外資に関する規制

最終更新日:2024年01月10日

規制業種・禁止業種

外国人事業法(1999年改正、2000年3月施行)に基づき、規制業種を3種類43業種に分け、それらの業種への外国企業(外国資本50%以上)の参入を規制している。

第1表(9業種)外国企業の参入が禁止されている業種

  1. 新聞発行・ラジオ・テレビ放送事業
  2. 農業・果樹園
  3. 畜産
  4. 林業・木材加工(天然)
  5. 漁業(タイ海域・経済水域内)
  6. タイ薬草の抽出
  7. 骨董品(売買・競売)
  8. 仏像および僧鉢の製造・鋳造
  9. 土地取引

第2表(13業種)国家安全保障または文化、伝統、地場工芸、天然資源・環境に影響を及ぼす業種として、外国企業の参入が禁止されている業種

ただし、内閣の承認により、商務大臣が許可した場合は可能。

第1章(安全保障関連ビジネス)
  1. 製造・販売・補修(銃・銃弾・火薬・爆発物およびそれらの部品、武器および戦闘用船・飛行機・車両、すべての戦争用備品・部品)
  2. 国内陸上・海上・航空運輸および国内航空事業
第2章(文化・工芸に影響を与えるビジネス)
  1. 骨董品・民芸品販売
  2. 木彫品製造
  3. 養蚕・絹糸・絹織布・絹織物捺染
  4. タイ楽器製造
  5. 金銀製品・ニエロ細工・黒金象眼・漆器製造
  6. タイ文化・美術に属する食器製造
第3章(環境・天然資源に影響を与えるビジネス)
  1. サトウキビからの精糖
  2. 塩田・塩土での製塩
  3. 岩塩からの製塩
  4. 爆破・砕石を含む鉱業
  5. 家具および調度品の木材加工

第3表(21業種)外国人に対して競争力が不十分な業種であるとして、外国企業の参入が禁止されている業種

ただし、外国人事業委員会の承認により、商務省事業開発局長が許可した場合は可能。

  1. 精米・製粉
  2. 漁業(養殖)
  3. 植林
  4. ベニア板・チップボード・ハードボード製造
  5. 石灰製造
  6. 会計サービス
  7. 法律サービス
  8. 建築設計サービス
  9. エンジニアリングサービス
  10. 建設業(ただし、外国人投資が5億バーツ以上で、特殊な技能を要する建設(インフラ、通信など)、その他の省令で規定された建設業を除く)
  11. 代理・仲介業(ただし、証券・農産物の先物取引、金融商品売買に関するサービス、同一グループ内の生産に必要な財取引、外国人資本1億バーツ以上の国際貿易仲介、その他省令で規定された代理・仲介業を除く)
  12. 競売(骨董品・美術品以外の国際間競売、その他省令で定める競売)
  13. 伝統的な国内農産物または法令で禁止されていない農産物の国内取引(ただし、農産物の先物取引を除く)
  14. 最低資本金1億バーツ未満または1店舗あたり最低資本金2,000万バーツ未満の小売業
  15. 1店舗あたり最低資本金1億バーツ未満の卸売業
  16. 広告業
  17. ホテル業(ただし、マネージメントを除く)
  18. 観光業
  19. 飲食物販売
  20. 植物の繁殖・品種改良
  21. その他サービス業(証券業、銀行業、保険業、国家機関または政府機関に対するサービス提供、駐在員事務所、出張所、過半数の株主もしくは取締役が同一人物である関連会社または25%以上の株式数を有する関連会社への国内融資もしくは事務所賃貸または管理、マーケティング、人事および通信技術に関する助言サービスの提供等の省令で定めるものを除く)

出資比率

外資比率が50%以上の企業は、外国人事業法により前述(「規制業種・禁止業種」)の43業種への参入が禁止・規制される。ただし、一部例外もあり。

43業種への参入が禁止・規制される。また、2023年1月3日より施行されたタイ投資委員会(BOI)の新投資奨励策(投資委員会布告第8/2565)では、外国企業出資比率について、次のように定めている。

  • 外国人事業法の第1表に明示される投資プロジェクトおよび中小企業向けの恩典を受ける企業については、タイ国籍者が全体株式の51%以上を保有しなければならない。
  • 外国人事業法の第2表および第3表に明示される投資プロジェクトは、外国人に株式の大多数あるいは全数の所有を認める。ただし、他の法令により規制される場合は、この限りではない。
  • 然るべき理由がある場合、BOIが恩典を与える業種のみに対して、BOIは外国人に株式保有比率を規定することがあり得る。

外国企業の土地所有の可否

原則、外国人(法人を含む)は土地取得不可。ただし、一部の例外あり。

土地所有制限

原則として、外国人(法人も含む)は土地を取得できない。ただし、BOI奨励企業や、タイ工業団地公社(IEAT)認定の工業団地に立地する企業の場合、外資比率にかかわらず土地取得が可能である。なお、1999年5月に改正された土地法では、4,000万バーツ以上の投資などの条件を満たした場合は、居住用に1ライ(1,600平方メートル)以下の土地の取得が可能としている。

資本金に関する規制

外国企業(外資マジョリティー)の最低資本は200万バーツ以上。ただし、外国人事業法の規制業種に基づく、特別の認可を取得する必要のある業種の場合は、原則として最低資本は300万バーツ以上。なお、外国人事業法上の認可を取得した場合、借入を資本金の7倍以内とすることが求められる。
タイ企業(タイ資本マジョリティー)は、最低資本の規則はない。

その他規制

従来、自動車、オートバイ、小型トラック用ディーゼルエンジン、乳製品などにつき国産化率を定めていたが、WTOの貿易関連投資措置(TRIM)廃止に伴い、既に撤廃されている。

国産化率

国産化率引き上げについて包括的な政策体系はないが、主に次の措置により、国産化率の上昇が図られている。

  1. 原材料、部品、完成品の別に、輸入関税に差を設けて操作。
  2. BOIに承認された事業については、農業および農産物、電子製品および部品、コイルセンターのプロジェクトを除いて、プロジェクトの付加価値は収益の20%以上でなければならず、それらの除外された事業は、収益の少なくとも10%が付加価値とされる。
  3. BOIは国内産業保護の目的で、輸入課徴金の設定または輸入制限ができる。
  4. BOIは投資奨励恩典を付与する際、原材料および部品などについて、可能な限り国産品の使用を求める。
  5. 政府の行政指導により、国産化率の達成状況によって、特典が区分されている(例えば、繊維では国産原料の使用比率によって、輸出枠を考慮している)。
  6. 政府の調達物資条件により、国産品の調達を促進している。なお、2000年1月のWTOの貿易関連投資措置(TRIM)廃止に伴い、国産自動車の使用増進制度を撤廃した。

現地資金調達規制

外資系企業の現地資金調達に関する規制はない。