知財判例データベース 消極的権利範囲確認審判にて審判請求人の立証責任について判断した事例

基本情報

区分
特許
判断主体
特許法院
当事者
チェ・ジュンソク(原告)v. 株式会社ゼニアク(被告)
事件番号
2006ホ2295
言い渡し日
2006年08月02日
事件の経過
未確認

概要

134

消極的権利範囲確認審判の請求人は確認対象発明が比較対象発明の権利範囲に属さないという事由に対してこれを主張及び立証する責任があり、事件弁論の終結時までその理由に関して何らの立証をしない場合、弁論主義の原則上、該当審判請求を棄却するのが妥当である。

事実関係

被告は、被告発明の「樹脂フィルムと外皮原緞が部分的に融着され形成されることを特徴とする治療用腹帯」(確認対象発明)が、原告の登録発明である「二重気密が可能な腰推保護及び治療用腹帯」(本件登録発明)の権利範囲に属さないことを確認するために特許審判院に消極的権利範囲確認審判を請求した。この過程で被告は特に審判請求事由関連の主張や立証をしなかったが、特許審判院は被告の請求を認容する審決をした。原告はこれに対して不服控訴し、被告の確認対象発明は本件登録発明の基本的な構成要素を全て含んでいるため、本件登録発明の権利範囲に属することを主張し、本件審決の取消を求めた。

判決内容

特許訴訟は一般的に行政訴訟に該当するため、その本質に反しない限り、民事訴訟の規定を準用した行政訴訟法第8条第2項に基づき弁論主義のような民事訴訟の原理が適用されると言える。これは当事者系の訴訟である権利範囲確認審判においても例外ではないと言えるため、判決の基礎になる主要事実に対して当事者が主張しない限り訴訟資料になり得ず、証拠上明白な事実でも当事者の弁論によって明示されない限り、特許審判院がこれを採用し判断することはできない。これは仮に本件発明に関連する特許訴訟などが提起され主張及び立証された事実であるとしても同じであるため、特許審判院の権利範囲確認審判と特許訴訟がその手続上独立したものである限り、審判手続きで再度主張・立証されないと判決の資料にはならない。

本事案で、被告は消極的権利範囲確認審判の請求人として確認対象発明が本件登録発明の権利範囲に属さないという事由に対して主張・立証する責任があるにもかかわらず、本件弁論終結時までその理由に関して何らの立証をしなかったため、被告の請求を認容した原審は改めて見定める必要もなく不適法である。従って弁論主義及び証拠裁判主義の原則上、原告の請求を認容し本件審決を取り消すことが妥当である。

専門家からのアドバイス

特許無効審判請求事件で特許無効事由を十分に主張・立証したとしても、同特許に関する消極的権利範囲確認審判請求事件は別個の事件であるため、これに対しても積極的な主張・立証が必要であるという点を忘れてはならない。

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