知財判例データベース 同種業界で世界1位の企業であるとの理由だけでは、直ちに国内でも周知又は著名であるとは認めることができないとした事例

基本情報

区分
不正競争
判断主体
ソウル高等法院第5民事部
当事者
1.Korn/Ferry International、2.コーンフェリーインターナショナルコリア株式会社(原告、控訴人)v. コーンフェリーヘッドハンティング株式会社(被告、被控訴人)
事件番号
2004ナ19885
言い渡し日
2005年02月15日
事件の経過
原告の上告で現在大法院(2005ダ16720)で係属中

概要

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全世界的に有名な営業標識と類似の標章を使用する行為が消費者に混同を起こすだけではなく原告標章の識別力を損傷させる不正競争行為に該当するとの原告の主張に対して法院は、韓国内での営業活動により国内で周知性を獲得したとの点が立証されない限り同種業界で世界1位の企業であるとの理由だけでは不正競争防止法第2条第1号第ロ目及びハ目で各々要求する周知性又は著名性を認めることができないとした。

事実関係

原告のKorn/Ferry Internationalは世界1位のヘッドハンティング企業として米合衆国法人であり、コーンフェリーインターナショナルコリアはその韓国現地法人である。被告は高級人材の紹介及び斡旋業などを目的として設立された会社として、現在コーンフェリーヘッドハンティング株式会社という商号を使用している。被告は「CornPerry」というサービス標(以下、「本件サービスマーク」とする)を登録者より譲り受け、「콘페리(CornPerryのハングル音訳)」、「CornPerry」標章を使用している一方、原告は「Korn/Ferry International」、「Korn/Ferry」標章を登録して使用してきたが、原告の使用標章は被告が提起した登録無効審判請求が認容されたことにより無効になった。原告は被告に対し、「콘페리(CornPerryのハングル音訳)」及び「CornPerry」の名称を被告の商号、看板及びドメインネームに使用してはならないとの請求をしたが(ソウル南部地方法院2004年1月16日言渡2002ガ合15390)、法院がこれを棄却するや、これに対して控訴した。

判決内容

控訴法院は、被告が国内で広く認識された原告らの標章と類似の本件登録サービスマークなどの標章を商号、インターネットウェブサイト及びドメインネームに使用する行為が不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律で禁止している営業主体混同行為及び著名商標希釈行為に該当するとの原告の主張に対して、コーンフェリーインターナショナルは、世界的には全世界のヘッドハンティング企業のうち1位を占めるほどの売上額を出したが、韓国内の営業での売上額は市場の規模の差を認めても注目するほどの営業実績とは見難く、原告らが国内営業で著しい宣伝及び広告活動をしてきたという形跡も見つからないとの点から見るとき、国内で周知性又は著名性まで獲得したとは認められないとした。

専門家からのアドバイス

判決で特定商品・営業標識が外国で広く知られているとの事情を周知・著名性認定の一つの根拠として認容する事例も少なくない。しかし、不正競争防止法が要求する周知・著名性はあくまでも国内での周知・著名性を意味するものであるため、国内での周知・著名性を立証する資料を事前に十分に準備するのが核心ポイントである。従って、韓国で不正競争行為の禁止を求めるためには、先ず韓国内での営業期間、営業期間中の売上額、その営業に関する国内での宣伝及び広告活動などを考慮し、当該標章が国内の消費者らの間で知られているとの点を立証する資料を綿密に検討、準備した後、国際的周知・著名性を示す資料としてこれを補充する戦略を立てるのが望ましいと思われる。一方、識別力の損傷を要件とする不正競争防止法第2条第1号ハ目の場合、当該標章が周知であるということだけでは充分ではなく、著名な程度にまで至っていなければならないため(大法院2004年3月26日言渡2001ダ72081判決)、識別力損傷を主張する場合には、さらに綿密な準備が必要である。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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