知財判例データベース XYLITOLガム製品の包装又は容器が国内に広く認識された他人の商品であることを表示した標識に該当すると一事例
基本情報
- 区分
- 不正競争
- 判断主体
- ソウル西部地方法院第21民事部
- 当事者
- ロッテ製菓株式会社(申請人)VS 株式会社オリオン(被申請人)
- 事件番号
- 2003カ合2068仮処分
- 言い渡し日
- 2004年04月12日
- 事件の経過
概要
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キシリトールを主成分とするガム(以下キシリトールガム)の包装の外形や雰囲気と類似する包装を持ったキシリトールガム製品を製造、販売する行為は、不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(以下「不正競争防止法」)所定の不正競争行為(商品出所混同行為)に該当すると判断された。
事実関係
キシリトール(xylitol)を主成分とするガム(以下「キシリトールガム」)を開発、販売する会社である申請人は、キシリトールガムを市販して以来、一貫してキシリトールガムの包装又は容器に緑地に白色の帯、そして白色帯の上にHelvetika書体で書かれた「XYLITOL」という文字の組み合わせを使用しており、これにより製品の全体的な外形的な感じや雰囲気(以下「本件標識」)を創出してきた。申請人は、被申請人が製造、販売するキシリトールガムの詰め替え用製品(以下「本件製品」)包装の全体的な雰囲気が国内で周知著名な本件標識と類似して被申請人の製品を申請人の製品として混同するおそれがあるか本件標識の識別力や名声を損傷させるおそれがあると主張して、被申請人を相手取って不正競争行為禁止仮処分を申請した。
判決内容
法院は、一般的に商品の容器や包装がそれ自体で商品の出所表示機能を持つものではないが、その形状と構造又は模様と色相等が商品に独特の個性を付与する手段として使われ、それが長期間継続的、独占的、排他的に使われたり又は持続的な宣伝広告等によってその形状と構造又は色相等が有する差別的な特徴が取引者又は需要者に特定の品質を持つ特定出所の商品であることを連想させる程度に顕著に個別化された場合には、不正競争防止法第2条第1号イ目の「他人の商品であることを表示した標識」に該当して同標識がその使用期間、方法、態様、使用量、取引範囲等と商品取引の実情等を総合して社会通念上消費者らに客観的に広く知られていると認められる場合、「国内に広く認識された」ものとして認められるので、そのような標識は不正競争防止法の保護対象になると判断した。そして、申請人の本件標識は国内一般需要者や取引者間で申請人のキシリトールガムを連想させる出所表示として周知著名性を獲得し、「国内に広く認識された他人の商品であることを表示した標識」に当り、さらに申請人のキシリトールガム包装と被申請人製品の包装が完全に同一でないとしても、これらの包装の全体的な商品標識を客観的、全体的、離隔的に観察してみるとき、各標識によって表象される両製品間に混同の危険性が存在するので、被申請人が本件標識と類似の標識を使用してキシリトールガムを製造販売する行為は不正競争防止法第2条第1号イ目所定の不正競争行為に該当すると判断した
専門家からのアドバイス
本決定はトレードドレスが消費者の見解と触覚を強力に刺激することによって特定企業の商品に対するイメージを創出し、これを通じて他人の商品から自己の商品を識別させる重要な機能を遂行している現代の取引社会で、「製品の外形的感じや雰囲気」を広い範疇のトレードドレスと見て、これを不正競争防止法第2条により保護される一つの独自の標識として認めたところにその意義がある。
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