知財判例データベース オンラインサービス提供者の名誉毀損による損害賠償責任
基本情報
- 区分
- その他
- 判断主体
- 大法院
- 当事者
- 朴某氏(原告、被上告人)VS 慶尚北道清道郡(被告、上告人)
- 事件番号
- 2002タ72194 損害賠償(キ)
- 言い渡し日
- 2003年06月27日
- 事件の経過
- 破棄、差戻し
概要
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被告が運営する非営利の郡政広報サイトの掲示板に原告の名誉を中傷する内容の文が記載された事実に関連し、原告が被告を相手取って損害賠償請求を提起した事件で、大法院は、被告の電子掲示板管理義務違反行為による損害賠償責任を認定した原審判決を破棄し、差し戻した。
事実関係
被告が運営するインターネットウェブサイトの芳名録欄に原告の公職生活中の淫らな行為、金品授受事件等に関する誹謗文が2001年4月23日12時14分頃に初めて掲載された後、同事件に関連する新聞報道内容、これに対する原告の釈明及び削除要求の文が各々掲示された。被告の電算管理担当職員は上記の誹謗文が初めて掲示された2001年4月23日午後、誹謗文の掲示事実を確認して総務課長に報告した。その後、原告は2001年6月9日に被告宛に上記誹謗文の削除を要請する内容証明を発送し、被告は同月12日にこれを受領し、該当郡守の決裁を受けて同月13日に上記芳名録欄の全ての関連掲示物を削除した。
判決内容
オンラインサービス提供者であるインターネット上のウェブサイト運営者が自己が管理する電子掲示板に他人の名誉を毀損する内容が掲載されたことを放置した場合に名誉毀損による損害賠償責任を認めるためには、その運営者にその掲示物を削除する義務があるにもかかわらず正当な事由なくしてこれを履行しなかった場合でなければならず、運営者の削除義務は、掲示の目的、内容、掲示期間と方法、それによる被害の程度、掲示者と被害者の関係、反論又は削除の要求の有無等、掲示に関連する双方の対応の態度、当該サイトの性格及び規模・営利目的の有無、開放程度、運営者が掲示物の内容を知っていたか又は知ることができた時点、削除の技術的・経済的難易度等を総合して判断しなければならないとした上で、本件の場合、同運営者の削除義務の有無についての判断基準を総合的に考慮して被告にその掲示物に対する削除義務があるかを具体的に判断することなく、単にウェブサイト運営者が提供する掲示板に他人によって第三者の名誉を毀損する文が掲示されてその運営者がこれを知っていたか又は知ることができたという事情だけで被告に電子掲示板管理者として掲示物を直ちに削除すべき義務を認めて、被告に損害賠償責任を認めた原審に対し、審理不尽及びオンラインサービス提供者の責任に関する法理を誤解した違法があるとして、原審を破棄、差し戻した。
専門家からのアドバイス
本判決は、オンラインサービス提供者の損害賠償責任に関する大法院第3部2001年9月7日言渡、2001タ36801損害賠償判決とその趣旨を同じくしているが、ただ、2001年の判決がオンラインサービス提供者の掲示物削除義務違反の有無を具体的に審理し、その削除義務違反を認定した原審を支持した反面、本判決は原審が削除義務違反に関する審理を尽くさなかったことを指摘し、原審を破棄、差し戻した点で違いがある。
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