知財判例データベース 共有特許権の無効審決に対する審決取消訴訟は、共有者全員が提起しなければならない共同訴訟ではないとした事例
基本情報
- 区分
- 特許
- 判断主体
- 特許法院
- 当事者
- ○○(原告)、株式会社ムヨンアメックス建築士事務所(共同訴訟参加人)v. 株式会社ソンウォンエンジニアリング(被告)
- 事件番号
- 2008ホ7690、2008ホ11866(共同訴訟参加)
- 言い渡し日
- 2008年11月13日
- 事件の経過
- 上告
概要
222
特許権の共有者がその特許権の効力に関する審判で敗訴した場合に提起する審決取消訴訟は共有者全員が共同で提起しなければならない固有必須の共同訴訟ではなく、共有者1人が単独で審決取消訴訟を提起できるものであるため、これに対する他の共有者の共同訴訟参加は実質的に新訴提起の性格を有し、提訴期間などの訴訟要件を備えなければならない。
事実関係
被告は、2006年8月8日に共有特許権者である原告、共同訴訟参加人、訴外株式会社(以下、「原告等」とする)の特許に対して登録無効審判を請求し、特許審判院は2007年7月30日に被告の請求を認容する審決を下した。その後、本件審決文は2007年8月3日に原告の訴訟代理人に、2008年5月23日に共同訴訟参加人に各々送達され、訴外株式会社は2008年6月10日に本件特許発明に対する自身の権利を放棄した。原告は特許審判院の審決に対して2008年6月20日に取消訴訟を特許法院に提起し、共同訴訟参加人は2008年10月11日に本件参加申請を法院に提出した。
判決内容
原告と共同訴訟参加人は、特許権の共有者がその効力に関する審判で敗訴した場合に提起する審決取消訴訟は共有者全員が共同で提起しなければならない固有必須の共同訴訟であるため、本件訴は共同訴訟参加人が本件審決文を送達された時点の2008年5月23日から30日の提訴期間内に共有者である原告により提起されただけではなく、共有者のうちの1人であるが本件審決後の2008年6月10日に本件特許発明に関する自身の権利を放棄し、残りの共有者である共同訴訟参加人が共同訴訟参加をすることによって原告適格の欠陥も是正されたため、本件訴え及び参加申請は適法であるという趣旨の主張をした。しかし、法院は特許権の共有者がその特許権の効力に関する審判で敗訴した場合に提起する審決取消訴訟は共有者全員が共同で提起しなければならない固有必須の共同訴訟であるとは言えず、共有者のうち1人でも、当該特許登録を無効とするか、権利行使を制限・妨害する審決がある時にはその権利の消滅を防止したり、その権利行使の妨害排除のために単独でその審決の取消を求めることができ、その提訴期間など訴訟要件は当該訴訟を提起した共有者を基準に判断しなければならないため、本件訴えが固有必須の共同訴訟であるという前提下の原告及び共同訴訟参加人の上記の主張は理由がないと排斥し、結局、原告の本件訴えと共同訴訟参加人の参加申請は提訴期間を経過し不適法であるとしてこれを全て却下した。
専門家からのアドバイス
特許権者が多数である共有特許権の場合、複雑な法律関係が発生し得るが、このような共有者間の利害関係を調整するために特許法は持分譲渡又は実施権の設定時、他の共有者の同意を得るようにしている。しかし、特許法は共有特許権に関する訴訟に対しては別途の規定を設けていないところ、これに対しては一般民事訴訟法の規定と法原理を適用して処理せざるを得ない。これと関連し大法院は商標権の共有者が提起した審決取消訴訟は合一的確定が要求される固有必須の共同訴訟ではないと判示しているところ(大法院2004年12月9日言渡2002フ567判決)、本判決は上記の大法院判決の趣旨に従ったものと理解される。特許権の共有者が提起する審決取消訴訟は固有必須の共同訴訟でないことから、当初原告として訴訟に参加できなかった他の特許権共有者は訴訟中に共同訴訟参加の方式で訴訟に関与することができる。ただし、そのような共同訴訟参加は新訴提起の性格があるため、参加は提訴期間遵守といった訴訟要件を必ず備えなければならず、この点には十分注意をする必要がある。
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