知財判例データベース 不使用を理由とする登録取消審判で取消を求めるその指定商品に対する審判請求人の類似商品登録可能性は考慮事項ではないと判示した事例

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被審判請求人の商号や商標の周知性が認められるとしても、これと類似の商標登録を公益上許容するかしないかという問題は、そのような商標出願があった場合、商標法所定の商標登録要件に関する各規定により判断することであって、商標登録取消審判請求事件ではこれを考慮するものではない。

被告は、原告の登録商標がその指定商品のうち「アロエ汁が含まれた野菜ジュース」に関して審判請求日前、継続して3年以上国内で正当な理由なしに使われなかったため、上記の指定商品に関する登録が取消されなければならないとして登録取消審判を請求し、特許審判院は被告の請求を認容する審決を下した。これに対し原告はその審決の取消を求める訴訟を特許法院に提起して「登録商標の要部である‘ナムヤンアロエ’部分は国内の取引者や需要者らの間で周知・著名性を取得し、本件登録商標の指定商品のうち、本件取消審判が請求された「アロエ汁が含まれた野菜ジュース」と残りの指定商品である「アロエ汁、アロエ汁が含まれた野菜汁、アロエ汁が含まれた植物汁」などは実質的に同一であるか、類似の商品であるため、仮に本件登録商標のうち、アロエ汁が含まれた野菜ジュースに対する商標登録が取消されるとしても、原告の先使用周知・著名商標と残りの指定商品に対する本件登録商標の存在により被告は取消される商標を適法に使用したり登録を受けることができないため、被告の本件審判請求は、権利保護の利益ないし審判請求の利益が認められないにもかかわらず審判請求権を濫用し提起されたものであって不適法である」との主張を提起した。

本件で法院は、被告が1997年頃から冷蔵ジュースなど飲料製品を生産・販売している事実、被告が2002年5月14日登録番号第0520401号として「남양알로에(ナムヤンアロエのハングル)」を指定商品「飲料用野菜ジュース(アロエ成分が含まれたものに限定する)、アロエジュース」などについて商標登録を受け、2004年6月7日登録番号第0584358号として「남양알로에生(ナムヤンアロエのハングル＋生)」を指定商品「非アルコール性果物ジュース(アロエ成分が含まれたものに限定する)」などについて商標登録を受けており、これらの商標に対して、原告が2005年12月26日付で登録無効審判を請求した事実を認めた。この事実に基づいて法院は、「被告は本件登録商標の指定商品と類似の商品を製造・販売する者として、本件登録商標と類似の商標を使用しており、原告から商標権の対抗を受けているため、本件登録商標の消滅に直接的かつ現実的な利害関係のある者であると言える。そして、被告が本件登録商標の取消後、これを使用したり登録を受けることができるかどうかは、被告がそのような商標を使用することにより権利範囲確認などが請求されたり、又は侵害訴訟が提起されたり、商標出願をした時に商標法所定の各規定により判断することであって、本件商標登録取消審判請求事件では考慮する事項ではない」との理由で原告の主張を排斥した。

商標の不使用を理由とする登録取消審判は、商標権者が具体的な使用意思もなく実際に長い間登録商標を使用していない指定商品に対して商標法上の独占・排他的な権利を認めることは不当であるという趣旨の不使用商標権者に対する制裁規定であるから、公益的見地から取消審判を請求することができる利害関係人の範囲が幅広く認めらてしかるべきであるし、登録取消審判の趣旨に照らせば、後日、審判請求人が取消された指定商品に対する類似商標を出願し登録を受けることができるかどうかは、登録取消を決定することにおいて考慮要素になり得ないという点から原告の審判請求権濫用主張を排斥した本件判決は至極妥当であると言える。他人に対して権利を行使しようとする商標権者は、自分に不使用取消審判の対象となる指定商品はないか予め検討し、相手側から逆に攻撃を受けないよう最大限防御策を講じておく必要がある。