知財判例データベース 一つの商標から分割移転された商標でも、別途に出願されたものである以上、分割前の先登録商標は他人の商標に該当すると見た事例
基本情報
- 区分
- 商標
- 判断主体
- 特許法院
- 当事者
- 株式会社○○○(原告)v. ○○○コ(被告)
- 事件番号
- 2005ホ8272
- 言い渡し日
- 2006年01月13日
- 事件の経過
- 未確認
概要
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商標法第7条第1項第7号所定の他人の商標に該当するかどうかは登録商標の出願時を基準に判断しなければならないため、たとえ一つの商標から分割移転された商標であってもその後に別途に出願されたものである以上、分割前の先登録商標は他人の商標に該当する。
事実関係
訴外甲は1993年10月28日付で“猫図形+TOM & JERRY”商標を登録した後、上記の商標を分割し、その指定商品の一部であるセーター、チョッキ、Tシャツを指定商品とする商標を訴外乙に、これらの指定商品を除外した残りを指定商品とする商標を訴外丙にそれぞれ移転した。その後、乙は2002年3月26日“TOM & JERRY”だけで構成された本件登録商標を出願し2005年2月22日登録を受け、本件登録商標を原告に譲渡して移転登録した(なお、乙及び丙に分割移転された“猫図形+TOM & JERRY”商標は存続期間満了により2003年10月29日消滅した)。一方、被告は本件登録商標“TOM & JERRY”が先登録商標である“猫図形+TOM & JERRY”と類似し商標法第7条第1項第7号に該当するという理由をもって登録無効審判を請求したが、特許審判院は先登録商標は図形と文字部分に分離観察が可能であり、分離観察すれば、文字部分が本件登録商標のように呼称、観念されるので、両商標は全体的にその標章が類似し、その指定商品も類似するという理由で被告の請求を認容する審決を下した。これに対し原告は特許法院に審決取消訴訟を提起した。
判決内容
本件登録商標“TOM & JERRY”の出願人である乙が先登録商標である“猫図形+TOM & JERRY”から分割移転登録された商標の権利者である事実は当事者間に争いがないが、先登録商標が本件登録商標との関係において商標法第7条第1項第7号所定の他人の商標に該当するかどうかは、登録商標の出願時である2002年3月26日を基準に判断しなければならないところ、本件登録商標の出願時には先登録商標の権利者が登録商標の出願人(乙)ではない異なる者(丙)であり、出願人が先登録商標から分割移転登録された商標に対して商標権存続期間更新登録手続を踏まず、別途の登録商標を出願した以上、本件登録商標が先登録商標から分割移転登録された商標の地位を継承するものでもないため、先登録商標は本件登録商標との関係において商標法第7条第1項第7号所定の他人の商標に該当する。
専門家からのアドバイス
同判決は、ある特定の商標が同一人に帰属されていたが事業上やその他の理由で数人に分割移転された場合に、第三者に分割移転された商標の存在により類似商標の追加的な登録が制限され得ることを示している。核心事業への集中、リストラなどの理由で会社が分割される場合、商標権が数人の相続人に相続される場合にもこれと類似の状況が発生し得るが、このような場合、同一又は類似の他人の商標が存在し得ることを常に考慮しなければならない。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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