知財判例データベース 不正競争防止法上の商品形態模倣行為として認められた事例

基本情報

区分
不正競争
判断主体
ソウル中央地方法院
当事者
マテルInc他2(原告)v. 株式会社カッパコリア(被告)
事件番号
2007ガ合44939
言い渡し日
2007年12月26日
事件の経過
確定

概要

195

不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(以下「不正競争防止法」)における商品形態模倣行為とは、他人が製作した商品の形態(形状・模様・色彩・光沢またはこれらを結合したものを言い、試作品または商品紹介書上の形態を含む)を模倣した商品を譲渡・貸与、又はこのための展示をしたり、輸入・輸出する行為を言い、上記規定は商品開発に資本・労力を投資した市場先行者の開発利益を保護するために、いわゆるデッドコピーのように複製やそれに準ずる行為を禁止することにその立法趣旨があるとみられるので、ここで「模倣する」という意味は、後行者が先行者の商品形態に基づいて、その形態が同一または実質的に同一であるとみられる商品を作ることであって、実質的に同一かどうかは比較製品の間において変更された内容の異同及び程度、変更着想の難易度、変更による形態的効果等を総合して判断すべきであり、必ずしも商品形態の全体を模倣しなければならないとか、他人の製品の形態が独創的であることをその要件とするわけではない。

事実関係

国内外に広く知られているファッション人形のバービー(Barbie)キャラクター関連商品に関して全世界にわたって商標権等の権利を保有している原告は、ライセンス契約を通じて横面に花柄びハート模様が配置され、歩く度に光る(以下「ライト機能」)電球がハートの中央に配置されている等の形態を有する靴(以下「原告靴」)を販売していたが、過去に原告のライセンシーからサンプルの提供を受けて靴を製作していた被告が原告の靴と類似する靴(以下「被告靴」)を輸入して販売するや、不正競争防止法によって差し止められる商品形態模倣行為であることを理由に侵害差止を請求し、これに対して被告は上記形状及び機能は一般的なものであって、被告の靴は靴の有する通常の形態によるものにすぎないという点等を挙げて争った。

判決内容

法院は、不正競争防止法上の商品形態模倣行為において「模倣する」という意味は、後行者が先行者の商品形態に基づいて、その形態が同一または実質的に同一であるとみられる商品を作るものであり、実質的に同一かどうかは比較製品との間において変更された差異の内容及び程度、変更着想の難易度、変更による形態的効果等を総合して判断すべきであり、必ずしも商品形態の全体を模倣しなければならないとか、他人の製品の形態が独創的であることをその要件とするわけではないとし、原告の靴・被告の靴の花柄模様、ハート模様、ハートの中央に付されたライティング機能をつけた電球、パステル色調等が類似する点及び被告と原告のライセンシーとの関係等に照らして、被告の靴は原告の靴の商品形態に基づいてその形態が実質的に同一に作られた製品であり、原告の靴を模倣したものと判示した。また法院は、原告の靴の花柄模様、ハートの装飾、ライティング機能はその独創性の有無は別論として、製品の主な特徴として形態の主要部分であり、被告の靴が模倣した程度は、靴製品が通常持つ形態を模倣したものであるとはいえず、原告の靴・被告の靴において相違する部分はその程度と内容が易しくて些細であり、製品の差別的・特徴的部分とは関係ないと判示し、被告の抗弁を全て排斥した。

専門家からのアドバイス

不正競争防止法は、2004年1月20日にようやく他人の商品形態を模倣する行為を不正競争行為と規定することになったが、他の不正競争行為とは異なり刑事処罰規定がなく、商品の試作品の製作など商品の形態が整った日から3年が経過した後は同規定の適用を受けられない等、その保護が不十分であるという指摘があった。また、商品形態の模倣行為をどの程度まで模倣と認めるかについて多少議論があったが、上記規定が施行された後、複数の下級審判例を通じてその法的基準が出来上がってきた。特に本判決は、法院が不正競争防止法上の商品形態模倣行為に該当するためには、商品形態の全体を模倣しなければならないとか、他人の製品の形態が独創的であることを要件としないと明示的に述べ、権利者の保護により重点をおいており、上記規定が十分であるかは別としても、侵害者に関する権利者の効果的な対応手段として位置付けられるものと評価できる。

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