2
階層レベル2の項目電子機器 806 860 2.6 6.8 2,164 2,044 3.7 △ 5.6
卑金属および同製品 2,653 2,922 8.7 10.2 5,536 5,571 10.2 0.6
プラスチック・ゴムおよび同製品 1,961 1,998 5.9 1.9 3,495 3,123 5.7 △ 10.7
化学工業品 1,819 1,882 5.6 3.5 8,394 8,373 15.3 △ 0.2
精密・光学機器 1,008 1,035 3.1 2.6 3,552 3,459 6.3 △ 2.6
食料品 767 856 2.5 11.6 982 1,020 1.9 3.9
鉱物品 386 578 1.7 49.5 506 606 1.1 19.8
輸送機器 566 521 1.6 △ 8.0 3,577 3,261 6.0 △ 8.9
繊維製品 322 325 1.0 0.8 200 181 0.3 △ 9.2
合計(その他含む) 29,206 33,610 100.0 15.1 56,117 54,627 100.0 △ 2.7

〔注〕食料品は、酒・たばこを含む。
〔出所〕 財政部統計処データベースより作成

日本の対台湾投資は、前年比2.3倍に

投資審議委員会によると、2022年の日本からの対台湾直接投資は、金額が前年比2.3倍の16億9,941万ドル、件数は218件だった。件数は減少したが、機械設備製造業や電力設備製造業の大型案件により投資額が増加した。大型案件としては、東京海上日動火災保険による新安東京海上産物保険への増資や、日立製作所によるエレベーターなどの販売・サービスを行う永大機電工業の株式取得などがあった。

2022年の対日直接投資は件数が29件、金額が前年比96.7%減の7,328万ドルだった。分野別にみると、電子部品製造が全体投資額の35%を占め、次いで薬品製造が19%を占めた。

今後の見通しについて、TSMCの熊本工場に関連した投資が期待されているほか、力晶積成電子製造(PSMC)の工場設立に向けた投資が見込まれる。同社は2023年10月に、SBIホールディングス、宮城県、およびPSMCとSBIホールディングスが準備会社として設立したJSMCの4者と覚書を締結し、JSMCの半導体工場設立地として宮城県黒川郡大衡村の第二仙台北部中核工業団地を選定したと発表した。SBIホールディングスによれば、仙台工場では、28ナノメーター(nm)、40nm、55nmの半導体について、月間4万枚のウエハーを生産できるよう計画しているという。

基礎的経済指標

人口
2,326万人 (2022年)
面積
3万6,197平方キロメートル(2022年)
1人当たりGDP
3万2,643 米ドル (2022年)
(△はマイナス値)
項目 単位 2020年 2021年 2022年
実質GDP成長率 (%) 3.4 6.5 2.4
消費者物価上昇率 (%) △ 0.2 2.0 3.0
失業率 (%) 3.9 4.0 3.7
貿易収支 (100万米ドル) 75,273 87,963 68,346
経常収支 (100万米ドル) 97,482 117,976 101,305
外貨準備高(グロス) (100万米ドル) 529,911 548,408 554,932
対外債務残高(グロス) (100万米ドル) 189,873 213,592 202,146
為替レート ( 1 米ドルにつき、台湾元、期中平均) 29.6 28.0 29.8

注:
貿易収支:国際収支ベース(財のみ)
出所:
人口、面積:内政部
1人当たりGDP、外貨準備高、為替レート:IMF
実質GDP成長率、消費者物価上昇率、失業率:行政院主計総処
貿易収支、経常収支、対外債務残高(グロス):中央銀行