知財判例データベース 商標の周知・著名性の判断基準時を相手商標の出願時及び登録時に判断した事例
基本情報
- 区分
- 商標
- 判断主体
- 特許法院第2部
- 当事者
- スターバックスコーポレーションD/B/A スターバックスコーヒーカンパニー(原告)v. 株式会社エルプレヤ(被告)
- 事件番号
- 2004ホ7043
- 言い渡し日
- 2005年03月18日
- 事件の経過
- 原告の上告で現在大法院(2005フ926)で係属中
概要
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原告のスターバックス社は被告が登録した商標が原告の先登録商標と同一・類似であるとして被告商標の登録無効を主張したが、法院は両標章が非類似であり、さらに被告の商標登録当時、原告の標章が広く知られていたと見ることもできないとして原告の請求を棄却した。
事実関係
原告は、被告の商標「」(以下、「本件登録商標」とする)に対して本件登録商標が、原告が登録したサービス標又は商標「」(以下、「先登録商標」とする)と同一・類似であるため、商標法第7条第1項第7号所定の商標登録を受けることができない商標に該当し、一方先登録商標は周知・著名な商標として本件登録商標がこれと共に使用される場合、需要者らをして商品出所に関し誤認・混同を生じさせるため、商標法第7条第1項第9号ないし第11号にも該当し、本件商標の登録が無効にならなければならないとして商標登録無効審判を請求した。特許審判院は原告の審判請求を棄却し、原告はこれを不服して上記の審決を取消すとの趣旨で本件請求をした。
判決内容
法院は、本件登録商標が先登録商標と同一・類似であり、商標法第7条第1項第7号に該当するかどうかについて両標章は文字の構成が相異し、呼称、同心円内部の形状、外観が異なり、両標章は特別な観念が想到されない造語商標としてその対比が不可能であって互いに非類似の標章であると判断した。一方、商標法第7条第1項第9号ないし第11号の要件に関しては、先ず商標法第7条第1項第9、10号に該当するためには、その出願時を基準に先登録商標が需要者間に顕著に認識される程度の周知・著名性が認められなければならず、第11号で規定する「需要者を欺瞞するおそれがある商標」とするためには、必ずしも周知・著名でなければならないわけではないが、その登録時を基準に少なくとも国内の一般取引において需要者や取引者にその商標と言えば特定人の商標であると認識できるほど知られていなければならず、本件登録商標の出願時又は登録時に先登録商標が外国では広く知られていたと見られるが、国内では先登録商標を使用して営業をしている店舗がソウルの6ヶ所だけであって国内でも周知・著名、又は原告の商標として知られていたと見るには充分でないと判断した。従って、本件登録商標には原告が主張する商標法第7条第1項第7号、第9号ないし第11号所定の登録無効事由が存在するとは見ることができないとした。
専門家からのアドバイス
不正競争防止法における周知著名性に関してはこれまで他の事例(ソウル高等法院第5民事部2005年2月15日言渡2004ナ19885など)でも触れているので省略するが、商標法第7条第1項第7号及び第9号ないし第11号の要件を簡略に整理したので参考とされたい。
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