知財判例データベース 商品の需要者と実際取引界の実情を考慮して商標的使用を認めた事例
基本情報
- 区分
- 商標
- 判断主体
- 特許法院
- 当事者
- ○○(原告)v. リフレクサイトコーポレーション(被告)
- 事件番号
- 2006ホ6471
- 言い渡し日
- 2008年08月14日
- 事件の経過
- 上告
概要
219
商標権の権利範囲確認審判事件において確認を求める標章が登録商標の権利範囲に属すると言うためには商標として使用されるのが前提になるべきであるが、その標章が、商標の本質的な機能である自他商品の識別や、あるいは商品の出所表示のために使用されるものと見ることができる場合には、商標としての使用と見なければならず、これは商品の需要者ら及び実際の取引界の実情を基準に判断する。
事実関係
安全標識板や安全服などに使用される反射鏡、反射プラスチックシート材などを指定商品とする商標(「 」、以下「本件登録商標」)の登録権利者である被告は、反射布地に原告が使用する「 」標章(以下、「確認対象標章」)が本件登録商標の権利範囲に属するとし、積極的権利範囲確認審判を請求した。これについて特許審判院が確認対象標章は本件登録商標と類似し、その使用商品も本件登録商標の指定商品と類似するとして被告の審判請求を認容したところ、原告は特許法院に審決取消訴訟を提起した。
判決内容
原告は、使用商品に表示された確認対象標章は、光を反射させた状態で使用商品を一定の角度に傾けて注意深く観察するときにのみ認識でき、使用商品の通常の流通過程では一般需要者がその存在さえ知り得ないため、自他商品を識別したりあるいは使用商品の出所を表示する機能を遂行できないので、商標法上の商標として使用されたと言えないから、確認対象標章は本件登録商標の権利範囲に属さないという主張をした。
しかし、法院は、確認対象標章が表示された使用商品は光を反射させる性質を有していて安全標識板や安全服など各種安全用品の部材に使用される商品であり、その特性上商標を商品自体に表示する場合には、商品の反射機能を損なわないようにしながらも完成品の外観上には現れないようにする必要がある点、そして確認対象標章もやはり光を照らした状態で使用商品を一定の角度に傾けて注意深く観察するときのみ認識できるように使用商品に表示されており、使用商品の需要者らである安全用品の製造業者らは使用商品を光に照らした状態で一定の角度から見るなどの方法を通じて、その表示された標章を確認することによって使用商品の製造者を識別するのが実際の取引界の実情である点を認め、原告が確認対象標章をその使用商品に使用したのは商標法上の商標の使用に該当すると判断し、原告の請求を棄却した。
専門家からのアドバイス
商標の本質的機能が自他商品識別や出所表示機能にあるのは異論の余地がない。従って、登録権利者が他人の使用標章が自己の権利範囲に属するという積極的権利範囲確認審判を請求するためには、その確認対象標章が当然商標として使用されていなければならないと言える。商標としての使用しているかどうかを、誰を基準にどのような事情を考慮して判断しなければならないのかを考えてみると、その基準をどのように設定するのかにより結論が変わってくるため、非常に重要な意味を有すると言える。従来から判例は、商標の周知性ないし著名性などの判断時に一般需要者を一律的に基準にしているのではなく、具体的な妥当性のために該当商品の取引界とそれに属する者らを基準に判断することも多い。本件の商標が用いられる商品は、道路標識やガードレール、夜間工事の作業服などに貼られて、自動車のヘッドライトなどがあたると強く反射する反射シート地であり、このシート地を手にとって光にかざすと反射率や屈折率の違いによりシート地の反射層の中に本件登録商標や確認対象標章が認識できるというかなり特殊なものである。法院は、本件登録商標の指定商品を実際に部材として使用している安全用品の製造業者らを基準にその取引界の実情を勘案して商標としての使用なのかどうかを判断したわけであるが、このような法院の判断は、具体的な妥当性を伴った極めて合理的なものと言えよう。
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