知財判例データベース シリアル番号の複製、配布行為がコンピュータプログラム著作権の侵害行為に該当しないと判示した事例
基本情報
- 区分
- 著作権
- 判断主体
- 大法院第3部
- 当事者
- 検察 VS 李ハクソン
- 事件番号
- 2001ト2900 コンピュータプログラ
- 言い渡し日
- 2002年06月28日
- 事件の経過
- 確定
概要
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被告人は、被害者が著作権を有するコンピュータ管理プログラムのシリアル番号を被告人のウェブサイトにおいて無断で複製、配布した行為が、コンピュータプログラム保護法上のコンピュータプログラム著作権侵害行為に該当するという理由で被告人の有罪を認めた原審判決を不服として上告し、大法院は被告人の上告を受け入れて原審を破棄、差し戻した。
事実関係
被害者CMI社代表のチャン・ヒョンジュン氏は1999年11月22日から2000年12月31日まで米国のハイペリオニックス(Hyperionics)からコンピュータ管理プログラムである「Hypersnap-Dx」の著作権を譲り受けた。一方、被告人は1998年4月から2000年3月3日まで同コンピュータ管理プログラムのシリアル番号(プログラムをインストールする際に必要な暗号。主に不法複製したプログラムをインストールすることを容易にさせる目的で流通される)を被告人のウェブサイトに無断で掲載し、これを複製させる方式で配布した。
判決内容
旧コンピュータプログラム保護法(2000年1月28日法律第6233号に改正される前のもの)の保護対象であるプログラムは、特定の結果を得るためにコンピュータなど情報処理能力を有する装置内から直接または間接的に使用される一連の指示、命令として表現されたものを意味するが、コンピュータプログラムシリアル番号はコンピュータプログラムに特定のフォーマットからなるシリアル番号が入力されればインストールを進行させるようにする等の指示、命令が表現されたプログラムが受け取って処理するデータに過ぎず、シリアル番号の複製または配布行為自体はコンピュータプログラムの公表・複製・改作・翻訳・配布・発行または伝送に該当しないだけでなく、そのような行為だけではコンピュータプログラム著作権が侵害されたと断定することはできず、但し、複製または配布されたシリアル番号を使用して何者かがプログラムの複製を行い、その行為がコンピュータプログラム著作権を侵害する行為として処罰される行為であるならば、シリアル番号の複製または配布行為はそのような行為を容易にさせる行為であって、場合によってプログラム著作権侵害行為の幇助犯になり得るだけである。
専門家からのアドバイス
この事件では、起訴事実に幇助罪の正犯の犯罪構成要件を充足する具体的事実が記載されないまま起訴されたので幇助罪としても処罰出来なかったが、事後に起訴状が変更されるならば、プログラム著作権侵害罪の幇助犯として処罰される可能性が高いであろう。一方、2000年1月28日の改正法は、技術的保護装置を無力化する行為に対する処罰規定を新設したので、このような事案に対しても制裁を加えられるようになったという点に留意する必要がある。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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