牛肉の輸入規制、輸入手続き
マレーシアの食品関連の規制
1. 食品規格
調査時点:2020年10月
牛肉の定義および規格は「1985年食品規則(Food Regulations 1985)」で定められています。主な牛肉のカテゴリー別の定義と規格は次のとおりです。
- 牛肉
-
- 肉または新鮮な肉
(1)肉または新鮮な肉は、魚を除く動物の骨格筋の可食部分であり、通常はヒトの食用のために使用され、と畜時に健康であったものとする。通常、筋肉組織に付随した 骨、皮膚、筋、神経、血管、 脂肪、食用臓器も含む。(2)この規格の目的において、赤身肉は、表面上にある脂肪が取り除かれた肉とし、それは総脂肪の15%以上を含んではならない。 - 冷蔵肉
マイナス1℃から10℃の温度で健全な状態に維持された肉で、10℃以下の温度で解凍された冷凍肉を含む。肉の格付けまたは識別に使用される許可された着色物質の含有を認める。 - 冷凍肉
販売準備時から連続してマイナス18℃未満の温度に維持され、販売前に解凍されていない肉をいう。
- 肉または新鮮な肉
2. 残留農薬および動物用医薬品
調査時点:2020年10月
マレーシアでは残留農薬(最大許容残留値、使用禁止農薬)について、「1985年食品規則」(Regulation 41ならびにSIXTEENTH SCHEDULE)において品目ごとに定めています。 牛肉に関する残留農薬の最大残留基準は、それぞれ次のとおりです。
| 農薬英名 | 農薬和名 | 種類 | 最大許容残留値(mg/kg) |
|---|---|---|---|
|
Amitraz (sum of amitraz calculated as N-(2,4-dimethylphenyl)- N methyl formamidine and N’ –methyl-formamidine |
アミトラズ | 牛肉 | 0.05 |
| 食用もつ | 0.2 | ||
|
Coumaphos (sum of coumaphos and its oxygen analogue) |
クマホス | 肉(脂肪) | 0.5 |
| Cypermethrin (sum of isomers) | シペルメトリン | 肉(脂肪) | 0.2 |
| Malathion | マラチオン | 牛肉 | 1 |
| Phoxim | ホキシム | 牛肉 | 0.01 |
特に指定されていないものに関しては、CODEXが定める基準値に従うものとし、CODEXでも特に定めのない農薬についてはすべて0.01mg/kgの最大許容残留値が適用されます。 動物用医薬品については、「Food Regulations 1985 (updated 2018)」Fifteen A Scheduleで、最大残留許容値について次の規定があります。
- アルベンダゾール
- 肉および脂肪100μg/kg
- アモキシリン
- 肉および脂肪50μg/kg
- アンピシリン
- 肉および脂肪50μg/kg
- アンプロリウム
-
子牛肉500μg/kg
子牛脂肪2000μg/kg - ベンジルペニシリン
- 肉50μg/kg
- カープロフェン
- 肉および脂肪500μg/kg
- セフキノム
- 肉および脂肪50μg/kg
- セフチオフルナトリウム
-
肉200μg/kg
脂肪600μg/kg - クロルスロン
-
肉100μg/kg
脂肪400μg/kg - クロサンテル
-
肉1000μg/kg
脂肪3000μg/kg - クロキサシリン
- 肉および脂肪300μg/kg
- コリスチン
- 肉および脂肪150μg/kg
- ダノフロキサシン
-
肉300μg/kg
脂肪200μg/kg - デコキネート
- 肉および脂肪500μg/kg
- デキサメタゾン
- 肉0.5μg/kg
- ジクロキサシリン
- 肉および脂肪300μg/kg
- ジヒドロストレプトマイシン
- 肉および脂肪500μg/kg
- ジミナゼン
- 肉500μg/kg
- ドラメクチン
-
肉10μg/kg
脂肪150μg/kg - ドキシサイクリン
- 肉100μg/kg
- エンロフロキサシン
- 肉30μg/kg
- エリスロマイシン
- 肉300μg/kg
- エストラジオール-17β
- GAHPに準じる
- フェバンテル
- 肉および脂肪100μg/kg
- フェンベンダゾール
- 肉および脂肪100μg/kg
- フロルフェニコール
- 肉200μg/kg
- フルベンダゾール
- 脂肪40μg/kg
- フルメキン
- 肉および脂肪50μg/kg
- フルメトリン
- 肉50μg/kg
- ゲンタマイシン
- 肉および脂肪100μg/kg
- イソメタミジウム
- 肉および脂肪100μg/kg
- イベルメクチン
- 脂肪40μg/kg
- レバミゾール
- 肉および脂肪10μg/kg
- モキシデクチン
- 脂肪50μg/kg
- ネオマイシン
- 肉および脂肪500μg/kg
- オキサシリン
- 肉および脂肪300μg/kg
- オキシフェンダゾール
- 肉および脂肪100μg/kg
- オキシベンダゾール
- 肉および脂肪100μg/kg
- オキシテトラサイクリン
- 肉100μg/kg脂肪10μg/kg
- ペニシリン
- 可食部50μg/kg
- プロゲステロン
- 牛由来の食品GAHPに準じる
- サリノマイシン
- 肉50μg/kg
- スペクチノマイシン
- 肉300μg/kg脂肪2000μg/kg
- スピラマイシン
- 肉200μg/kg脂肪300μg/kg
- ストレプトマイシン
- 肉および脂肪500μg/kg
- スルファジアジン
- 哺乳動物の可食部100μg/kg
- スルファジメトキシン
- 肉100μg/kg
- スルファジミジン
- 肉および脂肪100μg/kg
- スルファメタジン
- 可食部100μg/kg
- スルホンアミド
- 肉および脂肪100μg/kg
- テストステロン
- 牛由来の食品GAHPに準じる
- テトラサイクリン
- 肉100μg/kg
- チアベンダゾール
- 肉および脂肪100μg/kg
- チルミコシン
- 肉および脂肪100μg/kg
- トレンボロンアセタート
- 肉2μg/kg
- トリクラベンダゾール
- 脂肪100μg/kg
- トリメトプリム
- 可食部50μg/kg
- タイロシン
- 肉および可食部200μg/kg
- バージニアマイシン
- 肉および脂肪0μg/kg
- ゼラノール
- 肉2μg/kg
関連リンク
3. 重金属および汚染物質
調査時点:2020年10月
マレーシアで消費されるすべての食品に関する重金属および汚染物質(最大許容残留値)については、「1985年食品規則」(Regulation 38ならびにFOURTEENTH SCHEDULE)において品目ごとに定められています。
牛肉に関する重金属(ヒ素、鉛、水銀、カドミウム、アンチモン)の最大残留基準は、それぞれ次のとおりです。
| 食品 | ヒ素 | 鉛 | 水銀 | カドミウム | アンチモン |
|---|---|---|---|---|---|
|
肉ならびに肉加工品 (食用ゼラチンを除く) |
1 | 2 | 0.05 | 1 | 1 |
微生物の最大残留基準は次のとおりです。
牛肉に関する一般細菌数検査:摂氏37℃で48時間置いた場合、総生菌数が1gもしくは1mlあたり10の6乗以下。大腸菌数が同5×10以下。
アフラトキシン(B1,B2, G1,G2)の上限:5μg/kg
- 含有禁止の化学物質:
マレーシアではすべての食品に関してβアゴニスト(ラクトパミンを除く)、ニトロフラン、クロラムフェニコールが禁止されています。 - 食品の成分として使用が禁止される物質:
マレーシアで消費されるすべての食品に含有が禁止されている物質については、「1985年食品規則」(Regulation 40ならびにFIFTEENTH A SCHEDULE)において品目ごとに定められています。
関連リンク
4. 食品添加物
調査時点:2020年10月
マレーシアで消費されるすべての食品添加物は「1985年食品規則」(PART V)に定められています。食品添加物の使用については次のとおり定められています(Regulation 19)。
- 食品添加物として許可されていない物質は食品添加物として使用してはならない。
- 食品規則で具体的に定められた基準に準拠しない認可食品添加物もまた食品に使用してはならない。
- 食品添加物の食品への添加は、食品規則で認可が明文化されていない限り禁止する。
食品に使用される食品添加物は、その最大許容値を超えないこと。
添加物としてのポジティブリストや使用許容値は、食品添加物の種類および対象となる食品ごとに細かく数値が定められています。詳細は各食品規則(表参照)を確認してください。
| 添加物の種類 | 食品規則 | 附表 |
|---|---|---|
| 保存料 | Regulation 20 | SIXTH SCHEDULE |
| 抗菌剤 | Regulation 20A | SIXTH (A) SCHEDULE |
| 着色料 | Regulation 21 | SEVENTH SCHEDULE |
| 香料 | Regulation 22 | EIGHTH SCHEDULE |
| 風味増強剤 | Regulation 23 | NINTH SCHEDULE |
| 酸化防止剤 | Regulation 24 | TENTH SCHEDULE |
| 食品調整剤 | Regulation 25 | ELEVENTH SCHEDULE |
| 栄養強化剤 | Regulation 26 | TWELFTH SCHEDULE |
| ビフィズス菌 | Regulation 26A | TWELFTH A SCHEDULE |
なお、食品調整剤はさらに次のサブカテゴリーに分類され、基準が整理されています。
- 乳化剤
- 消泡剤
- 安定剤
- 増粘剤
- 加工でん粉
- ゲル化剤
- pH調整剤
- 酵素
- 溶剤
- 固化防止剤
栄養素が添加されていない甘味物質は、「1985年食品規則」Regulation 133および第17付則(SHEDULE 17)で規定されています。
関連リンク
5. 食品包装(食品容器の品質または基準)
調査時点:2020年10月
食品容器に関しては、「1985年食品規則」(PART VI)に次のとおり定められています。
- 食品包装に使用される梱包材料は、中身の食品に対して有毒、有害なものであってはならず、汚染物質を含まず、食品の劣化を早めるようなものであってはならない。
- 容器にセラミック〔カテゴリーA: 磁器、ボーンチャイナ、ファインチャイナ、溶化磁器その他吸水率が0.4%以下のもの、カテゴリーB: 陶器、せっ器(ストーンウェア)〕を使用する場合は、マレーシア規格(MS:Malaysian Standard)の「MS ISO 6486-1食品と接触するセラミック容器、ガラスセラミック容器およびガラス食器」に従わなければならない。また、セラミック容器に含まれる鉛とカドミウムの最大許容量には制限がある(次の表を参照)。
| 種類 | 単位 | 鉛 | カドミウム |
|---|---|---|---|
| 平らな容器 | mg/dm2 | 0.8 | 0.07 |
| 深みのある容器(小) | mg/l | 2.0 | 0.5 |
| 深みのある容器(大) | mg/l | 1.0 | 0.25 |
また、セラミック容器は次の要件を満たさなければなりません(テスト方法はマレーシア規格MS ISO 6486-1を参照)。
| パラメータ | カテゴリーA | カテゴリーB陶器 | カテゴリーBせっ器 |
|---|---|---|---|
| 吸水率(%) | 0.4%以下 | 3.0%以上7.0%以下 | 3.0%以下 |
| 熱衝撃(℃) | 160 | 160 | 160 |
| 耐チッピング性(J) | - | - | - |
| プレート直径>220mm | 0.25 | 該当なし | 該当なし |
| プレート直径≦220mm | 0.18 | 該当なし | 該当なし |
|
カップ/マグ/ボウル (注ぎ口あり) |
0.10 | 該当なし | 該当なし |
|
カップ/マグ/ボウル (注ぎ口なし) |
0.12 | 該当なし | 該当なし |
| クレージング | すべてのテスト片でクレージングがないこと | ||
- 1キログラムあたり1ミリグラム以上の塩化ビニルモノマーを含んだポリ塩化ビニルを利用した容器は禁止されている。
- 1キログラムあたり0.05ミリグラム以上の塩化ビニルモノマーを含んだポリ塩化ビニルに梱包された食品の輸入、販売をしてはならない。
- 非食品用に製造された容器を食品用に使用してはならない。
- ナチュラルミネラルウオーターの容器として使用した20リットル以下のポリカーボネート容器を同じ目的で使用することは認められているが、それ以外の次のような容器のリサイクルは認められていない。
- 何らかの用途として使用された袋を砂糖や小麦粉、その他の粉類の容器として使用すること。
- 何らかの用途として使用されたボトルや金属容器(食用脂や食用油用のサイロやタンカーを除く)を食用脂や食用油の容器として使用すること。
- 豚由来の製品の容器として意図されたもの、あるいは豚由来の製品の容器として使用された容器を非豚由来の製品の容器として使用すること。
- 何らかの用途として使用されたプラスチック容器を、食品の容器として使用すること。
- アルコール類やシャンディ(飲み物)の容器として使用された容器を、それらを除く食品の容器として使用すること。
- 次のような類似用途のための容器のリサイクルも認められていない。
- 別の用途として使用されたガラス瓶を牛乳、清涼飲料水あるいはシャンディの容器として使用すること。
- 別の用途で使用された箱や木箱を野菜、魚、果物の容器として使用すること。
- 別の用途で使用された麻袋を精米の容器として使用すること。
- アルコール飲料、シャンディ、野菜、果物のための、次のような容器のリサイクルは認められる
- アルコール飲料の容器として使用されたガラス瓶を、シャンディの容器として使用すること(あるいはその逆)。
- 野菜の容器として使用された箱や木箱を、果物の容器として使用すること(あるいはその逆)。
- ある食品の容器として使用されている容器に、それとは別の食品のラベルやマークが表示されていた場合、その容器は以前にそのラベルやマークの食品用途として使用されたものであると推定する。
- 破損した容器の使用は認められていない。
- 食品の容器の中に玩具やコイン、その他のものを入れてはならない。ただし、食品の無菌状態など食品の望ましい質を保持するためのものや、食品のラベル、酸素を吸収するための還元鉄粉などの同梱は認められている。
- 酸素吸収を目的とした還元鉄粉は、食品に混入し、食品を汚染し、食品の内部に侵入しないよう、小袋に入れ、封をしなければならない。小袋の素材は、次のうち少なくとも1つ以上を含まなければならない。
- 塩化カルシウム
- 水酸化カルシウム
- 活性炭
- 石膏
- 酸化鉄
- 水酸化マグネシウム
- ステアリン酸マグネシウム
- パーライト
- 塩
- 滑石
- 水
- 沸石
関連リンク
6. ラベル表示
調査時点:2020年10月
牛肉を含めマレーシアで販売する食品の一般的な表示基準(輸入品、国産品に関係なく)は、「1985年食品規則」(PART IV)に定められています。表示項目、言語、文字の大きさや色、賞味期限表示、栄養成分表示、あるいは表示禁止事項など詳細にわたり、ルールが設定されています。
表示が必要な項目は次のとおりです。
- 食品の適切な明示(appropriate designation of the food)、または主成分の一般名を含む食品の説明。
- 混合食品または配合食品の場合には、食品に応じて内容物が混合または配合されたものであることを示す文言。
- 食品が牛肉もしくは豚肉、またはその派生物、またはラードを含む場合には、それらに関する記載。
- 食品が添加アルコールを含む場合には、それらに関する記載を、6ポイント以上の大文字かつ太字のサンセリフ書体によって表示。
- 食品が、水、食品添加物、および栄養補助剤を除く2種類以上の成分からなる場合には、各成分について、重量に占める割合が多い順に適切な明示を表示し、場合によっては成分の割合も表示しなければならない。また、それらに加えて食品が過敏症を引き起こすことが知られる成分を含む場合には、それらの成分についても当該成分のラベルへの記載が必須となる。(※)
- 食品が食用脂肪または食用油またはそれら両方を含む場合には、それらの表示(場合に応じてそれらの脂肪または油が由来する動物または植物の一般名と共に表示)。
- 食品が食品添加物を含む場合には、それらの含有に関する記載。
- 包装に含まれている最小限の正味重量、容量、数。液状媒体内で包装された食品の場合には、最小限の食品固形量の記載。
- 国内で製造または包装された食品の場合には、製造業者もしくは包装業者、または製造権もしくは包装権の所有者、またはこれらのいずれかの代理業者の名称および事業所住所。また、輸入食品の場合には、製造業者もしくは包装業者、または製造権もしくは包装権の所有者、またはこれらのいずれかの代理業者の名称および事業所住所、ならびにマレーシア国内の輸入業者の名称および事業所住所、ならびに当該食品の原産国名。
- 特定食品の場合には、1985年食品規則の規制に従ってほかの詳細を表示。
(※)対象物質として過敏症を引き起こすことが知られている特定の食品または成分として次があげられる。
- 小麦、ライ麦、大麦、オート麦を含むグルテンを含有する穀物
- ピーナッツ、大豆を含むナッツおよびナッツ製品
- 魚類および魚類製品
- 乳および乳製品(ラクトースを含む)
- 卵および卵製品
また、輸入食品の場合はマレー語または英語で必要な情報の記載がなされる必要があり、必要に応じてほかの言語を併記するものとしています。その他包装、表示についてのルールの詳細については条文を参照してください。
関連リンク
7. その他
調査時点:2020年10月
- 食品安全・衛生規制
-
マレーシアの主要な食品安全・衛生管理行政機関はマレーシア農業・農業関連産業省と保健省であり、主に農業・農業関連産業省が生産・一次加工の安全・衛生管理、保健省が輸入・加工食品の安全・衛生管理を担当しています。
輸入食品も含めた食品の取り扱いに関する主要法規としては、「1983年食品法(Food Act 1983)」「1985年食品規則」「2009年食品衛生規則(Food Hygiene Regulations 2009)」です。





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