知財判例データベース 商標の使用が出所表示ではなく商品機能を説明するものである場合には登録商標の商標権を侵害しないとされた事例
基本情報
- 区分
- 商標
- 判断主体
- 大法院第3部
- 当事者
- ジョ・○○(被告人、上告人)
- 事件番号
- 2005ド1637
- 言い渡し日
- 2005年06月10日
- 事件の経過
- 原審破棄・差戻し
概要
93
他人の登録商標と類似の標章を利用したとしてもそれが出所表示のためではなく商品の機能を説明したり商品の機能が適用される機種を明らかにするためのもので商標の使用であると認識できない場合には登録商標の商標権を侵害したものではないと判断された。
事実関係
被告人は自身が運営する営業場で日本ソニー社の遠隔操縦機を指定商品とする「SONY」商標と同一の商標が付された遠隔操縦機を販売し、販売の目的で展示・保管したところ、ソニーの商標権を侵害したとして商標法違反で起訴された事件で、第一審(ソウル西部地方法院2004ゴジョン1086)に続く第二審(ソウル西部地方法院2004ノ1120判決)法院は、被告人が販売した遠隔操縦機の下段に他の出所表示なしに「万能eZソニー専用」とだけハングルで書かれている点、内部の基板には「SONY」の文字が記載されている点からこの製品がソニーの登録商標の周知著名性に便乗しようとしたものであると見られるので、一般需要者に製品出所の誤認・混同の余地があって本件製品の標章が本件製品の商標として使用された場合に該当するとし被告人に対する本件控訴事実を有罪であると認めたところ、これに対し被告人が上告した。
判決内容
法院は、内部回路基板上に表記された「SONY」標章は工産品の内部に組み立てられ機能する部品に表示された標章として商品の流通や通常の使用においては存在さえ知ることができず、その商品を分解してこそ一般需要者が認識できる標章は商標として使われたものとは言えない点、遠隔操縦機の表面に「万能eZソニー専用」という標章を表記したのは「様々な機器に容易に使われることができる遠隔操縦機であってソニーから市販されている機器に使用するのに適したもの」程度の意味として受け取られ、遠隔操縦機の用途を表示するものと見られるだけでソニー商標と同一の商標を使用したものとは見られないという点を挙げ、被告人の商標の使用が登録商標「SONY」の商標権を侵害したものであるとは言えないと判断して原審判決を破棄した。
専門家からのアドバイス
他人の登録商標と同一または類似の「商標」をその指定商品と同一または類似の商品に「使用」する場合には登録商標権の侵害に該当するのであるが、本判決では消費者が商品を分解して確認しなければ見えない部分に表示されたものは商標の「使用」に該当せず、他人の特定製品に使用し得るという点を説明する記述的な文章に他人の商標が含まれていたとしてもこれは「商標」として使用されたものであるとは見られないと判断し、結論的に被告人の行為が商標権侵害に該当しないと判断したものである。ただし、記述的表現として使用したとしても(例えば「for sony」など)、商標部分のみを大きくするなどの方法で強調して使用すれば「商標」の使用として認められる可能性を排除できず、特に権利者の商標が国内に広く知られている場合にはこのように強調された使用で消費者に混同を生じさせるおそれがあれば、不正競争行為にも該当し得ることになる。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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