第1四半期のGDP成長率、前年同期比5.48%、2025年の予測値は3.10%

(台湾)

調査部中国北アジア課

2025年06月03日

台湾の行政院主計総処は5月28日、2025年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率を前年同期比5.48%と発表した。2025年通年の成長率の予測値については、2月予測値から0.04ポイント引き下げ、3.10%とした(添付資料図、表参照)。

実質GDP成長率を需要項目別寄与度でみると、内需全体の寄与度は4.71ポイントだった。このうち、民間消費が0.63ポイント、固定資本形成が4.54ポイントとなった。民間消費は春節(旧正月)期間の連休効果により、飲食業や娯楽関連サービスが好調だったが、前年の基数の高さによる影響を受け、寄与度は減少した。固定資本形成では、人工知能(AI)など新興科学技術応用の需要が引き続き旺盛なことから、企業が投資を拡大し、機械設備、建設プロジェクト、知的財産関連への投資が増加した。

外需全体(純輸出)の寄与度は0.77ポイントだった。輸出の寄与度は、AI関連や情報通信機器の需要が好調に推移したことに加え、米国の関税措置に伴う駆け込み需要もあり、12.53ポイントとなった。輸入(控除項目)の寄与度は、輸出や設備投資の需要が牽引し、11.76ポイントだった。

2025年通年の実質GDP成長率の予測値は3.10%と、2月発表時から0.04ポイント下方修正した。トランプ米政権が打ち出している関税政策などの影響より、世界の経済成長率が鈍化していると指摘している。寄与度については、内需が1.87ポイント、外需が1.23ポイントと予測した。内需については、固定資本形成の寄与が1.44ポイントと最も大きく、AI需要に対応するために半導体企業が積極的に先進プロセスなどの生産能力を拡充するほか、民間消費も雇用が安定的に推移して賃金水準も上昇を維持し、全体としては好調に推移すると予測した。ただし、金融市場のボラティリティーの高さにより、消費者マインドに対して一部マイナスの影響が予想されると指摘した。

外需については、米国関税政策の不確実性が世界貿易の下押し圧力になっているが、台湾の場合は、輸出の7割近くが電子部品と通信機器で、AIや関連する応用技術の需要により、輸出は引き続き増加するとの見通しを示した。

(江田真由美)

(台湾)

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