知財判例データベース 積極的権利範囲確認審判の可否
基本情報
- 区分
- その他
- 判断主体
- 大法院
- 当事者
- イ・ビョンファ VS チョン・ジョンタク
- 事件番号
- 99フ2433権利範囲確認(実)
- 言い渡し日
- 2002年06月28日
- 事件の経過
- 確定
概要
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原告は、後出願によって登録された被告の考案が原告の先出願による登録考案の権利範囲に属すと主張し、積極的権利確認審判を求めたが、大法院は確認の利益がないという理由で積極的権利範囲確認審判を棄却した原審(特許法院1999年9月2日言渡99ホ1720判決)の決定を維持した。
事実関係
原告は、後出願によって登録された被告の考案が原告の先出願による登録考案の権利範囲に属すと主張し、被告を相手取って積極的権利確認審判を提起した。
判決内容
後出願によって登録された考案を(イ)号考案とし、先出願による登録考案の権利範囲に属すという確認を求める積極的権利範囲確認審判は、後登録された権利に対する無効審判の確定前にその権利の効力を否定する結果となり、原則的に許容されず、但し、例外的に両考案が旧実用新案法(1990年1月13日法律第4209号で全文改正される前のもの)第11条第3項にて規定する利用関係において(イ)号考案の登録の効力を否定せず、権利範囲の確認を求めることができる場合には権利対権利間の積極的権利範囲確認審判の請求だけが許容され得るに過ぎない。裁判所は、登録考案の先出願登録者である原告が後登録された(イ)号考案が進歩性のない改悪考案であり、無効であるという趣旨で主張しながら、積極的権利範囲確認審判を請求した以上、確認の利益がない不適法な請求だと判示した。
専門家からのアドバイス
先登録された特許権と後登録された特許権の相互間において後登録権利は先登録権利の範囲に属するという確認を求める積極的権利範囲確認審判の場合、権利範囲確認審判の審決だけでは後登録権利の効力を否認することになり得ず、単に権利範囲に属するということを確定するに過ぎず、確認の利益がないため、先特許権者は後登録権利者を相手取って無効審判を請求できるというのが判例の立場である。このように大法院判例は、積極的権利範囲確認審判は「後登録権利が先登録権利に属するというのは正に後登録権利の効力を否定するもの」であるという理由によりこれを否定し、消極的権利範囲確認審判の場合には「これを認容したとしても先登録権利の効力を否認するものではない」との理由によりこれを認めている。
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