知財判例データベース 商標登録取消事由である「代理人による商標の不正登録」(商標法2条3号)における代理人の意味

基本情報

区分
商標
判断主体
大法院
当事者
株式会社タイムアイエンシ(原告、上告人)VS フレシ・エ・フィス・アソシエ(FRECH
事件番号
2001フ2146 登録取消(商)
言い渡し日
2003年04月08日
事件の経過
確定

概要

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フランスに登録された「LOFT design by…」(指定商品:国際商品分類第25類に属する衣類)の商標権者である被告は、訴外株式会社ハンサム(「ハンサム社」)との間に同商標が付された製品をハンサム社に排他的に供給することにする契約を締結したが、ハンサム社の子会社である原告が韓国特許庁に衣類を指定商品として「LOFT」商標を登録したのに対し、被告はその登録が代理人による商標の不正登録であるので取り消されるべき旨の登録取消審判を提起してその登録取消審決を受け、原審の特許法院、そして大法院もその結論を支持した。

事実関係

被告から「LOFT design by…」商標が付された製品の独占的な輸入代理店であるハンサム社は1987年5月25日に織物の製造・販売業等を目的に設立された会社で、原告はハンサム社の実質的な支配を受ける子会社である。ハンサム社は、1995年2月2日に被告との間に契約期間を5年として被告商標を国内で独占的に使用できる権限と排他的にその商標が付された商品の供給が受けられ、それに対する使用料を支払う内容の独占的な商標使用契約を締結していた。そうしていたところ、同契約締結後である1996年12月27日に原告が原告名義で「LOFT」商標の商標登録を行った。

判決内容

商標法第73条第1項第7号、第23条第1項第3号の立法趣旨に照らしてみると、商標法第23条第1項第3号でいう「代理人もしくは代表者」とは、一般的に国外の商標に関する権利を有する者のその商品を輸入して販売・広告する代理店、特約店、委託販売業者、総代理店等を指す(大法院1996年2月13日言渡95フ1241判決)。そして、代理店等の契約の当事者が自己と法人格は異なるがその所有と経営を実質的に支配している子会社の名義で商標登録をすれば、代理店等が自ら商標を登録したのと同一の結果がもたらされ、同規定を潜脱する行為を防止できなくなり、さらに公正な国際商取引秩序を確保して需要者間の混同を防止しようとする立法目的を達成できない問題があることは原審が判示したとおりであるが、そうであるとしても、契約等によって代理人となった者が商標法の同規定の適用を回避するために法人を便宜上、形式的に設立したという等の特別な事情のない限り、別個の法人格を有する会社が契約当事者の実質的支配を受ける関係にあるという事情だけで、その会社を契約当事者と同一視し、当然にその会社が商標所有権者の代理人としての地位を有するようになると言うことはできない。しかし、代理店の契約当事者である親会社ハンサム社と子会社である原告との関係及び営業形態、商標使用契約の締結経緯及びその後の経過など本件商標使用契約に関連する全ての事情を総合すれば、その契約の当時、既に国内でいわゆるハンサム・ファッショングループの一員として衣類等を製造・販売していた原告やハンサム社の他の子会社も、被告との間に同契約内容に従って韓国内で被告の商標を使用し又は被告の商標が付された製品を輸入・販売することで合意があったと見るのに十分で、そうであるならば、原告も被告に対する関係においては同契約書に当事者として表記されたハンサム社と同様に同法条項の代理人に該当するようになると判示した。

専門家からのアドバイス

この判決によれば、外国商品の輸入代理店が他人に当該商品と関連する商標を登録させておく場合、商標法第23条第1項第3号によりその登録を取り消すことが事実上非常に難しくなった。従って、韓国の輸入代理店等を通じて製品を韓国に輸出する場合、予め韓国特許庁に当該商標を登録しておく必要がある。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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