知財判例データベース 改正前に出願された特許に対する審決取消訴訟の提訴期間は、経過規定により土曜日に満了したとされた事例
基本情報
- 区分
- 特許
- 判断主体
- 特許法院
- 当事者
- 株式会社ノーチラスヒョソン(原告)v. 株式会社エルジーエンシス(被告)
- 事件番号
- 2006ホ4987
- 言い渡し日
- 2007年04月12日
- 事件の経過
- 上告
概要
164
改正された特許法(2006年3月3日法律第7871号)は土曜日を公休日と規定しているが、付則には改正法施行当時の従来の規定により提出された特許出願に対する訴訟などは従来の規定によると規定しているため、1997年12月17日に出願された本件特許発明に対する登録無効審決を不服とする本件訴訟の提訴期間は原告が審決謄本の送達を受けた2006年5月4日から暦上30日に該当する2006年6月3日(土)に満了する。
事実関係
原告は、本件特許発明が公知発明から容易に導き出され得るものであるため、登録無効であると主張し登録無効審判を請求し、これに対し特許審判院は2006年4月28日の本件特許発明のうち、一部発明は進歩性が認められないが、残りの発明は進歩性が認められるという理由で原告の請求を一部棄却する審決をした。原告は2006年5月4日にその審決謄本の送達を受け、2006年6月5日に上記の審決のうち、棄却部分の取消を求める本件訴訟を提起した。原告は30日の提訴期間遵守と関連しては、審決の送達を受けた日から30日になる2006年6月3日が土曜日なので翌週の月曜日である2006年6月5日に本件を提起したため、適法であると主張した。これに対して被告は、特許法第14条第4項は特許に関する手続きにおいて土曜日を公休日とみなしているが、審決取消訴訟の提起は法が規定した「特許に関する手続き」に該当しないため、原告の本件訴訟は提訴期間が満了した後に提起されたものとして不適法であると主張した。
判決内容
特許法第186条第3項によれば、審決に対する不服の訴えは「審決の謄本の送達を受けた日から30日以内」に提起しなければならず、同法第14条第4号は「特許に関する手続きにおいて期間の末日が公休日(土曜日を含む)に該当する時には期間はその翌日に満了する」と規定しており、同法第3条では特許に関する手続きを「特許に関する出願・請求その他の手続き」を意味するものと規定している。従って、審決取消訴訟の提起が「特許に関する出願・請求その他の手続き」に該当するかが問題となり得るが、改正特許法(2006年3月3日法律第7871号)付則第6条本文によれば、上記の法施行に関する一般的経過措置として「上記の法施行当時従来の規定により提出された特許出願に対する訴訟などは従来の規定による」と規定されているため、1997年12月17日に出願された本件特許発明に対する登録無効審決を不服とする本件訴訟に関しては上記の出願当時に適用され得る「従来の規定」が適用されなければならない。
ところが従来の規定には公休日に土曜日が含まれていないため、本件訴訟はそれが特許に関する手続きに該当するかどうかとは無関係に、その提訴期間は原告が審決謄本の送達を受けた2006年5月4日から暦上30日に該当する2006年6月3日(土)までである。従って、本件訴えは提訴期間を過ぎて提起されたものとして不適法である。
専門家からのアドバイス
訴訟と関連した提訴期間の遵守は当事者ら及び代理人らが注意しなければならない最も基本的な事項の中の一つであり、その重要性はいくら強調しても強調し過ぎではない。また、本件のように法律の改正がある場合には必ずその経過規定を見て改正された法条項の適用範囲を確認するのが重要である。本件についてはまだ大法院の最終的な判断が残っているが、改正特許法(2006年3月3日法律第7871号)の施行より前に従来の規定によって提出された特許出願に対する訴訟などに関する期間は本判決の趣旨の通り遵守することが望ましい。
さらに留意しておきたいのは、この判決では、『審決取消訴訟の提起が「特許に関する出願・請求その他の手続き」に該当するか問題となりうるが…』と言及したのみで該当するかどうかについては明示していない点である。すなわち、改正法施行後の特許出願であっても、それに対する審決取消訴訟や上告のような裁判手続きについては、期間末日が土曜日であっても翌週月曜日に延長されないという解釈がなされる可能性があるため、当分の間は、特許法院や大法院への裁判手続きについては「土曜日は公休日ではない」と銘じておくのが無難である。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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