知財判例データベース 登録考案の国際特許分類記号が比較対象考案の国際特許分類記号と互いに異なるにもかかわらず、進歩性の判断時に考慮される技術分野が互いに同一であると判断した事例

基本情報

区分
実用
判断主体
特許法院
当事者
株式会社ビョクジンジオテクニクス(原告)v. チョソク建設産業株式会社(被告)
事件番号
2006ホ6945
言い渡し日
2007年01月19日
事件の経過
確定

概要

161

同一分野の技術であるとしても機能により分類したのか使用目的により分類したのかによって国際特許分類(IPC)が異なり得るため、国際特許分類(IPC)記号が異なるからと言って必ずしも技術分野が異なるとは言えない。

事実関係

原告は本件登録考案の権利者であり、被告が本件登録考案は比較対象考案に比べて進歩性がないという理由で請求した実用新案登録無効審判に対し、特許審判院が被告の請求を受け入れ本件登録考案が無効であるという趣旨の審決を下したところ、これに対して審決取消訴訟を提起した。

判決内容

本件登録考案は空気圧により砂を移送する装置に関するものであるのに対して、比較対象考案1は空気圧により土砂を搬送する方法に関するもので、両考案はいずれも空気圧を利用し土砂を移送する建設、土木機械分野に属するものである。

原告は、本件登録考案の国際特許分類(IPC)記号はE02B 3/00(河川、海岸又はその他海域の管理又は利用に関する工事)であるのに対して、比較対象考案1の国際特許分類(IPC)番号はE02F 7/00(掘削用移送又は分離用装置)又はB65G 53/00(物質が浮上することにより、又はガス、液体又は泡の流れにより筒、パイプ又はチューブの中の物質を運搬するもの)で互いに異なり、技術分野も互いに異なるものであると主張したが、本件登録考案の国際特許分類(IPC)は用途又は使用場所(土木工事の種類)により決定されたものであるのに対し、比較対象考案1の国際特許分類(IPC)は考案の機能ないしメカニズムに基づいて決定されたもので、同一の分野の技術であっても機能によって分類したのか、若しくは使用目的によって分類したのかの観点により国際特許分類(IPC)が異なり得るため、国際特許分類(IPC)が異なるからと言って技術分野が異なるとは言えない。

また本件登録考案は比較対象考案1、3と構成及び効果が実質的に同一であり、比較対象考案1、3の構成要素を結合してなし得るものとして、その結合に技術的困難性を認めることができず、比較対象考案で予測できる効果の合計以上の相乗効果が認められないため、進歩性を認めることができず原告の請求を棄却する。

専門家からのアドバイス

特許分類の世界的統一のために発効された国際特許分類に関するストラスブール協定が産業別区分でない機能別区分を基本とするのに対して、進歩性判断時に考慮される引用発明と出願発明の技術分野とは主にその発明が実際に属する産業分野を指すが、進歩性に関する争いがある場合、関連当事者らは特許分類(IPC)が異なれば発明が属する技術分野も異なるのではないかと誤解し易い。本件でも考案者である原告は登録考案と比較対象考案の国際特許分類(IPC)が異なりその技術分野が相違するため、登録考案に進歩性が存在するという主張を展開したが、進歩性の判断時に考慮される技術分野は国際特許分類(IPC)という形式的な基準ではなく、実際にその技術が使われる産業分野が同じであるかどうかが問題になるということを忘れてはならない。

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