知財判例データベース 外国の国旗と類似の商標が登録を受けることができるか(消極)

基本情報

区分
商標
判断主体
特許法院
当事者
原告(RE/MAX, LLC.)vs 被告(特許庁長)
事件番号
2016ホ1574
言い渡し日
2016年06月16日
事件の経過
確定前

概要

495

商標法第7条第1項第1号の2では「工業所有権保護のためのパリ条約」の同盟国、世界貿易機関の会員国または「商標法条約」の締約国(以下「同盟国等」)の国旗と同一またはこれに類似の商標は商標登録を受けることができないと規定している。特許法院は原告が出願した「」商標(以下「本件商標」)がオランダ国旗「」と類似すると判断し、上記の規定に該当することを肯定した。

事実関係

米国最大の不動産仲介企業である原告は、自社のロゴ商標である「」から文字部分「 」を削除した熱気球図形を、上から赤、白、青の順に配色された長方形と結合した本件商標を不動産仲介業などを指定役務として出願したが、韓国特許庁は本件商標はオランダ国旗と非常に類似する図形商標であり商標法第7条第1項第1号の2によって登録を受けることができないとして拒絶する決定をし、これに対し原告は特許審判院に不服審判を請求したが、特許審判院でも同じ理由から原告の審判請求を棄却する審決をした。このような特許審判院の審決に対して原告が不服とし、特許法院に審決の取消しを求めた事件である。

判決内容

  1. 原告の主張の要旨
    原告は本件商標には熱気球図形「」が配置されているのでオランダ国旗とは全体的な外観が与える支配的印象が異なり、一般需要者がオランダ国旗と関連があるものと認識する可能性は希薄であるため商標法第7条第1項第1号の2に該当しないと主張した。
  2. 本件商標が商標法第7条第1項第1号の2に該当するか否か
    本件商標は上から赤、白、青の3色が配色された長方形の左上に熱気球図形を結合してなる図形商標であり、オランダ国旗とは熱気球図形の有無において異なる。しかし本件商標はオランダ国旗と同じ赤、白、青が配色された長方形からなる点、外観の縦横比が約4:3である点等が共通し、このような共通点と、本件商標全体において熱気球図形の面積が占める割合が小さく、その配色も赤、白、青からなる点とに照らしてみれば、本件商標は全体的に見てオランダ国旗と類似する。

専門家からのアドバイス

商標法第7条第1項第1号の2は「工業所有権保護のためのパリ条約」第6条の3の規定を立法化して国家の国旗などと同一または類似の商標は登録を受けることができないと規定しているが、これは外国の国旗は公益的側面から尊厳性の程度が高いため、登録主体が誰であるかを問わずこれに該当する場合には商標として登録を受けることができないと規定したものである。このときすべての外国の国旗が保護されるのではなく、「同盟国等」の国旗に限って保護されるが、同盟国であれば足り、韓国の国家承認の有無は問わない。この規定が適用されるケースは稀と言えるが、本件は商標法第7条第1項第1号の2における類否判断が一般的な商標類否判断と同じ基準によって行われるという点を再確認した点で参考としておきたい事例である。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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