知財判例データベース 既存の商標登録無効審判請求を取り下げた事情などから照らして利害関係が消滅した審判請求と認めた事例

基本情報

区分
商標
判断主体
特許法院
当事者
株式会社ソダ(原告)v.○○(被告)
事件番号
2007ホ7471
言い渡し日
2008年04月11日
事件の経過
未確認

概要

198

無効審判請求当時、利害関係があった当事者であったとしても審判係属中にその審判に関し当事者間で争わないこととする合意があったならば、特別な事情がない限りその利害関係は消滅されると解釈しなければならない。

事実関係

被告は原告の登録商標( 、以下「本件登録商標」)が被告の過去の登録商標( 、以下「比較対象商標」)との関係で商標法第7条第1項第8号(「商標権が消滅した日から1年を経過しなかった他人の登録商標と同一又は類似の商標としてその指定商品と同一又は類似の商品に使用する商標」の場合、登録を受けることができないという規定)に該当するという理由で登録無効審判を請求し、特許審判院は同じ理由により被告の請求を認容する審決を下した。これに対して原告は被告の審判請求は原・被告間にあった過去の合意(本件登録商標に対し無効審判を提起しないとする内容)に違反したものとして、利害関係が消滅した請求人によるもの、又は信義則に違反したものであるので却下されるべきであると主張し本件審決取消訴訟を提起した。

判決内容

法院は、原告が被告の比較対象商標に対し原告の「SODA」が含まれた他の先登録商標と同一に使われることにより商標法第73条第1項第2号所定の不正使用に該当するとして提起した登録取消審判により上記の比較対象商標の登録が既に取り消された事実、その後、原告が本件登録商標を出願するや被告は本件登録商標が比較対象商標との関係で商標法第7条第1項第8号に該当するとして登録無効審判(2003当5号)を提起したが、被告が代表理事として勤務した訴外会社と原告の間で本件登録商標に対する商標使用契約を締結する方向で円満に合意されたことにより被告が上記の登録無効審判(2003ダン5号)を取り下げた事実、上記の商標使用契約は訴外会社の約定使用料未払いなど債務不履行に基づいた原告の解約通知により解約された事実を認めた後、原・被告及び訴外会社の関係、本件登録商標と比較対象商標をめぐる紛争の経過、被告が請求した登録無効審判で問題とした無効事由、審判取下げの経緯及び上記の商標使用契約の解約事由などを総合してみるとき、被告は上記の2003ダン5号登録無効審判を取り下げた時に原告との間で今後本件登録商標の効力に対し争わないよう合意したと見るのが相当であるため、上記の審判取下げと合意によって本件登録商標に対する登録無効審判を請求できる被告の利害関係は消滅され本件審判請求は不適法であると判示した。

専門家からのアドバイス

商標法は審判請求の乱立防止、審判事件の沈滞解消、産業秩序の安定化を図るために利害関係人又は審査官だけが商標登録無効審判を提起することができるようにしており、これは「利益がなければ訴権がない」という民事訴訟法上の大原則による帰結である。民事訴訟法上、主に論議されるのは当事者間で訴訟取下げ又は不提訴に関する合意があるにもかかわらず、一方がその合意に違反し訴えを取り下げなかったり訴えを提起した場合であり、この時、相手側が上記合意の存在を主張すれば合意に違反した当事者の権利保護利益が認められないというのが判例の解釈である。これと関連し意匠登録無効審判の事案で大法院は「意匠登録無効審判の係属中に当事者間で争わないよう合意した場合、審判請求人の利害関係が消滅される」と判示したところがある(大法院2000年1月21日言渡99フ2198判決)。本件において被告が本件登録無効審判を請求した当時、原・被告間の既存の合意が既に解約された状態であったとの点などの争点に関して今後の大法院の判断があり得るが、既存の合意が被告の約定使用料未払いという帰責により解約されたという点を考慮すれば、本件において被告の利害関係を否定した法院の態度は一応妥当であるものと評価される。

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