知財判例データベース 不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律第2条第1号(ホ)目で定めた商品の生産、製造、加工地域の誤認を起こさせる標識の意味を判断した事例

基本情報

区分
不正競争
判断主体
大法院
当事者
被告人
事件番号
2004ド5124
言い渡し日
2006年01月26日
事件の経過
確定(上告棄却)

概要

119

不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律第2条第1号(ホ)目で「商品の生産、製造、加工地域の誤認を起こす」とあるのは、取引の相手側が実際に誤認に至ることを必要とするのではなく一般的な取引者、即ち平均的な人物の注意力を基準に取引観念上事実と異なって理解される危険性があれば充分である。

事実関係

被告人は豆腐製品の生産・販売において、豆腐を運搬する時に使用する容器と豆腐を入れるビニール包装に「草堂」という文字を使用した。これに対して原審は「草堂」という名称が他の地方で生産される豆腐とは異なり海水を直接にがりとして使用し特別な味のする豆腐を生産する江陵市草堂村を示す地理的名称として、不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律第2条第1号(ホ)目で定めた商品を生産、製造又は加工する地域の名称に該当すると判示した。これに対して被告人は、「草堂」という名称が豆腐の一種類を示す普通名称になっているだけではなく被告人と取引した実際の取引相手らが被告人の豆腐が草堂村で生産されたものではないという事実を知っていたため、いかなる誤認も引き起こさなかったとして上告した。

判決内容

「草堂」という名称は海水を直接にがりとして使用し特別な味のする豆腐を生産する江陵市草堂村を示す地理的名称として知られているだけであり豆腐に関する普通名称であるとは言えない。また、不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律第2条第1号(ホ)目で「商品の生産、製造、加工地域の誤認を起こす」とあるのは、取引相手が実際に誤認に至ることを必要とするのではなく、一般的な取引者即ち平均的な人物の注意力を基準に取引観念上事実と異なって理解される危険性があることを意味し、このような誤認を起こす標識には直接的に商品について虚偽表示をすることはもちろん、間接的に商品について上記のような誤認を引き起こさせる暗示的な表示をすることも含まれる。従って、被告人が「草堂」という名称を含む標識を豆腐の運搬容器及びビニール包装に使用した結果、一般需要者らが上記のような運搬容器に入れられ、又はビニール包装されて販売された豆腐が「草堂」という地域で生産又は加工されたものと誤認する危険性があると見るべきものである。従って、これを認めた原審の判断は正当であり被告人の上告は理由がない。

専門家からのアドバイス

ある商品が生産・製造又は加工された地域以外の所で生産又は加工されたかのように誤認を起こさせる標識をしたり又はこのような標識をした商品を販売・配布又は輸入・輸出する行為は不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律により禁止されている。上記の判決はこのような誤認可能性の一般的な判断基準を説示しているところ、このような基準に照らしてみた時、生産地・製造地・加工地など出処地に関する誤認を呼び起こす可能性のある標識を使用していないかどうか常に確認する必要がある。この場合、直接的であれ間接的であれ消費者の観点から誤認の可能性がある標識を使用しているかどうかが重要であるため、商品それ自体だけではなく商品の包装や説明書、広告などにも出処地を混同させ得る標識があってはならないという点を留意しなければならない。

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