アルコール飲料の輸入規制、輸入手続き
マレーシアでの輸入手続き
1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)
調査時点:2020年7月
食品の輸入管理は、マレーシア保健省(MOH: Ministry of Health)の食品安全品質管理部(Food Safety and Quality Division)がマレーシア関税局と協力しながら実施しています。具体的には、オンラインの食品安全情報システムFoSIM(Food Safety Information System of Malaysia)を通じ、国内で消費される輸入食品が安全であるかどうかも含めた輸入食品の管理が行われています。
マレーシアにアルコール飲料を輸入する際には、輸入業者はFoSIMにアクセスし、輸入者・輸入エージェントの登録をはじめ、必要な登録を行うことによって輸入手続きを行います。
アルコール飲料を輸入する際には、次の2つのライセンスが必要になります。
- 酒類販売ライセンス:酒類小売または卸売免許(地方自治体が発行)
- 酒類輸入ライセンス:酒類輸入許可(マレーシア関税局=JKDMが発行)
JKDMの酒類輸入ライセンス(Lampiran A2)の費用は2020年1月時点で年2,400リンギ。 申請前に酒類販売ライセンスを取得する必要があります。酒類販売ライセンスについては、「4.販売許可手続き」を参照してください。
酒類輸入ライセンス申請の際には次の書類が必要になります。
- 事業所の賃貸契約または購入契約のコピー
- 会社委員会(CCM)における覚書および定款、会社登録証明のフォーム24およびフォーム49のコピー。(フォーム24:資本金&株主構成、フォーム49:取締役リスト)
- 製造業者または供給業者による、販売業者または輸入業者としての指名通知のコピー
- 会社の最新の銀行取引明細書のコピー
- 公認保税倉庫の運営業者からの商品保管に関する同意書のコピー
- 酒類販売ライセンスのコピー
- 地方自治体が発行した営業許可証のコピー
また、2012 年関税(輸入禁止)令において、アルコール飲料は「特定の方式でのみ輸入可能な品目」として指定されており、「すべてのボトル、缶、小樽あるいはその他の容器はマレーシア関税局長の認証タックススタンプで封をされなければならない」とされています(THIRD SCHEDULE / PART 2 / Item No.3)。
関連リンク
2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)
調査時点:2020年7月
マレーシアでは「Dagang.Net」とよばれる官庁間の統合通関登録システムが導入され、輸入申請から認可取得、通知、関税諸税、手数料などの支払い手続きが自動的に一括処理されています。
輸入登録は商品ごとに行う必要があります。同じブランドで成分、アルコール度数が同じであっても、ボトルサイズやラベルデザインが異なる場合にはそれぞれ申請しなければなりません。またラベルやボトルデザインが中途で変更になった場合もそれぞれ別の商品とみなされるため、新たに申請し直す必要があります。
申請の際には次の情報が必要です。
- 製造業者または供給業者による、販売業者または輸入業者としての指名通知(アポイントメント・レター)のコピー
- 商品名、写真(全体が分かるもの)
実際に輸入日時が決まったら、オンラインで次の情報を登録します。
- 成分
- 容量
- 商品名
- アルコール度数
- 製造者名
- 輸入業者名
- 商品写真
- HSコード
- 仕入れ価格
- 予定販売価格
商品にはマレー語と英語のラベルを貼る必要があります。
ラベルに表記すべき内容は次のとおりです。
- 輸入元名・住所
- 製造元名・住所
- アルコール度数
- 原材料
またアルコール飲料のような加工品については、商品ごとにマレーシア食品安全情報システム(FoSIM=Food Safety Information System of Malaysia)を通じて保健省食品安全品質管理部(Food Safety And Quality Division)にオンライン登録を行う必要があります。 申請状況については、オンタイムで確認することができます。また、登録内容は自動的に税関と共有されます。
保税区から商品を受け出す際には、「Dagang.Net」を通じて取得したオリジナルの輸入許可証をプリントアウトしたものに加え、次の書類が必要になります。
- 輸入ライセンス
- 税関申告書(K1フォーム)
- 特定原産地証明書(EPAの適用を受ける場合)
- インボイス
- 船荷証券
- 梱包リスト(数量)
3. 輸入時の検査・検疫
調査時点:2020年7月
マレーシア側の空港や港湾で書類検査、現物検疫が行われ、不合格の場合は輸入が許可されません。
関連リンク
- 関係省庁
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マレーシア保健省(英語)
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マレーシア農業・農業関連産業省(英語)
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マレーシア関税局(英語)
- 根拠法等
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1967年関税法(Customs Act 1967)(英語)
(632KB)
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1983年食品法(Food Act 1983)(英語)
(454KB)
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1985年食品規則(Food Regulations 1985)(英語)
-
2012年関税(輸入禁止)令(Customs (Prohibition of Imports) Order 2012)(英語)
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2013年マレーシア検疫検査サービス規則(Malaysian Quarantine and Inspection Servicer Regulations 2013)(英語)
4. 販売許可手続き
調査時点:2020年7月
アルコール飲料を含めマレーシアの食品販売に関しては、販売店舗の形態に応じて外資企業に対する参入規制が存在します。国内取引・協同組合・消費者省(MDTCA:Ministry of Domestic Trade and Consumer Affairs)は2020年2月、さらなる規制緩和策を盛り込んだ最新版「流通取引・サービスへの外国資本参入に関するガイドライン(Guidelines on Foreign Participation in the Distributive Trade Services Malaysia、MDTCAガイドライン)」を公表しましたが、百貨店、スーパーマーケット、スーパーストアなど小売店の種類に応じて外資企業の参入規制が定められています。
アルコール飲料をマレーシア国内で販売する場合、日本企業を含めて外資が51%以上出資する企業は卸売・小売許可(WRTライセンス)を取得する必要があります。 WRTライセンスは国内取引・協同組合・消費者省(MDTCAC)に申請します。 最低払込資本金は100万リンギ以上が条件。卸売業、小売業、フランチャイズ、直販、国内市場向けサプライヤー、国際貿易業者の現地代理人などを含む流通サービス業が対象となります。
Business Licensing Electronic Support System(BLESS)を通じてオンライン申請することができます。企業概要、ビジネスプラン、役員のリスト(会社委員会=SSM登記書コピー)、内国歳入庁(IRB)登録書コピーが必要です。
このほかマレーシア資本か外資かに関係なく、事務所や店舗を置く地方自治体(市、郡など)から、PBTと呼ばれる開業ライセンスを取得する必要があります。
アルコール飲料販売の場合には、WRTライセンスのほかに酒類販売ライセンス(Liquor License)が必要になります。酒類販売ライセンスは、事業所が所在する地方自治体に申請します。細かい基準は自治体によって異なっています。
また卸売りをする場合にはディストリビューション・ライセンスが必要になります。
酒類販売ライセンスを申請する場合には、基本的に次の書類が必要です。
- 会社の登記書
- 酒類販売許可申請を英語とマレー語の新聞に掲載された4つの広告を2日間行う発表(公告)
- 会社委員会(CCM)における覚書および定款、会社登録証明のフォーム24、44、49のコピー。(フォーム24〜資本金&株主構成、フォーム44〜事業所の所在地や営業時間、フォーム49〜取締役リスト)
- 酒類免許の名義となっている会社の関係者個人の写真
- 名義人となるマレーシア人(外国人は不可)の身分証明書もしくはパスポートのコピー
- 事業所ライセンスの申請書
- ロケーション
- 事業所の写真(看板、外観、内部)
- 保管庫確保(実地検査あり)
5. その他
調査時点:2020年7月
なし