日本からの輸出に関する制度水産物の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する水産物のHSコード

0302:魚(生鮮のものおよび冷蔵したもの)
0303:魚(冷凍したもの)
0304:魚のフィレその他の魚肉
0307:軟体動物

フィリピンの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2023年8月

2023年8月現在、缶詰の製造、加工、レストラン・ホテル・航空会社などへの販売を目的とした日本からの水産物の輸出は可能です。また、生鮮食品市場での販売を目的とした輸出は、農業省による特別許可(Certificate of Necessity to Import:CNI)が付与された場合に可能です。

缶詰の製造、加工、レストラン・ホテル・航空会社などへの販売が目的の場合、輸出先の要件は次のとおりです。

  1. 缶詰の製造が目的の場合
    缶詰製造会社のみ輸入可能です。サプライヤーや委託者は輸入できません。
  2. 加工が目的の場合
    水産物の加工業者のみ輸入可能です。サプライヤーや委託者が輸入する場合、加工業者は当該サプライヤーや委託者との取引契約書をフィリピン農業省漁業水産資源局(DA-BFAR)に対して提示する必要があります。輸入可能な水産物は次のものに限定されます。
    1. イカ- 洗浄、はらわたの除去、頭部の処理をした製品、ヒレにした製品
    2. 魚‐細かく刻んだ製品、ヒレにした製品
    3. 加工食品やペットフードなどに用いるセミドライ、冷凍、粉末状にした半加工製品
    4. 洗浄およびはらわたの除去がなされた(a)~(c)以外の水産物にかかる製品
  3. レストラン・ホテル・航空会社などへの販売が目的の場合
    次の(a)~(d)の条件を満たす必要があります。
    1. フィリピンに生息または存在しない水産物であること
    2. フィリピンに生息するものの、十分な供給量がない、品質が悪い、汚染または赤潮発生地域から漁獲される水産物であること
    3. フィリピン国内の漁師や養殖施設と競合しない水産物であること
    4. 半加工品または付加価値のある加工品であること

なお、これまでフィリピン農業省漁業水産資源局覚書第12号に基づき、福島県、茨城県、栃木県、群馬県の水産物を輸入する際は指定検査機関作成の放射性物質検査証明書、それ以外の都道府県から水産物を輸入する際は、産地証明書が必要でしたが、2020年1月8日に当該規制が解除されました。従って放射性物質検査報告書、産地証明書の提出は不要です。

関連リンク

関係省庁
フィリピン貿易産業省(Department of Trade and Industry) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フィリピン農業省漁業水産資源局(DA-BFAR)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フィリピン関税局(Bureau of Custom)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
共和国法第10863号(Republic Act No.10863)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(9.4MB)
フィリピン農業省漁業水産資源局通達第1-2000 (Fishery Memorandum Order No.001 Series of 2000)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(896KB)
-フィリピン農務省漁業水産資源局通達第2000-001の1)Scope and Objectiveにおいて、水産物の輸入は、缶詰の製造、加工、レストラン・ホテル・航空会社等への販売、個人消費を目的にした場合に限られる旨の記載があります。また、フィリピン農務省漁業水産資源局行政命令第259-2018には、水産市場(Wet Market)向けの輸入は農務省が必要と認める場合に限定されることが規定されております。 -フィリピン農務省漁業水産資源局通達第2000-001の2)Qualification of Imporersにおいて、缶詰の製造、加工、レストラン・ホテル・航空会社等への販売が目的の場合の輸出先要件が規定されております。
その他参考情報
農林水産省 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う諸外国・地域の輸入規制への対応外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
外務省 東日本大震災後の日本産食品等に対する輸入規制外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「2016年度 日本からの農林水産物・食品 輸出に関する各国・地域の制度調査 (フィリピン)」PDFファイル(656KB)
ジェトロ「貿易管理制度」

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2023年8月

日本から水産物を輸出する場合、輸出者側がフィリピン政府に対して行う手続きは特にありません。ただし、マグロの輸出には日本の水産庁への届け出が必要な魚種があるので、確認のうえ、手続きを行ってください。手続きについては、関連リンク「マグロ類の輸出手続きについて」を確認してください。

一方、輸入者はフィリピン政府に対して次の書類を提出する必要があり、輸出者側の取得支援が必要になります。詳しくは、「輸入手続き」の「1.輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)」「3.輸入時の検査・検疫」を参照してください。

  1. 次の書類のうち少なくとも1点
    • 原産国の国際衛生証明書(International Health Certificate)の写し
      日本からフィリピンに水産物を輸出する際の衛生証明書の発行主体は水産庁になります。関連リンク「我が国からの水産物・水産加工品の輸出に必要な手続き(国・地域別一覧表)」を確認してください。
    • 原産国の管轄当局が発行する検疫許可書(Sanitary and Phytosanitary Clearance)の写し
    • 原産国の管轄当局が発行する検疫に関する証明書の写し
  2. 原産地証明書(Certificate of Origin)
    特定原産地証明書は日本商工会議所が発行しています。取得については関連リンク「取得までの流れ」を確認してください。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2023年8月

日本から水産物を輸出する場合は、フィリピン農業省漁業水産資源局行政命令第1999-195、フィリピン農業省覚書回状第2022-0006などに基づき、フィリピン政府発行の検疫許可書(SPS Import Clearance)の取得が必要になります。当該検疫許可証の取得に必要な書類および手順は「輸入手続き」の項目を確認してください。

フィリピンでの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2023年8月

一部の水産物については食品規格が定められています。例えば、ホタテの最終製品については、食品規格(PNS/BAFS 240:2018 ICS 67.120.30)に基づき次のとおり微生物に関する要件が定められています。ホタテにおける微生物以外(添加物、ラベル・容器、汚染物など)の要件詳細およびそれ以外の水産物については対象規格を確認してください(その他参考情報「国家規格一覧」(フィリピン農業省漁農業・漁業規格局(BAFS))を参照)。

「生および冷凍のホタテ製品」の微生物に関する要件
試験項目 n
(各ロットにおいて当局によって検査されるサンプル数)
c
(基準値を超えることが許容されるサンプル数)
m
(許容される基準値)
M
(1つ以上のサンプルで超過した場合、ロット全体を不合格とする値)
一般細菌量
(cfu/g)
5 0 5×105
大腸菌群数
(最確数/g)
5 0 16
25gのサンプル中におけるサルモネラ菌の数(個) 20 0 0
腸炎ビブリオ
(cfu/g)
10 1 102 103

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2023年8月

水産物についての残留農薬を定めた規制はなく2013年食品安全法(Republic Act No.10611)に基づきコーデックス委員会(CODEX)が定めるガイドラインを実務上参照しています。一方、食品規格が存在する一部の水産物については、同規格において残留農薬などの基準が定められている場合があります。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2023年8月

フィリピンでは、水産物における重金属および汚染物質に関する規制制度はなく、フィリピン農業省漁業水産資源局(DA-BFAR)は、2013年食品安全法(Republic Act No.10611)に基づきコーデックス委員会(CODEX)が定めるガイドラインを実務上参照しています。具体的な食品における重金属および汚染物質の規格値については、食品規格(Philippine National Standards)で定められている場合があります。

なお、フィリピン農業省漁業水産資源局(DA-BFAR)は、生鮮食品市場(缶詰や加工品目的の輸入では適用されない)での販売を目的とした輸入を行う場合、フィリピン農業省漁業水産資源局行政手続命令第259-2018において、次のとおり重金属に関する規定を定めています。試験は、日本政府が定める基準に沿って行い、次の許容値を満たすことが求められます。

重金属の許容値(生鮮食品市場での販売を目的とした輸入を行う場合)
重金属の種類 許容値
カドミウム 0.5mg/L(0.5ppm)
0.3mg/L(0.3ppm)
水銀 1mg/L(1.0ppm)

4. 食品添加物

調査時点:2023年8月

水産物にかかわる食品添加物の規制はありませんが、フィリピン農業省漁業水産資源局(DA-BFAR)は2013年食品安全法(Republic Act No.10611)に基づきコーデックス委員会(CODEX)が定めるガイドラインを実務上参照しています。具体的な水産物における添加物の許容値については、フィリピンにおける食品規格(Philippine National Standards)が存在する場合には同規格において定められている場合があります。例えば、生および冷凍のホタテについては、食品規格において、リン酸塩の最大許容値を2200mg/kgと定められています。

なお、水産物の加工品はフィリピン食品医薬品管理局通達第2006-16号に基づき食品添加物規制の対象となります。当該通達はコーデックス委員会(CODEX)の「食品添加物に関する一般規則」(CODEX STAN 192-1995)における基準を採用しており、食品添加物ごと、食品カテゴリーごとに使用可能な基準量を示しています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2023年8月

2023年8月現在、食品包装に関する規制はありません。なお、具体的な梱包の要件については、フィリピンにおける食品規格(Philippine National Standards)が存在する場合、同規格において定められている場合があります。例えば、生および冷凍のホタテについては、食品規格において、衛生的かつ異物や汚染物が混入していない容器を使用する旨が規定されています。

6. ラベル表示

調査時点:2023年8月

2023年8月現在、水産物のラベル表示に関する規定はありません。なお、 2013年食品安全法(Republic Act No.10611)の施行細則では、消費者の安全性を確保するためのラベル表示義務などが規定されています。当該食品安全法では、安全性などの基準についてはコーデックスを参照する旨が規定されています。なお、具体的なラベルの要件については、フィリピンにおける食品規格(Philippine National Standards)が存在する場合、同規格において定められている場合があります。例えば、生および冷凍のホタテについては、食品規格において、コーデックス委員会(CODEX)が定める「包装済み食品のラベル基準」およびフィリピン食品医薬品管理局行政命令第2014-0030に従うことが規定されています。

7. その他

調査時点:2023年8月

フィリピンで販売する水産物は、2013年食品安全法(共和国法第10611号)で定められた衛生基準に合致しなければなりません。

フィリピンでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2023年8月

水産物の輸入者はフィリピン農業省漁業水産資源局通達第2007-FRQD‐2およびフィリピン農業省覚書回状第2022-0006などに基づき、輸入許可証(Accreditation of Importers)および検疫許可書(SPS Import Clearance)を取得する必要があります。
検疫許可書の有効期間は発行日から、生鮮および冷蔵の魚については30日間、冷凍の魚およびその他の水産物については45日間です。
当該輸入許可証および検疫許可書の取得に必要な書類と手順は次のとおりです。

I. 輸入許可証(Accreditation of Importers)

全水産物輸入者に必要な書類

  1. カバーレター(Letter of Intent)
  2. 証券取引委員会(SEC)(会社の場合)、貿易産業省(DTI)(個人事業主の場合)または協同組合開発庁(CDA)による登録証明書の原本および写し(当該証明書において加工または販売のために水産物を輸入する旨の記載が必要)
  3. 証券取引委員会(SEC)に提出された年次・企業情報書(General Information Sheet:GIS)
  4. 所轄市長発行の営業許可証(Mayor’s Business Permit)の原本および写し
  5. 内国歳入庁(BIR)登録証明書の原本および写し
  6. 関税局(BOC)発行の輸入業者認定書の原本および写し
  7. BOC登録証明書の原本および写し
  8. 会社役員一覧(各役員の身分証明書、サインおよび証明写真の添付が必要)
  9. 特別委任状(代理人が申請する場合)(サインおよび証明写真付きの身分証明書の写しも必要)

缶詰などの加工品製造目的で輸入する場合に追加で必要な書類

  1. フィリピン食品医薬品管理局(FDA)による営業許可書
  2. 輸入業者と加工工場の間で締結された契約書
  3. HACCP認定書
  4. 冷蔵貯蔵庫に関する次の書類
    • フィリピン農業省による冷蔵貯蔵庫の認定書(Certificate of Accreditation)の写し
    • 賃貸契約書
    • 冷蔵貯蔵庫にかかわる認証を受けることおよび輸入品を輸入目的以外の目的で利用しない旨の宣誓書
    • 冷蔵貯蔵庫の賃貸契約書の署名者の署名付きの有効な身分証明書

レストラン・ホテル・航空会社などへの販売目的で輸入する場合に追加で必要な書類

  1. 顧客リスト(顧客名、住所、連絡先を記載)
  2. 冷蔵貯蔵庫に関する次の書類
    • フィリピン農業省による冷蔵貯蔵庫の認定書(Certificate of Accreditation)の写し
    • 賃貸契約書
    • 冷蔵貯蔵庫にかかわる認証を受けることおよび輸入品を輸入目的以外の目的で利用しない旨の宣誓書
    • 冷蔵貯蔵庫の賃貸契約書の署名者の署名付きの有効な身分証明書
    • 冷蔵貯蔵庫の賃借容量の証明書

商業目的で輸入する場合に追加で必要な書類

  1. 乾いた貝殻や貝殻工芸品を輸入する場合
    • フィリピン農業省漁業水産資源局による施設登録証
  2. 生きた水生生物を輸入する場合
    • 稚魚や種苗の場合:フィリピン農業省漁業水産資源局による孵化場運営許可証
    • 熱帯魚の場合:フィリピン農業省漁業水産資源局による施設登録証
  3. その他動物用薬品や養殖用の製品を輸入する場合
    • カバーレター(Letter of Intent)
    • 農業省動物産業局(BAI)への登録(企業および製品)
    • 原産国が発行する自由販売証明 (Certificate of Free Sales)
    • 製品概要
    • 実験室分析
    • 実施されたフィールド試験/研究

輸入許可証(Accreditation of Importers)取得の手順は次のとおりです。

  1. 必要書類をフィリピン農業省漁業水産資源局(DA-BFAR)に提出
  2. 提出書類が審査され、問題がなければ承認

II. 検疫許可書(SPS Import Clearance(SPSIC))

必要な書類

  1. 申請書
  2. プロフォーマインボイス
  3. 次の事項に関する代表者による公証誓約書
    • フィリピン農業省漁業水産資源局(DA-BFAR)職員が貯蔵庫や工場に立ち入ることへの許可
    • 加工目的で輸入した水産物を生鮮市場に流通させないこと
    • 必要な許可証を適切に更新すること
    • 輸入品の到着日時を事前にフィリピン農業省漁業水産資源局(DA-BFAR)に報告すること
  4. 輸入許可証
  5. 入国港から最終仕向地までの所在地(冷蔵/乾燥貯蔵庫の名称および住所)
    • 受入外国貨物運送状(Inward Foreign Manifest:IFM)に記載された最終仕向地は、輸入品到着時に検査電子申請(Electronic Request for Inspection:e-RFI)に記載された最終仕向地と同一でなければならない。
  6. 輸入品が研究および実験室での試験目的で使用される場合は、研究提案書/成果有体物移転契約(Material Transfer Agreement)/試験計画書その他、管轄当局により求められる書類
    • 特定の種類のエビ(P. MondonおよびP. Vannamei)については、フィリピン農業省漁業水産資源局一般通達第2021-001および2021-003に基づき、次が求められる
      1. 重量は1個あたり10g以下とし、検疫許可申請書に明記すること
      2. 殻をむき、背わたを取り、尾を残したエビは輸入可(有頭エビや殻付きエビは輸入不可)
      3. 生鮮市場に流通させないことを誓約する宣誓書の提出
      4. 販売先(レストラン・ホテル・航空会社など)との契約書の提出
      5. 原産国の管轄当局が発行した次の事項を示す衛生証明書(Health Certificate)の提出
        • 管轄当局の公式な管理下にある生産地で生産された商品であること
        • 異常または重大なエビの疫病が発生した産地から供給されたものではなく、疫病の発生により漁獲されたものでもないこと
        • 禁止されている抗生物質(クロラムフェニコールとニトロフラン)の残留がなく、規制されている抗生物質の最大残留基準値以内であること
        • 食用に適すること
      6. 前回の輸入品の処理報告書の提出(次回の検疫許可書の申請時に提出)

検疫許可書(SPS Import Clearance)取得の手順は次のとおりです。

  1. 農業省貿易システム(DA Trade System:DTS)で申請書を記入し、提出します。
    当該システムはInterCommerce Network Servicesにより運営されており、同社のウェブサイトから申請が可能となっています。
  2. フィリピン農業省漁業水産資源局(DA-BFAR)が次の事項を確認します。
    • 輸出企業または国・地域が農業省に登録・認定され、良好な状態(Good Standing:過去に農業省の規則に違反していないこと)であること
    • 関連する病虫害の発生、汚染、その他の 衛生関連リスクが「ない」ことに関する、関連する国際機関および/または輸出国政府の最新の勧告
    • 輸入業者登録が必要ないと関係省庁が判断した場合を除き、申請する輸入業者が関係省庁から正式に許可を受け、良好な状態にあること
    • 該当する場合、製品の登録および/または関係省庁の輸入許可品目リストへの掲載
    • 該当する場合、規定されたリスク管理手順(輸出国政府による証明書を含む)
    • その他、衛生への懸念に対処するために必要とされる情報
  3. 確認の結果、問題がなければ検疫許可書が発行され、輸入者側で印刷が可能となります。なお、検疫許可書は対象貨物1式にのみ有効であり、ほかの貨物に転用することはできません。

生鮮食品市場向けに輸入しようとする場合、輸入許可証(Accreditation of Importers)および検疫許可書(SPS Import Clearance)に加え、フィリピンへの輸入の必要性にかかわる証明書(Certificate of Necessity to Import:CNI)をフィリピン農業省漁業水産資源局(DA-BFAR)から取得する必要があります。取得に必要な書類について定められた法律などはなく、必要書類および手順についてはフィリピン農業省漁業水産資源局(DA-BFAR)が個別に判断することから、輸入しようとする場合には同局に問い合わせる必要があります。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2023年8月

関税局通達第No.11-2014(Custom Memorandum Order No,11-2014)および関税局通達第No.05-2018(Custom Memorandum Order No,05-2018)、関税局通達第No.31-2019(Custom Memorandum Order No,31-2019)、および関税局通達第No.08-2022(Custom Memorandum Order No,08-2022)に基づきフィリピン関税局(BOC)アカウントマネジメントオフィス(AMO)に対して輸入者としての登録を行う必要があります。当該登録に必要な書類(初回の場合の要件)は次のとおりです。

  1. 公証済み申請書(Application Form)の原本
    • 申請書は、client.customs.gov.phから入手可能
    • 個人事業主の場合はオーナー、会社の場合は役員、組合の場合は会長、パートナーシップの場合は権限のある社員による署名が必要
  2. 申請費用の納付証明書(BOC発行の領収書の原本)
  3. 輸入における正式な署名者を証明する書類の写し
    • 会社の場合、秘書役証明書(Corporate Secretary Certificate)
    • 個人事業主の場合、宣誓書
    • パートナーシップの場合、パートナーシップの決議書
  4. 申請者、社長、責任者などの政府発行の有効な身分証明書2点の写し
  5. 申請者の無犯罪証明書(3カ月以内に発行されたNBI Clearanceの原本)
  6. 次のいずれかの写し
    • 個人事業主の場合、貿易産業省への登録
    • 会社の場合、証券取引委員会の登録および最新の年次・企業情報書(General Information Sheet)
    • パートナーシップの場合、パートナーシップの定款および最新の年次・企業情報書
    • 組合の場合、協同組合開発庁(CDA)への登録および最新の組合年次業績報告書
  7. 申請者、社長および役員の個人プロフィール(写真付き)
  8. 会社のプロフィール(会社の事務所および倉庫エリアの写真付き)
  9. 最新の賃貸契約書、所有者からの同意書など、事務所および倉庫の合法的な占有の証明書(契約書の場合は写し、宣誓書または証明書の場合は原本)
  10. 輸出入者情報を登録するデータベース(CPRS)への登録を証明する書類
    通関手続を行う輸入者は、関税局(BOC)の輸出入者情報を登録するデータベース「Client Profile Registration System: CPRS」への登録が義務付けられており、BOC公認の次のサービスプロバイダーを通じて登録できます。
    • E-konek
    • Intercommerce
    • CDEC
  11. 内国歳入庁(BIR)への登録証明書
  12. 内国歳入庁(BIR)に提出した直近3年間の所得税申告書類の写し(該当する場合)
  13. 管轄市長発行の営業許可証(Mayor’s Permit)の原本
  14. 商品を輸入する資金力があることを証明する書類(Top1000納税者とスーパーグリーンレーン(SGL)の対象業者については免除)
  15. 集荷業者による承認書類(該当する場合)

日本から水産物を輸入する際、フィリピン関税局(BOC)から要求されている通関への提出書類は次のとおりです。

  1. 輸入申告書(The Single Administrative Document)
  2. 船荷証券(Bill of Landing)または航空貨物運送状(Air Waybill)
  3. 商業インボイス(Commercial Invoice)または試算送り状(Pro-Forma Invoice)
  4. 原産地証明書(提出を求められた場合)
  5. 輸入品のリスト
  6. 輸入品の価格書類(Supplemental Declaration of Valuation)(公証が必要))
  7. 必要に応じて次の書類の提出も求められる。
    • 輸入許可書(Import PermitまたはClearance)
    • フィリピン内国歳入庁(BIR)による輸入品リリース許可証(Authority to Release Imported Goods)
    • 自由貿易協定(FTA)を証明する書類
    • 優遇措置などを適用する場合に当該特例を証明する書類
    • 免税を証明する書類など

なお、 (1)輸入申告書(The Single Administrative Document)は、関税局通達第29-2015(Custom Memorandum Order No.29-2015)に基づき、BOCが認める次のサービスプロバイダーなどを通じてオンラインで取得することができます。

  • E-konek
  • Intercommerce
  • CDEC

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2023年8月

日本から水産物を輸入するにあたっては、フィリピン農業省漁業水産資源局行政命令第1999-195、フィリピン農業省回状第2022-0006に基づき、輸入時に次の書類の提出が必要になります。特に、安全性を証明する原産国の国際衛生証明書などの書類が提出されない場合には、輸入差止めの対象になるため注意が必要です。なお、輸入者は、貨物が入国港に到着する48時間前までに農業省貿易システム(DA Trade System:DTS)を通じて検査電子申請(Electronic Request for Inspection:e-RFI)を提出する必要があります。

  1. 農業省貿易システムを通じて提出した検査電子申請(e-RFI)を印刷したもの
  2. 検疫許可書(SPS Import Clearance)
  3. 次の書類のうち少なくとも1点
    • 原産国の国際衛生証明書(International Health Certificate)の写し
    • 原産国の管轄当局が発行する検疫許可書(Sanitary and Phytosanitary Clearance)の写し
    • 原産国の管轄当局が発行する検疫に関する証明書の写し
  4. 関税局(BOC)輸入申告書
  5. 船荷証券(Bill of Landing)または航空貨物運送状(Airway Bill)
  6. 商業インボイス、パッキングリスト
  7. 該当する場合、燻蒸証明書またはその他の必要な処理に関する証明書

輸入時の検査・検疫はフィリピン農業省漁業水産資源局行政命令第1999-195に基づき次の確認・試験が行われます。

  1. 提出書類の内容に基づく調査
  2. フィリピン農業省漁業水産資源局(DA-BFAR)職員が無作為に選定する製品における安全性試験

4. 販売許可手続き

調査時点:2023年8月

水産物の販売にあたっては輸入許可証(Accreditation of Importers)、検疫許可書(SPS Import Clearance)、輸入の必要性にかかわる証明書(Certificate of Necessity to Import :CNI)(生鮮市場向けに輸入する場合)以外の販売許可手続きは不要です。取得に関する具体的な手続きについては「輸入手続き」の項目を参照してください。

5. その他

調査時点:2023年8月

なし

フィリピン内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2023年8月

水産物(冷凍サバ、冷凍サケ、ホタテ)の関税率は次の表のとおりです。関税は日本・フィリピン経済連携協定(JPEPA)または日本・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定の適用税率を受ければ「無税」となります。

水産物の関税率
品目 JPEPA・AJCEP
適用税率
RCEP
適用税率
MFN税率
030354:冷凍サバ 0% 5% 5%
030313:冷凍サケ 0% 0% 7%
030721-030729:ホタテ 0% 0% 10%

2. その他の税

調査時点:2023年8月

日本から輸入される水産物には関税のほかに、付加価値税(VAT)、輸入品処理費用(Import Processing Fee)、収入印紙代(Documentary Stamp Fee)、コンテナ利用料(Container Security Fee)が課されます。なお、物品税(Excise Tax)はかかりません。

付加価値税(VAT):
製品名 税率
冷凍サバ、冷凍サケ、ホタテ 一律12%
輸入品処理費用(Import Processing Fee):
製品名 税額
冷凍サバ、冷凍サケ、ホタテ 輸入額が250,000ペソ以下:
250ペソ
輸入額が250,001-500,000ペソ
500ペソ
輸入額が500,001-750,000ペソ
750ペソ
輸入額が750,001以上
1000ペソ
収入印紙費(Documentary Stamp Fee)
製品名 税額
冷凍サバ、冷凍サケ、ホタテ 一律280ペソ
コンテナ利用料(Container Security Fee)
製品名 税率
冷凍サバ、冷凍サケ、ホタテ 5USD相当額のペソ/20フィートのコンテナ
10USD相当額のペソ/40フィートのコンテナ

3. その他

調査時点:2023年8月

なし