知財判例データベース 「MOCHICREAM」が指定商品/役務の原材料、生産方法などを表示する標章に該当すると判断した事例
基本情報
- 区分
- 商標
- 判断主体
- 特許法院
- 当事者
- 株式会社ニッチインターナショナル(原告)v. 特許庁長(被告)
- 事件番号
- 事件番号:2008ホ11385
- 言い渡し日
- 2009年02月06日
- 事件の経過
- 未確認
概要
231
商標法第6条第1項第3号が指定商品/役務の産地、品質、効能、用途、使用方法などを普通に使用する方法で表示した標章だけからなる商標はその商標登録を受けることができないと規定しているところ、どのような商標がこれに該当するかはその商標が持っている観念、指定商品/役務との関係及び取引き社会の実情などを勘案し客観的に判断しなければならないところ、本事件での「MOCHICREAM」はその指定商品/役務である菓子、日本食堂業、ベーカリー業などと関連し原材料、生産方法などを表示する標章に該当する。
事実関係
原告は菓子、日本食堂業、ベーカリー業などを指定商品/役務とする「 」商標及びサービスマーク(以下「本件出願商標/サービスマーク」)を出願したが、原材料などを表示する性質表示標章に該当するという理由で拒絶決定が下されたため、特許審判院に拒絶決定不服審判を請求した。しかし、特許審判院も同じ趣旨で原告の請求を棄却したため、原告は本件出願商標/サービスマークのうち、「MOCHI」は英単語にない造語で、日本語「もち」を普通に使用する方法で表示したものでもなく、日本語の「もち」ももち米や鏡餅の他に「持ち」、「満月」などの多様な意味を持っており、需要者らがその意味を直感し難く性質表示の標章に該当しないため、本件審決は違法として、取り消されるべきであるとし、特許法院に審決取消訴訟を提起した。
判決内容
法院は、本件出願商標/サービスマークのうち「CREAM」部分は一般需要者や取引者が食材料であるクリームと直感できるため、その指定商品/役務と関連した性質表示標章に該当すると判断した。また、法院は、英文字のうち「MOCHI」部分に対してもこれは「もち米を蒸して手や機械で作ったモチのことを全て指す言葉」である日本語「もち」の発音と同一なだけではなく、上記の日本語「もち」の英語式表記も「MOCHI」であり、もち米のもちなどを意味する日本語「もち」のハングル表記である「모찌」が韓国のベーカリーやもちの販売業界でも同じ意味で広く使われているうえ、インターネット辞典などにも「모찌」に関して「모찌はもちを意味する名詞で、純粋な用語としてはもち米のもち」、又は「日本及び中国のコメモチ」と記述されている事情を総合してみれば、上記の英文「MOCHI」もその指定商品/役務と関連した性質表示標章に該当すると判断して原告の請求を棄却した。
専門家からのアドバイス
商品の産地、品質、原材料、効能、用途、生産方法、加工方法などを表示する性質表示標章は一般人に親しみやすく容易に認知できる面があるため、誰もがこのような商標を使用しようとする傾向があるが、商標法はこのような標章を特定人に独占させることの不合理と自他商品識別の難しさを理由としてその登録を原則的に許容していない。しかし、現在も韓国語でない外国語を利用した性質表示標章に関する出願は多く出されており、出願人としては国内の消費者らによく知られていない単語であれば商標として登録したいというのが正直なところであろう。外国語による性質表示標章が登録できるかどうかは韓国内の取引実情に照らして決まるのはもちろんであるが、日に日にワールドワイド化する今日においては「性質を表示するよく知られていない外国語による性質表示標章」は次第に取りにくくなっている趨勢である。
本事件でも原告は、「MOCHI」という英文が必ずしも日本語の「もち」に該当するわけではなく「もち」の意味も多様にあることを挙げて性質表示ではないと主張したが、「もち」という単語が日本語の発音と殆ど同じまま韓国で一般的にも使われていることもあり、法院は指定商品/サービスマークと関連して上記の単語が国内の取引実情において一般需要者や取引者にその意味を直感させると判断した。最近、特許庁や法院では、日本語を始めとする外国語の標章については性質表示や記述的表示に関連して厳しく判断する傾向が強くなっていると言える。
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