知財判例データベース 登録サービスマークの一部と同じドメイン名であっても直ちに商標法上の出処表示機能を持つとは言えない
基本情報
- 区分
- 商標
- 判断主体
- 特許法院
- 当事者
- 株式会社ベ○ハウス(原告)v. ボ△メディアンス株式会社(被告)
- 事件番号
- 2006ホ8415
- 言い渡し日
- 2007年01月25日
- 事件の経過
- 被告上告
概要
156
ドメイン名が、一般需要者や取引者をそのドメイン名で開設されサービスの提供に使われるウェブサイトに誘引することはドメイン名自体の本質的な機能であって、これを挙げて直ちにドメイン名自体が商標法上のサービスマークとして使われたとは断定できない。また、ウェブサイトの営業に使われる別途のサービスマークにそのウェブサイトのドメイン名が含まれている場合であっても、ドメイン名の部分が全体サービスマークの構成において識別力が非常に微弱な部分に該当するときはそのドメイン名が商標法上のサービスマークとして出処表示機能をするとみることはできない。
事実関係
被告は指定役務の乳児用品販売代行業などに対する「 」標章の登録サービスマーク権者であって、原告が運営する育児用品販売ウェブサイトのドメイン名「www.bebehouse.com」(以下「確認対象のサービスマーク」とする)が被告の登録サービスマークの権利範囲に属すると主張してサービスマークの権利範囲確認審判を請求した。これに対して特許審判院は、確認対象のサービスマークは登録サービスマークと標章及び役務が類似し、一般需要者や取引者をしてサービスの出処に関して誤認混同を引き起こす懸念があるためその権利範囲に属すると判断し、被告の請求を認容する審決をした。これを不服とした原告は、確認対象のサービスマークは単純にドメイン名であるだけで、さらに上記の役務を行うことにおいては「(ベベハウスのハングル+www.bebehouse.com)」という独自の別途の登録サービスマークを使用しており、確認対象のサービスマークが商標法上サービスマークとしての機能を有するとは言えないことを挙げて控訴した。
判決内容
特定のドメイン名でウェブサイトを開設し営業をすることにおいて、ドメイン名が一般需要者や取引者らを該当ウェブサイトに誘引する役割をしても、これはドメイン名が持つ本質的な機能に該当するものであるため、これを挙げて直ちに商標法上サービスマークの出処表示機能に該当するとみることはできず、特にそのウェブサイトで提供する役務に使われる独自の別途のサービスマークが存在する場合には、その別途のサービスマークがサービスの出処を表示するとみることが妥当であるため、ドメイン名自体が直ちに商標法上のサービスマークとして使われたとは言えない。
したがって、事案で原告が確認対象のサービスマークをドメイン名にしてウェブサイトを開設した後、育児用品販売業をしてきた事実だけで確認対象のサービスマークが商標法上のサービスマークとして使われたと断定できないだけではなく、原告が上記の役務に使用した独自の別途の登録サービスマークがサービスの出処表示機能を遂行すると考えるのが妥当である。これはたとえその別途の登録サービスマークの構成に確認対象のサービスマークが含まれているとしても、確認対象のサービスマークがサービスマークの下段部分に一般需要者や取引者の注意を引き難い程度に小さく配置され、他の構成部分であるハングル「베베하우스(ベベハウスのハングル)」に比べて識別力が認められない限り別々に見るべきものではないので、これを根拠に確認対象のサービスマークが商標法上のサービスマークとして使われたと認めることもできない。
したがって、これと結論を異にした審決は違法であり、ここに原告の請求を認容して上記の審決を取消す。
専門家からのアドバイス
ドメイン名が商標法上、商標又はサービスマークとして使われているものと認められるためには、単純にウェブサイトのアドレスとしての使用を超えて、さらに該当ウェブサイトで販売する商品やその営業を表示する別途の標識としての使用が認められなければならず、そうでない場合、商標的使用に該当しないため商標権の効力は及ばない。上記判決の事案も確認対象のサービスマークをウェブサイトのアドレスとしてのみ使用したもの(独自の別途のサービスマークに確認対象のサービスマークが含まれていたが、その使用態様のために識別力が認められなかった)として登録サービスマークの権利範囲に含まれると認められなかったケースである。ウェブサイトが電子商取り引き及び製品・サービス広報の重要な手段として認識されている昨今では、ドメイン名を先行獲得しなければ商標権者であるとしても上記のようにウェブサイトのアドレスとして使用できない場合が往々にして発生し得る。もちろん、ドメイン名の登録、使用が無権利者の不正な目的によるものであるという点を立証できれば、不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律などにより該当ドメイン名の登録抹消を請求できるが、事前に必要なドメイン名を確保することが時間と費用の側面からはるかに有利な場合が多いのが実情である。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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