知財判例データベース 2人以上が共同で請求した無効審判審決に対する審決取消訴訟は審判請求人全部を相手取らなければ訴の利益がない
基本情報
- 区分
- 特許
- 判断主体
- 特許法院
- 当事者
- ソン・○○(原告)v. ジョン・○○(被告)
- 事件番号
- 2006ホ5287
- 言い渡し日
- 2007年03月14日
- 事件の経過
- 上告
概要
162
共同審判請求人を相手取った審決取消訴訟は固有必要的共同訴訟ではない類似必要的共同訴訟に過ぎないため、原告が共同審判請求人のうち一部を欠落したまま訴えを提起したのであれば、その後欠落した一部の共同審判請求人に対する当事者追加申請をすることはできず、その審決のうち欠落した共同審判請求人に対する部分が提訴期間の経過で確定した場合であれば、原告が他の一部共同審判請求人を相手取って提起した審決取消訴訟は訴えの利益がなく不適法である。
事実関係
被告と訴外会社は共同で、原告の登録特許発明が公知の発明から容易に発明でき進歩性がないという理由で登録無効審判を請求したところ、特許審判院は同じ理由で被告と訴外会社の請求を認容する無効審決をした。これに対して原告は、審判請求人のうち被告だけを相手取って上記の審決取消を求める訴えを提起した後、訴訟進行中欠落した訴外会社を被告に追加して欲しいという当事者追加申請をした。
判決内容
共同訴訟人のうち一部が欠落したときに第一審弁論終結時まで欠落した当事者の追加を申請することができる必要的共同訴訟とは、共同訴訟人のうち一部が欠落することにより当事者適格に欠陥が生じる固有必要的共同訴訟の場合だけを意味するものであって、単に判決の効力が第三者に拡張されるために判決が合一に確定される必要性のみが認められるだけの類似必要的共同訴訟の場合まで含むものではないと言えるところ、本件訴えのように同一の特許権に関して2人以上が共同で無効審判を請求することにより行われた1つの審決に対する審決取消訴訟は共同訴訟人同士の訴訟の共同まで強制される固有必要的共同訴訟ではないため、原告の当事者追加申請は不適法である。
このような経緯から訴外会社に対してはその提訴期間内に本件審決の取消を求める訴えが提起されなかったため、本件審決のうち訴外会社の審判請求に対する部分は既に確定し、従って本件登録発明はその無効審決が確定した状態に至ったため、本件訴えは訴えの利益がなくなった。
もしも、これとは異なり共同無効審判請求人のうち1人に対する審決取消訴訟を提起するだけで残りの共同審判請求人に対する審決も確定されないと解釈すると、その残りの共同審判請求人に対する関係においては、提訴期間は経過したのにその審決は未確定状態になるという結果になり(一般的に確定とは不服期間の経過を意味する)、本来1つの特許に対する無効審判は共同で請求することが強制されず、審判手続きが併合されない以上(併合と分離は全て任意である)別個に進められ、別途の審決が下され各々確定されるはずであるところ、共同で審判請求されたり併合されたという偶然の事情によりその結果が変わってしまう理由を説明することができず(1人に対する審決不服は特許法第139条第4項所定の審判手続きの中断や中止事由に該当しない)、審決で敗訴した審判請求人が審決取消訴訟を提起するとき、勝訴可能性が高い者のみを相手取って提訴する等、任意的被告選択が可能になる反面、被告として選択されなかった者は提訴事実を知ることができず審決取消訴訟手続に参加することもできずに自身が勝訴した審決が取り消されるという不利益を被る可能性があり、自ら提訴期間を遵守しなかった審決不服の当事者を保護する理由はない。従って、原告の本件当事者追加申請は棄却し、本件訴えは不適法であるため、却下する。
専門家からのアドバイス
固有必要的共同訴訟とは、訴訟共同が法律上強制され、また合一確定の必要がある共同訴訟であって、多数の人に訴訟遂行権が共同で帰属し多数の人が共同で原告又は被告にならなければ当事者適格を失い不適法になってしまう場合を言う(従って民事訴訟法はこのような固有必要的共同訴訟での不適法を解消するための手段として当事者の追加申請を認めている)。大法院は固有必要的共同訴訟の範囲を非常に厳格に解釈しているが、共有特許権者が当事者となる場合、合一確定が必要であり共有者全員が当事者にならなければ不適法になる必要的共同訴訟と判示したこともあるものの(1987年12月8日言渡87フ111判決)、同一の特許権に関して2人以上が共同で無効審判を請求することによって下された1つの審決に対する審決取消訴訟である本件の場合について、特許法院は、訴訟共同が法律上強制されることもなく合一確定が要求されることもないから固有必要的共同訴訟ではなく、従って当事者追加申請が認められないと判断した。このように多数人を相手とした共同訴訟で相手側当事者の選択を誤った場合、手続的なミスにより自身の主張を十分に陳述することもできないまま却下されてしまう場合が発生し得るため、相当な注意を払うべきである。
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