知財判例データベース 仮処分事件で特許の登録無効を判断した事例
基本情報
- 区分
- 特許
- 判断主体
- ソウル地方法院南部支院第1民事部
- 当事者
- LG電子株式会社(申請人)VS 株式会社シーエヌビーテック(被申請人)
- 事件番号
- 2003カ合1892特許権侵害差し止め仮処分
- 言い渡し日
- 2004年01月28日
- 事件の経過
- ‐
概要
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CCDカメラ製品に関する特許権が侵害されたとして争われた特許権侵害差し止め仮処分事件で、法院は申請の権原としている特許権は新規性が欠如しており無効になる蓋然性があるという理由で申請を棄却した。
事実関係
申請人は、監視用閉鎖回路(CCTV)カメラ及びカメラモジュール、CCDカメラ、Boardカメラ等の生産に必須の技術及び装置に関する特許権(以下「本件特許発明」)を保有している特許権者である。申請人は、被申請人のカメラ製品(以下、「被申請人製品」)が申請人の本件各特許発明を侵害していると主張し、被申請人を相手取って特許権侵害差し止め仮処分を申請した。これに対して、被申請人は特許審判院に本件特許発明に対して特許無効審判を請求し、本件特許発明は新規性が欠如しているのでその権利範囲を認めることができず、また無効になる蓋然性が高いため、保全の必要性も否定されるべきであるという趣旨の主張をした。
判決内容
法院は、申請人の本件特許発明は新規性が欠如し無効審決の確定有無と関係なく、その権利範囲を認め難いために被保全権利を認めることができないだけでなく、係属中の無効審判事件でその登録が無効になる蓋然性が大きいために保全の必要性もないとして申請人の申請を棄却した。
専門家からのアドバイス
登録された特許権であるとしても新規性が欠如しているときは、無効審決の確定と関係なく当該特許権の権利を認めることができず、また、特に民事仮処分事件においては新規性欠如が明確でない場合であっても進歩性の欠如等の理由で当該特許が無効になる蓋然性があるときは保全の必要性を否認し申請を棄却すべきという大法院判決があり、本件も無効審判の結果を待たずに法院の判断が下されている。韓国における特許侵害訴訟においては、無効審判が係続中であっても上記の点を充分に勘案して対応すべきである。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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