知財判例データベース 以前の審決を覆すに十分な証拠を提出した2度目の無効審判が特許法上の一事不再理の原則に違反しないとされた事例
基本情報
- 区分
- 特許,審判
- 判断主体
- 大法院
- 当事者
- 株式会社アジアテレコム(原告、上告人)v.タイコレイカム株式会社(被告、被上告人)
- 事件番号
- 2004フ42
- 言い渡し日
- 2005年03月11日
- 事件の経過
- 原審破棄・差戻し
概要
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被告の「復元性密封製品」に対する特許無効審判事件に関する審判請求棄却の審決が確定された後、同じ特許に対する無効審判が新たに提起されたが、新たな審判手続で提出された証拠が既に確定した審決を覆すのに十分な証拠に該当するとの理由で新たな審判は一事不再理の原則に抵触しないと判断された。
事実関係
訴外株式会社チョンマは被告を相手取って「復元性密封製品」(以下「本件特許発明」とする)に対して進歩性の欠如を理由として無効審判を請求したが、これについては審判請求棄却の審決が確定された(以下「確定審決事件」とする)。その後、原告は同じ被告を相手取って進歩性の欠如を理由として無効審判(以下「本件審判」とする)を請求したが、原審である特許法院は、本件審判の主張事実と確定審決事件の主張事実が同一であり、一部の証拠を除外した大部分の提出証拠も両事件ともに同一であるとの理由で旧特許法第147条に規定された一事不再理の原則に違反して提起されたものと判断を下したところ、これに対し原告が上告した。
判決内容
法院は、一事不再理の原則を定めた旧特許法第147条は、同法による審判の審決が確定登録、又は判決が確定した時には何人も同一事実及び同一証拠によりその審判を請求できないとして一事不再理の原則について規定しているところ、ここでいう同一証拠とは、その事実と関連性を持った証拠であって以前に確定された審決の証拠と全く同じ証拠だけをいうのではなく、その確定された審決を覆せるほどには有力でない証拠までを含むものである。しかし、確定された審決の結論を覆すことができるほどに有力な証拠が新たに提出された場合には一事不再理の原則に抵触するとは言えないと説明し(大法院2001年6月26日言渡99フ2402判決)、本件の「復元性密封製品」に対する特許発明無効審判請求は審判手続で新たに提出された証拠が確定した無効審判請求棄却審決の結論を覆すのに十分であるため一事不再理の原則に抵触しないと判断した。
専門家からのアドバイス
確定した無効審判請求棄却審決の結論を覆すのに十分な証拠を新たに提出した場合には一事不再理の原則(現行特許法第163条)に抵触しないため、他人の特許により会社が被る損害が非常に大きいとか会社の営業に重大な支障をもたらすなどの事情があるときは、特許無効審判事件で請求棄却が確定した後であっても、その特許無効の根拠となる資料を収集する努力をし続けることを検討する必要がある。
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