知財判例データベース コンピュータプログラム不法複製行為による損害の賠償を認めた事例

基本情報

区分
著作権
判断主体
ソウル中央地方法院第13民事部
当事者
Micro soft Corporation他8社(原告)v.株式会社ディゴ
事件番号
2004ガ合65126
言い渡し日
2005年03月03日
事件の経過
確定

概要

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ハングルとコンピュータ、マイクロソフトコーポレーション、アドビシステムズを始めとした9社のソフトウェア関連企業が自社のコンピュータプログラムを無断で複製し使用してきたゲーム機、アニメーション映画製作会社を相手取って提起した損害賠償請求訴訟で法院は被告に対して原告らの請求全てを認める判決をした。

事実関係

原告らは韓国内で普及しているソフトウェア製品を製作した国内外のコンピュータプログラム会社であってこれらソフトウェアプログラムの著作権者であり、被告はゲーム機、アニメーション映画などの製作を専門とする会社である。被告は原告らから使用権を受けずに原告らのプログラムを被告のオフィス内のコンピュータに設置して使用した。これに対し原告らは被告の行為が原告らの各著作権を侵害するものであると主張し、その侵害行為による損害賠償として無断複製したコンピュータプログラムごとの販売価格に複製した回数をかけ合わせて算定した金額を支払うことを請求した。

判決内容

本件は被告の答弁書提出や被告からの応訴がなかったため、弁論なしに進められた事件である。法院は、被告が正当な権原なしに原告のプログラムを数回複製して使用し、これは原告の著作権を侵害した行為であるため、それぞれ原告に対して複製したプログラム販売価格に複製した回数をかけ合わせて算定した金額を原告らに支払わなければならないと判示した。

専門家からのアドバイス

本判決は各企業が真正品ソフトウェアに対する使用契約を締結せず、不法でプログラムを複製し使用してきた慣行に歯止めをかけた事例である。韓国企業だけでなく韓国に進出して営業する日本企業の場合も権利者よりソフトウェア使用に必要な使用権を必ず受けた後、ソフトウェアを使用しなければならないのはもちろんである。 それだけではなく、会社の管理者が知らないうちに従業員が自分の社内コンピュータに不法ソフトウェアを設置した場合にも会社が責任を負うことになる可能性が高いため、従業員が不法ソフトウェアを自ら設置できないようにするシステムを設けたり、従業員を対象に不法ソフトウェアを設置しないように適切な教育を提供しなければならず、不法ソフトウェアを設置しているかどうか定期的にモニターする必要もある。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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