日本からの輸出に関する制度

アルコール飲料の輸入規制、輸入手続き

マレーシアの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2020年7月

アルコール飲料の定義・規格は「1985年食品規則(Food Regulations 1985)」で定められています。
一般基準は、アルコール度数2%以上のものとし、変成アルコールや医療用アルコールは含まないとされています。主なアルコール飲料のカテゴリー別の定義と規格は次のとおりです。

  • ワイン
    ブドウ果汁またはブドウ果汁とブドウのほかの部分、もしくは濃縮ブドウ果汁と水、もしくはこれらの混合の発酵製品であり、アルコール度数は7%以上、15%以下とする。含有物は尿素、酵母、果糖、ブドウ糖、ブドウ糖シロップ、砂糖、二酸化炭素、窒素、酸素、水を含み、保存酸を含まない酢酸として計算した場合の揮発性酸性度が1リットルあたり1.2 g以下とする。また1リットルあたり60 mgの ポリビニルピロリドンを含む認可された保存料の含有を認める。
  • ワインカクテル、ベルモット、ワイン由来の食前酒
    アルコール度数は20%以下で、アルコール度数60%以上の追加のエチルアルコールの含有を認める。
  • ドライワイン
    砂糖、果糖、ブドウ糖、ブドウ糖シロップを含まないことを除き、ワインの定義に準じる。
  • フルーツワイン
    ブドウ以外の果汁とその他の部分による発酵製品でありアルコール度数は 15%以下とする。含有物は尿素、酵母、果糖、ブドウ糖、ブドウ糖シロップ、砂糖、二酸化炭素、窒素、酸素を含み、保存酸を含まない酢酸に換算した場合の揮発性酸性度が1リットルあたり1.2 g以下とする。水の含有は認めない。また1リットルあたり60 mgの ポリビニルピロリドンを含む認可された保存料の含有を認める。
  • アップルワイン
    りんごジュースの発酵製品であり、アルコール度数は 8.5%以上とする。
  • シードル
    リンゴから調製されたフルーツワインとし、アルコール度数は 8.5%以下とする。
  • ビール
    ビール、ラガー、エール、スタウトは、ホップまたはほかの無害な野菜の苦味を伴うモルト化された穀物のマッシュから得られる液体状のアルコール発酵物で、アルコール度数は2%以上とする。モルト化されていないシリアルまたはシリアルミール、砂糖、酵母の栄養素、二酸化炭素を含むものと定義する。着色物質としてのカラメル、アスコルビン酸、そして25mg / kg以下の二酸化硫黄または亜硫酸塩の含有を認める。
  • ライスワイン、酒
    米およびほかの穀物のアルコール発酵物と定義し、酒(Sake)を含む。アルコール度数は12%以上20%以下とする。「Rice」という言葉なしにラベルに単独で「Wine」と表示することはできない。
  • スピリッツ
    醸造酒の蒸留物で、アルコール度数は32.5%以上を指す。
  • ブランデー
    ワインを蒸留して製造されるスピリッツであり、アルコール度数は35%以上、無水アルコール100リットルあたりの酢酸エチル量に換算した場合の60gのエステルが含まれているものとし、砂糖、ブドウ糖、ブドウ糖シロップまたは果糖の含有も認める。また許可された香料および着色料としてのカラメルの含有も認める。
  • フルーツブランデー
    フルーツワインを蒸留して製造されるスピリッツであり、その他の基準はブランデーに準じる。
  • ラム
    サトウキビ製品の発酵物を蒸留して製造されるスピリッツであり、アルコール度数は37.5%以上とする。また許可された香料および着色料としてのカラメルの含有も認める。
  • ウイスキー
    アルコール発酵を経た穀物または穀物製品の蒸留によって製造された蒸留酒。アルコール度数は37.5%以上とする。また許可された香料および着色料としてのカラメルの含有も認める。
  • ウオッカ
    アルコール発酵した穀物を蒸留して 製造されるスピリッツで、特徴的な香り、香り、味が出ないように、炭や活性炭で処理したもの。アルコール度数は32.5%以上とする。
  • ジン
    ジュニパーベリーで風味付けされたスピリッツで、アルコール度数は35%以上とする。
  • サムス、焼酎
    米、モロコシまたは糖蜜の発酵したマッシュの蒸留によって生産されるスピリッツで、アルコール度数は35%以上とする。Sam Chengおよび焼酎(Shochu)のアルコール度数は16%以上とする。
  • リキュール
    果物、花、葉、またはほかの無害な植物性物質またはそれらのジュースおよび抽出物とスピリッツを混合、もしくは蒸留することで造られたもの。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2020年7月

マレーシアでは残留農薬(最大許容残留値、使用禁止農薬)について、「1985年食品規則」(Regulation 41ならびにSIXTEENTH SCHEDULE)において品目ごとに定められています。
本規則で、アルコール飲料については個別の基準値が指定されていませんが、そのような食品に関しては、CODEXが定める基準値に従うものとし、CODEXでも特に定めのない農薬についてはすべて0.01mg/kgの最大許容残留値が適用されます。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2020年7月

マレーシアで消費されるすべての食品に関する重金属および汚染物質(最大許容残留値)については、「1985年食品規則」(Regulation 38ならびにFOURTEENTH SCHEDULE)において品目ごとに定められています。
アルコール飲料に関する重金属(ヒ素、鉛、水銀、カドミウム、アンチモン)の最大残留基準は、それぞれ次の表のとおりです。

アルコール飲料に関する重金属の最大残留基準値 (mg/kg)
食品 ヒ素 水銀 カドミウム アンチモン
ワイン 0.2 0.2 0.05 1 1
アルコール飲料ならびにその他のワイン 0.2 0.5 0.05 1 0.15
  • 含有禁止の化学物質:
    マレーシアではすべての食品に関してβアゴニスト(ラクトパミンを除く)、ニトロフラン、クロラムフェニコールが禁止されています。
  • 食品の成分として使用が禁止される物質:
    マレーシアで消費されるすべての食品に含有が禁止されている物質については、「1985年食品規則」(Regulation 40ならびにFIFTEENTH A SCHEDULE)において品目ごとに定められています。

4. 食品添加物

調査時点:2020年7月

マレーシアで消費されるすべての食品添加物は「1985年食品規則」(PART V)に定められています。食品添加物は「食品が有している品質、質感、濃度、外見、匂い、味、アルカリ度または酸性度に影響を与えるために、もしくは食品の製造、加工、調製、処理、梱包、包装、運搬または保存において、その他の技術的な機能を付与するために、意図的に食品に少量導入される、および、その結果、直接的または間接的に当該物質またはその副産物が食品の一成分となるか、なることが合理的に期待される、あらゆる安全な物質をいい、すべての保存料、着色料、香料、風味増強剤、酸化防止剤、食品調整剤などを含むが、栄養強化剤、偶発的成分あるいは塩は含まれない」と定義されており、これらに関する使用については、次のように定められています(Regulation 19)。

  • 食品添加物として許可されていない物質は食品添加物として使用してはならない。
  • 食品規則で具体的に定められた基準に準拠しない認可食品添加物もまた食品に使用してはならない。
  • 食品添加物の食品への添加は、食品規則で認可が明文化されていないかぎり禁止する。
  • 食品に使用される食品添加物は、その最大許容値を超えないこと。

添加物としてのポジティブリストや使用許容値は、食品添加物の種類および対象となる食品ごとに細かく数値が定められています(次の表参照)。

食品添加物の種類別食品規則および付表
添加物の種類 食品規則 付表
保存料 Regulation 20 SIXTH SCHEDULE
抗菌剤 Regulation 20A SIXTH(A)SCHEDULE
着色料 Regulation 21 SEVENTH SCHEDULE
香料 Regulation 22 EIGHTH SCHEDULE
風味増強剤 Regulation 23 NINTH SCHEDULE
酸化防止剤 Regulation 24 TENTH SCHEDULE
食品調整剤 Regulation 25 ELEVENTH SCHEDULE
栄養強化剤 Regulation 26 TWELFTH SCHEDULE
ビフィズス菌 Regulation 26A TWELFTH A SCHEDULE

なお、食品調整剤はさらに次のサブカテゴリ―に分類され、基準が整理されています。

  • 乳化剤
  • 消泡剤
  • 安定剤
  • 増粘剤
  • 加工でん粉
  • ゲル化剤
  • pH調整剤
  • 酵素
  • 溶剤
  • 固化防止剤

栄養素が添加されていない甘味物質は、Schedule Food Regulations(2020年最新版)第17付則(SHEDULE 17)表1でアルコール飲料に関するアセスルファムの上限について記述があり、ワイン、ワインカクテル、スイートワイン、ライスワイン、ビール、シャンディに関しては350mg/l、スピリッツ、ブランデー、フルーツブランデー、ラム、ウイスキー、ウオッカ、ジン、サムス(焼酎含む)、リキュール、フルーツワインに関してはGMP(Good Manufacturing Practice)に基づくとなっています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2020年7月

食品容器に関しては、「1985年食品規則」(PART VI)に次のように定められています。

  1. 食品包装に使用される梱包材料は、中身の食品に対して有毒、有害なものであってはならず、汚染物質を含まず、食品の劣化を早めるようなものであってはならない。
  2. 容器にセラミック(カテゴリーA:磁器、ボーンチャイナ、ファインチャイナ、溶化磁器、その他吸水率が0.4%以下のもの、カテゴリーB:陶器、せっ器〈ストーンウェア〉)を使用する場合は、マレーシア規格(MS:Malaysian Standard)の「MS ISO 6486-1 食品と接触するセラミック容器、ガラスセラミック容器およびガラス食器」に従わなければならない。また、セラミック容器に含まれる鉛とカドミウムの最大許容量には制限がある(次の表を参照)。
セラミック容器に含まれる鉛とカドミウムの最大許容量
種類 種類 カドミウム
平らな容器 mg/dm2 0.8 0.07
深みのある容器(小) mg/l 2.0 0.50
深みのある容器(大) mg/l 1.0 0.25

また、セラミック容器は次の要件を満たさなければなりません(テスト方法はマレーシア規格MS ISO 6486-1を参照)。

セラミック容器の要件
パラメータ カテゴリーA カテゴリーB(陶器) カテゴリーB(せっ器)
吸水率(%) 0.4%以下 3.0%以上7.0%以下 3.0%以下
熱衝撃(℃) 160 160 160
耐チッピング性(J)
プレート直径>220mm 0.25 該当なし 該当なし
プレート直径≦220mm 0.18 該当なし 該当なし
カップ/マグ/ボウル
(注ぎ口あり)
0.10 該当なし 該当なし
カップ/マグ/ボウル
(注ぎ口なし)
0.12 該当なし 該当なし
クレージング すべてのテスト片でクレージングがないこと
  1. 1キログラムあたり1ミリグラム以上の塩化ビニルモノマーを含んだポリ塩化ビニルを利用した容器は禁止されている。
  2. 1キログラムあたり0.05ミリグラム以上の塩化ビニルモノマーを含んだポリ塩化ビニルに梱包された食品の輸入、販売をしてはならない。
  3. 非食品用に製造された容器を食品用に使用してはならない。
  4. ナチュラルミネラルウオーターの容器として使用した20リットル以下のポリカーボネート容器を同じ目的で使用することは認められているが、次のa~eのような容器のリサイクルは認められていない。
    1. 何らかの用途として使用された袋を砂糖や小麦粉、その他の粉類の容器として使用すること。
    2. 何らかの用途として使用されたボトルや金属容器(食用脂や食用油用のサイロやタンカーを除く)を食用脂や食用油の容器として使用すること。
    3. 豚由来の製品の容器として意図されたもの、あるいは豚由来の製品の容器として使用された容器を非豚由来の製品の容器として使用すること。
    4. 何らかの用途として使用されたプラスチック容器を、食品の容器として使用すること。
    5. アルコール類やシャンディ(飲み物)の容器として使用された容器を、それらを除く食品の容器として使用すること
  5. 次のa~cのような類似用途のための容器のリサイクルも認められていない。
    1. 別の用途として使用されたガラス瓶を牛乳、清涼飲料水あるいはシャンディの容器として使用すること。
    2. 別の用途で使用された箱や木箱を野菜、魚、果物の容器として使用すること。
    3. 別の用途で使用された麻袋を精米の容器として使用すること。
  6. アルコール飲料、シャンディ、野菜、果物のための、次のa、bのような容器のリサイクルは認められる。
    1. アルコール飲料の容器として使用されたガラス瓶を、シャンディの容器として使用すること(あるいはその逆)。
    2. 野菜の容器として使用された箱や木箱を、果物の容器として使用すること(あるいはその逆)。
  7. ある食品の容器として使用されている容器に、それとは別の食品のラベルやマークが表示されていた場合、その容器は以前にそのラベルやマークの食品用途として使用されたものである、と推定する。
  8. 破損した容器の使用は認められていない。
  9. 食品の容器の中に玩具やコイン、その他のものを入れてはならない。ただし、食品の無菌状態など食品の望ましい質を担保するためのものや、食品のラベル、酸素を吸収するための還元鉄粉などの同梱は認められている。
  10. 酸素吸収を目的とした還元鉄粉は、食品に混入し、食品を汚染し、食品の内部に侵入しないよう、小袋に入れ、封をしなければならない。小袋の素材は、次のa~lのうち少なくとも1つ以上を含まなければならない。
    1. 塩化カルシウム
    2. 水酸化カルシウム
    3. 活性炭
    4. 石膏
    5. 酸化鉄
    6. 水酸化マグネシウム
    7. ステアリン酸マグネシウム
    8. パーライト
    9. 滑石
    10. 沸石

6. ラベル表示

調査時点:2020年7月

アルコール飲料を含めマレーシアで販売する食品の一般的な表示基準(輸入品、国産品に関係なく)は、「1985年食品規則」(PART IV)に定められています。表示項目、言語、文字の大きさや色、賞味期限表示、栄養成分表示、あるいは表示禁止事項など詳細にわたり、ルールが設定されています。
表示が必要な項目は次のとおりです。

  • 国内で製造または包装された食品の場合には、製造業者もしくは包装業者、または製造権もしくは包装権の所有者、またはこれらのいずれかの代理業者の名称および事業所の住所。また、輸入食品の場合には、製造業者もしくは包装業者、または製造権もしくは包装権の所有者、またはこれらのいずれかの代理業者の名称および事業所の住所、ならびにマレーシア国内の輸入業者の名称および事業所の住所、ならびに当該食品の原産国名。
  • アルコール度数等、食品が添加アルコールを含む場合には、それらに関する記述を、6ポイント以上の大文字かつ太字のサンセリフ書体によって表示。
  • 原材料
  • 食品の適切な明示(appropriate designation of the food)、または主成分の一般名を含む食品の説明。
  • 混合食品または配合食品の場合には、その場合に応じて内容物が混合または配合されたものであることを示す文言。
  • 食品が牛肉もしくは豚肉、またはその派生物、またはラードを含む場合には、それらに関する記述。
  • 食品が、水、食品添加物、および栄養補助剤を除く2種類以上の成分からなる場合には、各成分について、重量に占める割合が多い順に適切な明示を表示し、場合によっては成分の割合も表示しなければならない。また、それらに加えて食品が過敏症を引き起こすことが知られる成分を含む場合には、それらの成分についても当該成分のラベルへの記載が必須となる(※)。
  • 食品が食用脂肪または食用油またはそれら両方を含む場合には、それらの表示(場合に応じてそれらの脂肪または油が由来する動物または植物の一般名とともに表示)。
  • 食品が食品添加物を含む場合には、それらの含有に関する表示。
  • 包装に含まれている最小限の正味重量、容量、数。液状状態で包装された食品の場合には、最小限の食品固形量の表示。
  • 特定食品の場合には、1985年食品規則の規制に従ってほかの詳細を表示。

(※)対象物質として過敏症を引き起こすことが知られている特定の食品または成分として次が挙げられる。

  1. 小麦、ライ麦、大麦、オート麦を含むグルテンを含有する穀物
  2. ピーナッツ、大豆を含むナッツおよびナッツ製品
  3. 魚類および魚類製品
  4. 乳および乳製品(ラクトースを含む)
  5. 卵および卵製品

また、輸入食品の場合はマレー語または英語で必要な表記がなされる必要があり、必要に応じてほかの言語を併記するものとしています。その他包装、表示についてのルール詳細については条文を参照してください。

7. その他

調査時点:2020年7月

マレーシアの主要な食品安全・衛生管理行政機関はマレーシア農業・農業関連産業省と保健省であり、主に農業・農業関連産業省が生産・一次加工の安全・衛生管理、保健省が輸入・加工食品の安全・衛生管理を担当しています。
輸入食品も含めた食品の取り扱いに関する主要法規としては、「1983年食品法(Food Act 1983)」「1985年食品規則(Food Regulations 1985)」「2009年食品衛生規則(Food Hygiene Regulations 2009)」です。

マレーシアでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2020年7月

食品の輸入管理は、マレーシア保健省(MOH: Ministry of Health)の食品安全品質管理部(Food Safety and Quality Division)がマレーシア関税局と協力しながら実施しています。具体的には、オンラインの食品安全情報システムFoSIM(Food Safety Information System of Malaysia)を通じ、国内で消費される輸入食品が安全であるかどうかも含めた輸入食品の管理が行われています。
マレーシアにアルコール飲料を輸入する際には、輸入業者はFoSIMにアクセスし、輸入者・輸入エージェントの登録をはじめ、必要な登録を行うことによって輸入手続きを行います。

アルコール飲料を輸入する際には、次の2つのライセンスが必要になります。

  • 酒類販売ライセンス:酒類小売または卸売免許(地方自治体が発行)
  • 酒類輸入ライセンス:酒類輸入許可(マレーシア関税局=JKDMが発行)

JKDMの酒類輸入ライセンス(Lampiran A2)の費用は2020年1月時点で年2,400リンギ。 申請前に酒類販売ライセンスを取得する必要があります。酒類販売ライセンスについては、「4.販売許可手続き」を参照してください。

酒類輸入ライセンス申請の際には次の書類が必要になります。

  • 事業所の賃貸契約または購入契約のコピー
  • 会社委員会(CCM)における覚書および定款、会社登録証明のフォーム24およびフォーム49のコピー。(フォーム24:資本金&株主構成、フォーム49:取締役リスト)
  • 製造業者または供給業者による、販売業者または輸入業者としての指名通知のコピー
  • 会社の最新の銀行取引明細書のコピー
  • 公認保税倉庫の運営業者からの商品保管に関する同意書のコピー
  • 酒類販売ライセンスのコピー
  • 地方自治体が発行した営業許可証のコピー

また、2012 年関税(輸入禁止)令において、アルコール飲料は「特定の方式でのみ輸入可能な品目」として指定されており、「すべてのボトル、缶、小樽あるいはその他の容器はマレーシア関税局長の認証タックススタンプで封をされなければならない」とされています(THIRD SCHEDULE / PART 2 / Item No.3)。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2020年7月

マレーシアでは「Dagang.Net」とよばれる官庁間の統合通関登録システムが導入され、輸入申請から認可取得、通知、関税諸税、手数料などの支払い手続きが自動的に一括処理されています。

輸入登録は商品ごとに行う必要があります。同じブランドで成分、アルコール度数が同じであっても、ボトルサイズやラベルデザインが異なる場合にはそれぞれ申請しなければなりません。またラベルやボトルデザインが中途で変更になった場合もそれぞれ別の商品とみなされるため、新たに申請し直す必要があります。

申請の際には次の情報が必要です。

  • 製造業者または供給業者による、販売業者または輸入業者としての指名通知(アポイントメント・レター)のコピー
  • 商品名、写真(全体が分かるもの)

実際に輸入日時が決まったら、オンラインで次の情報を登録します。

  • 成分
  • 容量
  • 商品名
  • アルコール度数
  • 製造者名
  • 輸入業者名
  • 商品写真
  • HSコード
  • 仕入れ価格
  • 予定販売価格

商品にはマレー語と英語のラベルを貼る必要があります。
ラベルに表記すべき内容は次のとおりです。

  • 輸入元名・住所
  • 製造元名・住所
  • アルコール度数
  • 原材料

またアルコール飲料のような加工品については、商品ごとにマレーシア食品安全情報システム(FoSIM=Food Safety Information System of Malaysia)を通じて保健省食品安全品質管理部(Food Safety And Quality Division)にオンライン登録を行う必要があります。 申請状況については、オンタイムで確認することができます。また、登録内容は自動的に税関と共有されます。

保税区から商品を受け出す際には、「Dagang.Net」を通じて取得したオリジナルの輸入許可証をプリントアウトしたものに加え、次の書類が必要になります。

  • 輸入ライセンス
  • 税関申告書(K1フォーム)
  • 特定原産地証明書(EPAの適用を受ける場合)
  • インボイス
  • 船荷証券
  • 梱包リスト(数量)

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2020年7月

マレーシア側の空港や港湾で書類検査、現物検疫が行われ、不合格の場合は輸入が許可されません。

4. 販売許可手続き

調査時点:2020年7月

アルコール飲料を含めマレーシアの食品販売に関しては、販売店舗の形態に応じて外資企業に対する参入規制が存在します。国内取引・協同組合・消費者省(MDTCA:Ministry of Domestic Trade and Consumer Affairs)は2020年2月、さらなる規制緩和策を盛り込んだ最新版「流通取引・サービスへの外国資本参入に関するガイドライン(Guidelines on Foreign Participation in the Distributive Trade Services Malaysia、MDTCAガイドライン)」を公表しましたが、百貨店、スーパーマーケット、スーパーストアなど小売店の種類に応じて外資企業の参入規制が定められています。

アルコール飲料をマレーシア国内で販売する場合、日本企業を含めて外資が51%以上出資する企業は卸売・小売許可(WRTライセンス)を取得する必要があります。 WRTライセンスは国内取引・協同組合・消費者省(MDTCAC)に申請します。 最低払込資本金は100万リンギ以上が条件。卸売業、小売業、フランチャイズ、直販、国内市場向けサプライヤー、国際貿易業者の現地代理人などを含む流通サービス業が対象となります。

Business Licensing Electronic Support System(BLESS)を通じてオンライン申請することができます。企業概要、ビジネスプラン、役員のリスト(会社委員会=SSM登記書コピー)、内国歳入庁(IRB)登録書コピーが必要です。
このほかマレーシア資本か外資かに関係なく、事務所や店舗を置く地方自治体(市、郡など)から、PBTと呼ばれる開業ライセンスを取得する必要があります。

アルコール飲料販売の場合には、WRTライセンスのほかに酒類販売ライセンス(Liquor License)が必要になります。酒類販売ライセンスは、事業所が所在する地方自治体に申請します。細かい基準は自治体によって異なっています。
また卸売りをする場合にはディストリビューション・ライセンスが必要になります。

酒類販売ライセンスを申請する場合には、基本的に次の書類が必要です。

  • 会社の登記書
  • 酒類販売許可申請を英語とマレー語の新聞に掲載された4つの広告を2日間行う発表(公告)
  • 会社委員会(CCM)における覚書および定款、会社登録証明のフォーム24、44、49のコピー。(フォーム24〜資本金&株主構成、フォーム44〜事業所の所在地や営業時間、フォーム49〜取締役リスト)
  • 酒類免許の名義となっている会社の関係者個人の写真
  • 名義人となるマレーシア人(外国人は不可)の身分証明書もしくはパスポートのコピー
  • 事業所ライセンスの申請書
  • ロケーション
  • 事業所の写真(看板、外観、内部)
  • 保管庫確保(実地検査あり)

5. その他

調査時点:2020年7月

なし