日本からの輸出に関する制度水産物の輸入規制、輸入手続き
品目の定義
本ページで定義する水産物のHSコード
0302:魚(生鮮のものおよび冷蔵したもの)
0303:魚(冷凍したもの)
0304:魚のフィレその他の魚肉
0307:軟体動物
フィリピンの輸入規制
1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)
調査時点:2020年1月
2019年9月現在、缶詰の製造、加工、レストラン・ホテル・航空会社などへの販売、個人消費などを目的とした日本からの水産物の輸出は可能です。また、生鮮食品市場での販売を目的とした輸出は、農務省による特別許可(Certificate of Necessity to Import CNI))が付与された場合に可能です。
缶詰の製造、加工、レストラン・ホテル・航空会社などへの販売が目的の場合、輸出先の要件は次のとおりです。
- 缶詰の製造が目的の場合
缶詰製造会社のみ輸入可能です。サプライヤーや委託者は輸入できません。 - 加工が目的の場合
水産物の加工業者のみ輸入可能です。サプライヤーや委託者が輸入する場合、加工業者は当該サプライヤーや委託者との取引契約書をフィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)に対して提示する必要があります。輸入可能な水産物は次のものに限定されます。- イカ- 洗浄、はらわたの除去、頭部の処理をした製品、ヒレにした製品
- 魚‐細かく刻んだ製品、ヒレにした製品
- 加工食品やペットフードなどに用いるセミドライ、冷凍、粉末状にした半加工製品
- 洗浄およびはらわたの除去がなされた(a)~(c)以外の水産物に係る製品
- レストラン・ホテル・航空会社などへの販売が目的の場合
次の(a)~(d)の条件を満たす必要があります。- フィリピンに生息または存在しない水産物であること
- フィリピンに生息するものの、十分な供給量がない、品質が悪い、汚染または赤潮発生地域から漁獲される水産物であること
- フィリピン国内の漁師や養殖施設と競合しない水産物であること
- 半加工品または付加価値のある加工品であること
なお、フィリピン農務省漁業水産資源局覚書第12号に基づき、福島県、茨城県、栃木県、群馬県の水産物を輸入する際は指定検査機関作成の放射性物質検査証明書、それ以外の都道府県から水産物を輸出する際は、産地証明書が必要でしたが、2020年1月8日に当該規制が解除されました。したがって放射性物質検査報告書、産地証明書の提出は不要です。
関連リンク
- 関係省庁
-
フィリピン貿易産業省(Department of Trade and Industry) (英語)
-
フィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)(英語)
-
フィリピン関税局(Bureau of Custom)(英語)
- 根拠法等
-
共和国法第10863号(Republic Act No.10863)(英語)
(9.36MB)
-
フィリピン農務省漁業水産資源局通達第1-2000 (Fishery Memorandum Order No.001 Series of 2000)(英語)
(94KB)
-フィリピン農務省漁業水産資源局通達第2000-001の1)Scope and Objectiveにおいて、水産物の輸入は、缶詰の製造、加工、レストラン・ホテル・航空会社等への販売、個人消費を目的にした場合に限られる旨の記載があります。また、フィリピン農務省漁業水産資源局行政命令第259-2018には、水産市場(Wet Market)向けの輸入は農務省が必要と認める場合に限定されることが規定されております。 -フィリピン農務省漁業水産資源局通達第2000-001の2)Qualification of Imporersにおいて、缶詰の製造、加工、レストラン・ホテル・航空会社等への販売が目的の場合の輸出先要件が規定されております。 - その他参考情報
-
農林水産省 原発事故に伴う諸外国・地域の輸入規制への対応
-
外務省 東日本大震災後の日本産食品等に対する輸入規制
- ジェトロ「2016年度 日本からの農林水産物・食品 輸出に関する各国・地域の制度調査 (フィリピン)」
- ジェトロ「貿易管理制度」
2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)
調査時点:2019年9月
日本から水産物を輸出する場合、輸出側がフィリピン政府に対して行う手続きは特にありません。
一方、輸入者はフィリピン政府に対して次の書類を提出する必要があり、輸出者側の取得支援が必要になります。詳しくは、「輸入手続き」の「1.輸入許可、輸入ライセンスなど、商品登録など(輸入者側で必要な手続き)」「3.輸入時の検査・検疫」を参照してください。
- 次の書類のうち少なくとも1点
- 原産国の国際衛生証明書(International Health Certificate)のコピー
- 原産国の管轄当局が発行する検疫許可書(Sanitary and Phytosanitary Clearance)のコピー
- 原産国の管轄当局が発効する検疫に関する証明書のコピー
- 原産地証明書(Certificate of Origin)
関連リンク
- 関係省庁
-
フィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)(英語)
-
フィリピン関税局(Bureau of Custom)(英語)
- 根拠法等
-
フィリピン農務省漁業水産資源局行政命令第1999-195(Fishery Administrative Order No.195: Series of 1999)(英語)
-
フィリピン農務省漁業水産資源局通達第1-2000 (Fishery Memorandum Order No.001 Series of 2000)(英語)
(94KB)
-
フィリピン農務省漁業水産資源局通達第FRQD-2-2007 (DA Fisheries General Memorandum Order No. FRQD-2 Series of 2007)(英語)
(107KB)
-
フィリピン農務省漁業水産資源局行政命令第9-2010 (DA Administrative Order No. 09, Series of 2010)(英語)
-
フィリピン農務省漁業水産資源局行政命令第259-2018 (Fishery Administrative Order No.259, Series of 2018)(英語)
- その他参考情報
- ジェトロ「2016年度 日本からの農林水産物・食品 輸出に関する各国・地域の制度調査 (フィリピン)」
3. 動植物検疫の有無
調査時点:2019年9月
日本から水産物を輸出する場合は、フィリピン農務省漁業水産資源局行政命令第1999-195、フィリピン農務省漁業水産資源局行政手続命令第9-2010などに基づき、フィリピン政府発行の検疫許可書(SPS Import Clearance)の取得が必要になります。当該検疫許可証の取得に必要な書類および手順は「輸入手続き」の項目をご確認ください
関連リンク
- 関係省庁
-
フィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)(英語)
- 根拠法等
-
フィリピン農務省漁業水産資源局通達第FRQD-2-2007 (DA Fisheries General Memorandum Order No. FRQD-2 Series of 2007)(英語)
(107KB)
-
フィリピン農務省漁業水産資源局行政命令第1999-195(Fishery Administrative Order No.195: Series of 1999)(英語)
-
フィリピン農務省漁業水産資源局行政命令第9-2010 (DA Administrative Order No. 09, Series of 2010)(英語)
- その他参考情報
- ジェトロ「2016年度 日本からの農林水産物・食品 輸出に関する各国・地域の制度調査 (フィリピン)」
フィリピンでの食品関連の規制
1. 食品規格
調査時点:2019年9月
一部の水産物については食品規格が定められています。例えば、ホタテの最終製品については次のとおり微生物に関する要件が定められています。ホタテにおける微生物以外(添加物、ラベル・容器、汚染物など)の要件詳細およびそれ以外の水産物については対象規格を確認してください(その他参考情報「承認された国家規格」(フィリピン農務省漁農業・漁業規格局(BAFS))参照)。
成分/製品 | 生および冷凍のホタテ製品 | |||
---|---|---|---|---|
根拠法:PNS/BAFS 240:2018 ICS 67.120.30 | ||||
微生物要件 | n | c | m | M |
一般細菌量(cfu/g) | 5 | 0 | 5×105 | ― |
大腸菌群数(最確数/g) | 5 | 0 | 16 | ― |
25gのサンプル中におけるサルモネラ菌の数(個) | 20 | 0 | 0 | ― |
腸炎ビブリオ(cfu/g) | 10 | 1 | 102 | 103 |
n: 各ロットにおいて当局によって検査されるサンプル数 c: 基準値を超えることが許容されるサンプル数 m: 許容される微生物値 M: 規定値を超えたサンプルがあるとロット全体を不合格とする値 |
2. 残留農薬および動物用医薬品
調査時点:2019年9月
水産物についての残留農薬を定めた規制はなく2013年食品安全法(Republic Act No.10611)に基づきコーデックス委員会(CODEX)が定めるガイドラインを実務上参照しています。一方、食品規格が存在する一部の水産物については、同規格において残留農薬などの基準が定められている場合があります。
関連リンク
- 関係省庁
-
フィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)(英語)
- 根拠法等
-
共和国法第10611号(Republic Act No.10611)(英語)
-
フィリピン共和国法第7394号(Republic Act No.7394)(英語)
- その他参考情報
-
コーデックス委員会「残留農薬基準」(英語)
- ジェトロ「2016年度 日本からの農林水産物・食品 輸出に関する各国・地域の制度調査 (フィリピン)」
-
生および冷凍ホタテ製品のフィリピン国家規格PNS/BAFS 240:2018 ICS 67.120.30(The Philippine National Standard PNS/BAFS 240:2018 ICS 67.120.30)(英語)
3. 重金属および汚染物質
調査時点:2019年9月
フィリピンでは、水産物における重金属および汚染物質に関する規制制度はなく、フィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)は、2013年食品安全法(Republic Act No.10611)に基づきコーデックス委員会(CODEX)が定めるガイドラインを実務上参照しています。具体的な食品における重金属および汚染物質の規格値については、食品規格(Philippine National Standards)で定められている場合があります。
なお、フィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)は、生鮮食品市場(缶詰や加工品目的の輸入では適用されない)での販売を目的とした輸入を行う場合、フィリピン農務省漁業水産資源局行政手続命令第259-2018において、次のとおり重金属に関する規定を定めています。試験は、日本政府が定める基準に沿って行い、次の許容値を満たすことが求められます。
重金属の種類 | 許容値 |
---|---|
カドミウム | 0.5mg/L(0.5ppm) |
鉛 | 0.3mg/L(0.3ppm) |
水銀 | 1mg/L(1.0ppm) |
関連リンク
- 関係省庁
-
フィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)(英語)
-
フィリピン肥料・殺虫剤局(The Fertilizer and Pesticide Authority (FPA)(英語)
- 根拠法等
-
フィリピン農務省漁業水産資源局行政命令第259-2018 (Fishery Administrative Order No.259, Series of 2018)(英語)
- その他参考情報
-
共和国法第10611号(Republic Act No.10611)(英語)
-
コーデックス委員会「重金属の標準規格」(英語)
- ジェトロ「2016年度 日本からの農林水産物・食品 輸出に関する各国・地域の制度調査 (フィリピン)」
4. 食品添加物
調査時点:2019年9月
水産物に係る食品添加物の規制はありませんが、フィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)は2013年食品安全法(Republic Act No.10611)に基づきコーデックス委員会(CODEX)が定めるガイドラインを実務上参照しています。具体的な水産物における添加物の許容値については、フィリピンにおける食品規格(Philippine National Standards)が存在する場合には同規格において定められている場合があります。例えば、生および冷凍のホタテについては、食品規格において、リン酸塩の最大許容値を2200mg/kgと定められています。
なお、フィリピン食品薬品管理局(FDA)は、フィリピン食品医薬品管理局通達第2006-16号において加工食品などにおける食品添加物の規制を定めており、コーデックス委員会(CODEX)が定める国際基準に準拠することにしています。
関連リンク
- 関係省庁
-
フィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)(英語)
- 根拠法等
-
共和国法第10611号(Republic Act No.10611)(英語)
-
FDA通達第2006-016号(Bureau Circular No. 2006-016)(英語)
(7.76MB)
- その他参考情報
-
食品添加物基準値の検索サイト(CODEX GENERAL STANDARD FOR FOOD ADDITIVES (GSFA) ONLINE DATABASE)(英語)
-
コーデックス委員会 「食品添加物に関する一般規則 」(英語)
(3.43MB)
-
農林水産省「日本語版コーデックス規格」
- ジェトロ「2016年度 日本からの農林水産物・食品 輸出に関する各国・地域の制度調査 (フィリピン)」
5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)
調査時点:2019年9月
2019年9月現在、食品包装に関する規制はありません。なお、具体的な梱包の要件については、フィリピンにおける食品規格(Philippine National Standards)が存在する場合、同規格において定められている場合があります。例えば、生および冷凍のホタテについては、食品規格において、衛生的かつ異物や汚染物が混入していない容器を使用する旨が規定されています。
6. ラベル表示
調査時点:2019年9月
2019年9月現在、水産物のラベル表示に関する規定はありません。なお、 2013年食品安全法(Republic Act No.10611)の施行細則では、消費者の安全性を確保するためのラベル表示義務などが規定されています。当該食品安全法では、安全性等の基準についてはコーデックスを参照する旨が規定されています。なお、具体的なラベルの要件については、フィリピンにおける食品規格(Philippine National Standards)が存在する場合、同規格において定められている場合があります。例えば、生および冷凍のホタテについては、食品規格において、コーデックス委員会(CODEX)が定める「包装済み食品のラベル基準」およびフィリピン食品医薬品管理局行政命令第2014-0030に従うことが規定されています。
関連リンク
- 関係省庁
-
フィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)(英語)
- 根拠法等
-
共和国法第10611号(Republic Act No.10611)(英語)
-
生および冷凍ホタテ製品のフィリピン国家規格PNS/BAFS 240:2018 ICS 67.120.30(The Philippine National Standard PNS/BAFS 240:2018 ICS 67.120.30)(英語)
- その他参考情報
-
コーデックス委員会「包装済み食品のラベル基準」(英語)
(279KB)
-
FDA行政命令第2014-0030(Administrative Order No.2014-0030)(英語)
(674KB)
7. その他
調査時点:2019年9月
フィリピンで販売する水産物は、2013年食品安全法(共和国法第10611号)で定められた衛生基準に合致しなければなりません。
フィリピンでの輸入手続き
1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)
調査時点:2019年9月
水産物の輸入者はフィリピン農務省漁業水産資源局通達第2007-FRQD‐2およびフィリピン農務省漁業水産資源局行政命令第09-2010などに基づき、輸入許可証(Accreditation of Importers)および検疫許可書(SPS Import Clearance)を取得する必要があります。
輸入許可証および検疫許可書の有効期間は発効日から30日間(缶詰の製造、加工、レストラン・ホテル・航空会社などへの販売、個人消費目的で輸入する場合)です。
当該輸入許可証および検疫許可書の取得に必要な書類と手順は次のとおりです。
I. 輸入許可証(Accreditation of Importers)
全水産物輸入者に必要な書類
- カバーレター(Letter of Intent)
- 証券取引委員会(SEC)(会社の場合)、貿易産業省(DTI)(個人事業主の場合)または協同組合開発庁(CDA)による登録証明書の原本およびコピー(当該証明書において加工または販売のために水産物を輸入する旨の記載が必要)
- 証券取引委員会(SEC)
- 所轄市長発行の営業許可証(Mayor’s Business Permit)の原本およびコピー
- 内国歳入国(BIR)登録証明書の原本およびコピー
- 関税局(BOC)発行の輸入業者認定書の原本およびコピー
- フィリピン食品医薬品管理局(FDA)による営業許可書(License to Operate:LTO)の原本およびコピー
- 会社役員一覧(各役員の身分証明書、サインおよび証明写真の添付が必要)
- 特別委任状(代理人が申請する場合)(サインおよび証明写真付きの身分証明書のコピーも必要)
- 冷蔵貯蔵庫に関する次の書類
- フィリピン農務省による冷蔵貯蔵庫の認定書(Certificate of Accreditation)のコピー
- 賃貸契約書
- 冷蔵貯蔵庫に係る認証を受けることおよび輸入品を輸入目的以外の目的で利用しない旨の宣誓書
- 次の事項に関する代表者による公証誓約書
- フィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)職員が貯蔵庫や工場に立ち入ることへの許可
- 加工目的で輸入した水産物を生鮮市場に流通させないこと
- 必要な許可証を適切に更新すること
- 危害要因分析重要管理点(HACCP)による証明書
- 輸入品の到着日時を事前にフィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)に報告すること
缶詰などの加工品製造目的で輸入する場合に追加で必要な書類
- 輸入業者と加工工場の間で締結された契約書の原本とコピー
- HACCAP認定書のコピー
レストラン・ホテル・航空会社などへの販売目的で輸入する場合に追加で必要な書類
- 顧客リスト(顧客名、住所、連絡先を記載)
- 顧客との契約書のコピー
生鮮食品市場向けに輸入する場合に追加で必要な書類
- フィリピン漁業開発庁(Philippine Fisheries Development Authority)による推薦状
生きた水産物を輸入する場合(養殖用)に追加で必要な書類
- フィリピン農務省漁業水産資源局による孵化場運営許可証
- フィリピン農務省漁業水産資源局による養殖場施設登録証
輸入許可証(Accreditation of Importers)取得の手順は次のとおりです。
- 必要書類をフィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)に提出
- 提出書類が審査され、問題がなければ承認
II. 検疫許可書(SPS Import Clearance(SPSIC))
- プロフォーマインボイス
- 次の事項に関する代表者による公証誓約書
- フィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)職員が貯蔵庫や工場に立ち入ることへの許可
- 加工目的で輸入した水産物を生鮮市場に流通させないこと
- 必要な許可証を適切に更新すること
- 輸入品の到着日時を事前にフィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)に報告すること
- 領収書
検疫許可書(SPS Import Clearance)取得の手順は次のとおりです。
- 農務省貿易システム(DA Trade System(DTS))より申請書を記入し、提出する(InterCommerce Network Servicesが当該システムを運営しており、同社のウェブサイトより申請可能)
- 農業省による手続き承認後、輸入者はDTS にユーザー名とパスワードの設定
- 申請料の支払い
- SPSIC 申請に必要な書類を提出、その後、問題がなければ承認・SPSIC取得
生鮮食品市場向けに輸入しようとする場合、輸入許可証(Accreditation of Importers)および検疫許可書(SPS Import Clearance)に加え、フィリピンへの輸入の必要性に係る証明書(Certificate of Necessity to Import (CNI))をフィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)から取得する必要があります。取得に必要な書類について定められた法律などはなく、必要書類および手順についてはフィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)が個別に判断することから、輸入しようとする場合には同局に問い合わせる必要があります。
関連リンク
- 関係省庁
-
フィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)(英語)
- 根拠法等
-
フィリピン農務省漁業水産資源局通達第1-2000 (Fishery Memorandum Order No.001 Series of 2000)(英語)
(94KB)
-
フィリピン農務省漁業水産資源局通達第FRQD-2-2007 (DA Fisheries General Memorandum Order No. FRQD-2 Series of 2007)(英語)
(107KB)
-
フィリピン農務省漁業水産資源局行政命令第9-2010 (DA Administrative Order No. 09, Series of 2010)(英語)
-
フィリピン農務省漁業水産資源局行政命令第259-2018 (Fishery Administrative Order No.259, Series of 2018)(英語)
- その他参考情報
-
InterCommerce Network Services社のウェブサイト(英語)
- ジェトロ「2016年度 日本からの農林水産物・食品 輸出に関する各国・地域の制度調査 (フィリピン)」
2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)
調査時点:2019年9月
関税局通達第No.11-2014(Custom Memorandum Order No,11-2014)および関税局通達第No.05-2018(Custom Memorandum Order No,05-2018)に基づきフィリピン関税局(BOC)アカウントマネジメントオフィス(AMO)に対して輸入者としての登録を行う必要があります。当該登録に必要な書類(初回の場合の要件)は次のとおりです。
- 申請書(Application Form)(公証が必要)
- 申請費用の納付証明書
- 会社を証明する書類(Corporate Secretary Certificate(会社の場合)など)
- 申請者または役員などの政府より発行された有効な身分証明書2点
- 申請者の無犯罪証明書(NBI Clearance)
- 最新の会社情報(年次・企業情報書(General Information Sheet)(会社の場合)
- 申請者、社長および役員の個人プロフィール(写真付き)
- 会社のプロフィール(会社の建物および表札の写真付き)
- 輸入品が保管される倉庫の住所
- オフィスおよび倉庫の占有証明書
- 輸入商品一覧
- 輸出入者情報を登録するデータベース(CPRS)への登録を証明する書類 通関手続を行う輸入者は、関税局(BOC)の輸出入者情報を登録するデータベース「Client Profile Registration System: CPRS」への登録が義務付けられおり、BOC公認の次のサービスプロバイダーを通じて登録できます。
- E-konek
- Intercommerce
- CDEC
- 集荷業者による承認書類
- 内国歳入庁(BIR)への登録証明書
- 内国歳入庁(BIR)に提出した最新の所得税申告書類
- 管轄市長発行の営業許可証(Mayor’s Permit)
日本から水産物を輸入する際、フィリピン関税局(BOC)から要求されている通関への提出書類は次のとおりです。
- 輸入申告書(The Single Administrative Document)
- 船荷証券(Bill of Landing)または航空貨物運送状(Air Waybill)
- 商業インボイス(Commercial Invoice)または試算送り状(Pro-Forma Invoice)
- 原産地証明書(提出を求められた場合)
- 輸入品のリスト
- 輸入品の価格書類(Supplemental Declaration of Valuation)(公証が必要))
- 必要に応じて次の書類の提出も求められる。
- 輸入許可書(Import PermitまたはClearance)
- フィリピン内国歳入庁(BIR)による輸入品リリース許可証(Authority to Release Imported Goods)
- 自由貿易協定(FTA)を証明する書類
- 優遇措置などを適用する場合に当該特例を証明する書類
- 免税を証明する書類など
なお、 (1)輸入申告書(The Single Administrative Document)は、関税局通達第No.29-2015(Custom Memorandum Order No,29-2015)に基づき、BOCが認める次のサービスプロバイダーなどを通じてオンラインで取得することができます。
- E-konek
- Intercommerce
- CDEC
関連リンク
- 関係省庁
-
フィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)(英語)
-
フィリピン関税局(Bureau of Custom)(英語)
- 根拠法等
-
関税局通達第No.11-2014号(Custom Memorandum Order No,11-2014)(英語)
(7.1MB)
-
関税局通達第No.05-2018号(Custom Memorandum Order No,05-2018)(英語)
(119 KB)
-
関税局通達第No.37-2001号(Custom Memorandum Order No,37-2001)(英語)
(1403 KB)
-
関税局通達第No.20-2019号(Custom Memorandum Order No,20-2019)(英語)
(1279 KB)
-
関税局通達第No.29-2015号(Custom Memorandum Order No,20-2015)(英語)
(727 KB)
- その他参考情報
-
フィリピン貿易産業省(Department of Trade and Industry)による通関手続きの説明(英語)
-
E-konekウェブサイト(英語)
-
InterCommerce Network Services社のウェブサイト(英語)
-
CDECウェブサイト(英語)
- ジェトロ「2016年度 日本からの農林水産物・食品 輸出に関する各国・地域の制度調査 (フィリピン)」
3. 輸入時の検査・検疫
調査時点:2019年9月
日本から水産物を輸入するにあたっては、フィリピン農務省漁業水産資源局行政命令第1999-195に基づき、輸入時に次の書類の提出が必要になります。特に、安全性を証明する原産国の国際衛生証明書などの書類が提出されない場合には、輸入差止めの対象になるため注意が必要です。
- 輸入許可証(Accreditation of Importers)の原本
- 次の書類のうち少なくとも1点
- 原産国の国際衛生証明書(International Health Certificate)のコピー
- 原産国の管轄当局が発行する検疫許可書(Sanitary and Phytosanitary Clearance)のコピー
- 原産国の管轄当局が発効する検疫に関する証明書のコピー
- 船荷証券(Bill of Landing)または航空貨物運送状(Airway Bill)
輸入時の検査・検疫はフィリピン農務省漁業水産資源局行政命令第1999-195に基づき次の確認・試験が行われます。
- 提出書類の内容に基づく調査
- フィリピン農務省漁業水産資源局(DA-BFAR)職員が無作為に選定する製品における安全性試験
4. 販売許可手続き
調査時点:2019年9月
水産物の販売にあたっては輸入許可証(Accreditation of Importers)、検疫許可書(SPS Import Clearance)、輸入の必要性に係る証明書(Certificate of Necessity to Import (CNI))(生鮮市場向けに輸入する場合)以外の販売許可手続きは不要です。取得に関する具体的な手続きについては「輸入手続き」の項目を参照してください。
関連リンク
5. その他
調査時点:2019年9月
なし
フィリピン内の輸入関税等
1. 関税
調査時点:2019年9月
水産物(冷凍サバ、冷凍サケ、ホタテ)の関税率は次の表のとおりです。
品目 | JPEPA適用税率 |
MFN税率 (2017~2020年) |
---|---|---|
2018年以降 | ||
030354:冷凍サバ | 0% | 5% |
030313:冷凍サケ | 0% | 7% |
030719:ホタテ | 0% | 10% |
関連リンク
- 関係省庁
-
フィリピン関税委員会(Tariff Commission)(英語)
-
フィリピン貿易産業省(Department of Trade and Industry) (英語)
- 根拠法等
-
フィリピン貿易産業省(DTI)「フィリピン‐日本経済パートナーシップ協定」(Tariff Commission: Philippines-Japan Economic Partnership Agreement(PJEPA))(英語)
-
日本・フィリピン経済連携協定(JPEPA)
-
日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)
- その他参考情報
- ジェトロ「2016年度 日本からの農林水産物・食品 輸出に関する各国・地域の制度調査 (フィリピン)」
-
フィリピン関税委員会(Tariff Commission)「HSコード・関税検索」(英語)
- ジェトロ「世界各国の関税率」
- ジェトロ「日本・フィリピン経済連携協定」
- ジェトロ「日本・ASEAN経済連携協定」
- ジェトロ「関税制度」
2. その他の税
調査時点:2019年9月
日本から輸入される水産物には関税のほかに、付加価値税(VAT)、輸入品処理費用(Import Processing Fee)、収入印紙費(Documentary Stamp Fee)、コンテナ利用料(Container Security Fee)が課されます。なお、物品税(Excise Tax)はかかりません。
製品名 | 税率 |
---|---|
冷凍サバ、冷凍サケ、ホタテ | 一律12% |
製品名 | 税率 |
---|---|
冷凍サバ、冷凍サケ、ホタテ |
輸入額が250,000ペソ以下: 250ペソ 輸入額が250,001-500,000ペソ 500ペソ 輸入額が500,001-750,000ペソ 750ペソ 輸入額が750,001以上 1000ペソ |
製品名 | 税率 |
---|---|
冷凍サバ、冷凍サケ、ホタテ | 一律280ペソ |
製品名 | 税率 |
---|---|
冷凍サバ、冷凍サケ、ホタテ |
5USD相当額のペソ/20フィートのコンテナ 10USD相当額のペソ/40フィートのコンテナ |
関連リンク
- 関係省庁
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内国歳入局(Bureau of Internal Revenue)(英語)
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フィリピン国税局(Bureau of Custom)(英語)
- 根拠法等
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共和国法第10963号「税制改革法」(Republic Act No.10963)(英語)
(28MB)
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共和国法第10863号(Republic Act No.10863)(英語)
(9.36MB)
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大統領令第635号(Executive Order No.635)(英語)
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税関行政手続命令第2-2001(Customs Administrative Order No.2-2001)(英語)
(336KB)
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税関覚書 2016年7月28日(Memorandum 28 July 2016)(英語)
(580 KB)
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税関覚書 2018年10月24日(Memorandum 24 October 2018)(英語)
(419 KB)
- その他参考情報
- ジェトロ「関税制度」
3. その他
調査時点:2019年9月
なし
その他
調査時点:2019年9月
なし