知財判例データベース 地図が著作権法により著作物として保護される範囲について判示した事例
基本情報
- 区分
- 著作権
- 判断主体
- 大法院第1部
- 当事者
- 株式会社成地文化社(原告、上告人)VS 朴ビョンジュ(被告、被上告人)
- 事件番号
- 2001ダ50586著作権侵害差止等
- 言い渡し日
- 2003年10月09日
- 事件の経過
- 確定
概要
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原告が発行した地図冊子の内容と類似する内容の地図冊子を発行した被告に対し、大法院は、原告の地図冊子の創作性を否認し、被告が原告の著作権を侵害したことを前提とした原告の請求を棄却した原審判決を維持し、原告の上告を棄却した。
事実関係
原告が発行した全国地図冊子に記載された内容と類似する内容の地図冊子を発行した被告に対し、原告は被告を相手取って著作権侵害差止等を求める訴えを裁判所に提起した。
判決内容
大法院は、著作権法により保護される著作物であるには、文化、学術、芸術の範囲に属する創作物でなければならないので、その要件として創作性が要求されるところ、一般的に、地図は地表上の山脈、河川等の自然的現象と道路、都市、建物等の人文的現象を一定の蓄積により予め約束した特定の記号を使用して客観的に表現したものであって、地図上に表現される自然的現象と人文的現象は事実それ自体であって、著作権の保護対象ではないというべきで、地図の創作性の有無の判断に当たっては、地図の内容となる自然的現象と人文的現象を従来とは異なる新たな方式で表現したかどうかとその表現された内容の取捨選択に創作性があるかどうかが基準となり、地図の表現方式においても予め約束された特定の記号を使用しなければならない等の相当な制限があり、同一の地域を対象とするものである限り、その内容自体にある程度の類似性を持つほかないとした。そして、原告発行の地図冊子における表現方式とその表現された内容の取捨選択は、国内外で発行された地図冊子が採択した表現方式とその表現された内容の取捨選択において同一、類似して、その創作性を認めることはできず、更に、原告の地図冊子で間違って表記された地名や建物名の相当数が被告の地図冊子にそのまま表記された事実は認められるものの、被告が原告の地図冊子にある特有な創作的表現を模倣しない限り、そのような事情だけでは被告が原告の著作権を侵害したと認めるに足りないとした。
専門家からのアドバイス
最近、個別の著作物の創作性の有無及びこれによる著作物の保護範囲を判断する事例が増加している。本件で裁判所は、著作権法により著作物が保護されるには、その表現方式においても創作性がなければならないという点を再確認した。
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