知財判例データベース 不正競争防止法上の営業主体混同行為の範囲について判示した事例

基本情報

区分
ドメイン,不正競争
判断主体
ソウル地方法院
当事者
株式会社インターパーク(原告)VS 李スンヒョン(被告)
事件番号
2001カ合19146 ドメインネーム登
言い渡し日
2001年11月02日
事件の経過
確定

概要

3

原告は、被告がドメインネームのinterpark.co.krを登録し、これを利用して原告の運営するインターネットショッピングモールで販売する物品と同一、類似の物品を販売する他のウェブサイトを紹介・リンクさせることなどが不正競争防止法上の営業主体混同行為又は原告の登録サービス権の侵害行為に当たるとして同ドメインネームの登録抹消等を求める請求をし、裁判所は原告の請求を認容した。

事実関係

原告は1996年2月にドメインネームのinterpark.comを登録し、同年6月から同ドメインネームのウェブサイトでインターネットショッピングモールを運営してきており、1998年7月には「INTERPARK」標章をコンピュータを利用した販売代行業等を指定サービス業として商標登録した。一方、被告は1998年3月にドメインネームinterpark.co.krを登録してウェブサイトを開設、ウェブサイト中にもinterpark.co.krを表示し、2000年3月から2000年8月まで原告のショッピングモールで販売する物品と同一、類似の物品を販売する他のウェブサイトを紹介・リンクし、提訴後に同ウェブサイトの運営を中断した。

判決内容

裁判所は、不正競争防止法上の営業主体混同行為に関連する混同には、同一性に関する狭義の混同の他に、両者間に取引上、経済上又は組織上密接な関係のあるものと誤認させる広義の混同が含まれ、特に識別力の強い営業標識の場合に混同の危険がより大きいとした上で、被告が原告の標章がそのまま使用された本件ドメインネームのinterpark.co.krを使用する場合、原告のウェブサイトに接続しようとする一般人が被告のウェブサイトに接続する可能性が高い点、被告のウェブサイトが開設された時期に既に原告の商標が広く知られて強い識別力を有する点等に照らし、一般取引者や需要者が被告のウェブサイトの運営主体及び特定のウェブサイトにおける商品及びサービスの提供、営業主体が原告又は原告と一定の関係があるとの印象を与え、営業主体の誤認・混同のおそれがあるとした。また、2000年8月以後に原告のウェブページとは無関係である旨の案内文を掲示し、被告が同ウェブページの運営を中断したとしても、原告の営業上の利益が侵害される具体的なおそれがあり、原告は被告の行為の差止請求ができるとした。

専門家からのアドバイス

周知性を獲得した商品/営業標識の保護を受けようとする会社としては、その保護のためにその標識で構成されたドメインネームを登録しておく努力以外にも、これと類似するドメインネームが他人によって登録されたまま営業に使用されているかどうかを常にモニターする必要があり、その結果、ドメインネームが会社の営業と同一又は類似の営業に使用されており、混同を生じさせるおそれがある場合のみならず、類似すると見難い営業に使用されていても周知標識の識別力や名声が毀損されていると判断される場合には、不正競争防止法に基づいて禁止請求等を行使することが可能なので、これに対する積極的な法的措置を考慮する必要がある。

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