知財判例データベース 完成品と付属品の関係にある指定商品を商標法第7条第1項第7号の同一・類似商品に該当するとした事例
基本情報
- 区分
- 商標
- 判断主体
- 特許法院
- 当事者
- パノルコーポレーション(原告)v.特許庁長(被告)
- 事件番号
- 2005ホ7750
- 言い渡し日
- 2006年01月12日
- 事件の経過
- 未確認
概要
111
出願商標の指定商品“自動車、飛行機などの尾灯、方向表示灯、室内灯、前照灯、車幅灯及び後進灯”と先登録商標の指定商品である“自動車、飛行機”などは完成品と付属品の関係として商標法第7条第1項第7号の同一・類似商品に該当する。
事実関係
原告は2003年8月29日付で本件出願商標“MAXXIMA”を登録出願したが、特許庁は2004年11月12日付で本件出願商標が先登録商標(“NISSANMAXIMA”、“NISSANMAXIMA”、“MAXIMA”)の標章及び指定商品と同一・類似であるので商標法第7条第1項第7号(先の出願による他人の登録商標と同一又は類似の商標であってその指定商品と同一又は類似の商品に使用する商標は、商標登録を受けることができない)に該当するという理由で拒絶決定をした。原告は2004年12月9日付で上記の拒絶決定を不服とし特許審判院に拒絶決定不服審判を請求したが、特許審判院は、本件出願商標は‘最大、極大’の意味を持った“MAXIMUM”の複数型である“MAXIMA”の4番目の文字に“X”を追加したものとして先登録商標の要部である“MAXIMA”と類似しており、指定商品も完成品と部品の関係にある同種のものであって一般需要者や取引者にその商品の出処に関する誤認・混同を生じさせるおそれが大きいため、特許庁の拒絶決定は正当であるとし、原告の請求を棄却する審決を下した。これに対し原告は特許法院に審決取消訴訟を提起した。
判決内容
本件出願商標と先登録商標の標章はいずれも“MAXIMA”を要部にするか、又は、要部として認識され呼称されて、互いに類似すると言えるものである。また、本件出願商標の指定商品は自動車、船舶、飛行機などのような輸送機機の照明部品である“発光ダイオードにより稼働される尾灯、方向表示灯、室内灯、前照灯、車幅灯及び後進灯”であり、先登録商標の指定商品は“自動車、船舶、飛行機”などのような輸送機器自体であって、その指定商品の形状と用途が一致するものでは全くないが、本件出願商標の指定商品と先登録商標の指定商品のうち“自動車”関連部分は一般自動車の需要者が使用する自動車自体とその付属品の関係であり、本件出願商標の指定商品は専ら完成品である自動車など輸送機器にのみ装着されて使われるものであり、また完成品の外観で占める割合が非常に高いものとしてその完成品の固有な特性を表す役割も遂行する点に照らし、一般需要者らが“前照灯”のような照明灯に完成品と同一の標章が表示されている場合、その部品の出処が自動車の完成品製造メーカーであると誤認・混同するおそれが大きい。さらにこのような完成品に使われる部品の場合にはその完成品の製造メーカーから純正部品として完成品の商標が付された部品を一括的に供給する場合もあることが取引の実情であることに照らしてみれば、その生産部分が異なるとは見難い。また、需要者の範囲も完成品を購入する時点では異なると言えるものの、完成品を使用する間には完成品の需要者がとりもなおさず部品の需要者になるわけであるため、需要者部分も異なるとは言えない。さらに、販売部分においては自動車の場合、完成品はその代理店で主に行なわれ、照明灯のような部品は整備企業などで行なわれるが、自動車の製造メーカーが自動車の整備工場を直営しながら部品を交換、販売する場合もあるため、販売部分が全く異なるとも言えない。このような事情を総合してみれば、両指定商品は類似の商品であると言え、従って、本件出願商標と先登録商標はその標章及び指定商品が類似し、一般需要者や取引者にその商品の出処に関する誤認・混同を生じさせるおそれが大きいため、これと結論を同じくした特許審判院の審決は適法である。
専門家からのアドバイス
上記の事件で比較対象商標の標章自体の類似性は原告も明確に争わない程に容易に認められるものであるため、主な争点はその指定商品が類似するかどうかにあった。これについて同判決は該当指定商品が完成品と付属品の関係にあるという前提の下でその付属品の用途と完成品に占める割合、生産・販売・需要の具体的な取引実情を総合的に考慮し両指定商品が類似の商品であると判断した。全く種類が異なる商品の間にはたとえ同一の商標を使用しても特別な場合を除いては混同が生じない場合が多いが、同判決の事案のように完成品と付属品の関係にある場合にはとりあえず種類が異なる商品であるとしても商標登録の障害となる類似商品として見なされる点に留意しなければならない。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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